2008年07月08日

「猫の恩返し」アニメ


ジブリだからどーのこーの、というよりも、「大泉さんとミスターとヤスケンが声優出演しているから」という理由で前から一度は見ようと思っていたので。TV視聴。

全体が短いのでダレるとまではいかなかったが、終始メリハリに欠け、脚本の流れもイマイチだったように感じた。TVだから「ふーん」で済んだが、正規の料金で劇場に行ってたなら多分ファビョってたレベルかもしれない。


評価の前提条件として書いておくと、私は

・バロンが登場する間接的な前作に当たる「耳をすませば(この物語は、耳をすませばの主人公が書いた小説という設定らしい…と後で調べて知った)」が苦手で、たまにTV放映されていても途中でリタイアしてしまうため、最後まで見たことがない
(薔薇園華江さんが絶妙なモノマネをする「やなやつ、やなやつ、やなやつ!」のあたりで降車ボタンを押してしまう根性無し)
・原作漫画を読んでいない(柊あおいは苦手)
・特に猫好きではない


といったところ。

この映画を高く評価する人が、低い評価に対して投げる常套句として、

・ジブリ映画だから何か重いテーマや教訓があるはず、なければならないと思いこみ過ぎ
・宮崎監督の壮大な物語やアクションを期待し過ぎ


という2点があるようだ。
私はこれが軽い小品とわかった上で、たとえば「茄子 アンダルシアの夏(はジブリ作品ではないが)」のような、きっちり作り込まれているが重くなくて小洒落た味わいが効いた時間、さらに今や「なんらかの説教臭さ」と同意義になってしまった駿イズムに支配されない、若い監督ならではのスッキリした空気を期待していたのだが、残念ながらのんべんだらりと話が終わってしまった感じを受けた。あえてアンチクライマックスを狙ったようにも思えなかった。
「軽さ」と「メリハリのなさ」は全く違うはずなのだが…
特に後半のダラダラっぷり、あるいは盛り上がるかと思いきやあっさりスカされたり(バロンが剣を取るシーンなど)、あのストーリーで前半の方がテンポがいいというのもどうなんだろう。
ここ10年くらいのジブリ作品の説教臭には辟易している口なので、説教成分希薄なのはむしろ大歓迎だったのだが。

「自分の時間を生きる」というフレーズがテーマよろしく何度か登場するのだが、意味が咀嚼・消化されないまま終わってしまった。あの物語の流れだと、「猫の国」の住人たちが「大切な何かから目をそむけ、自分の時間を生きていない」かのように受け取れるのだが、猫王はじめ住人達はそれぞれに(身勝手ながら)ちゃんと自分の時間を生きていると思えたが。あくまで人間がいるべき場所ではないという意味合いなのか、結局ラストまで生かされないで立ち消えしたように感じた。下手にあのフレーズを持ち出さない方が良かったかもしれない。

「大人の(それもアニオタ寄りの)ヒネた目で見るからそうなのであって、子供の純粋な目線で見ればシンプルに楽しめる」と、「汚れちまった大人には…」的なレビューも目にしたが、子供目線で楽しみたいときには素直に「パンダコパンダ」とか「どうぶつ宝島」とか「悟空の大冒険」を見た方がいいやワシ。

唯一評価できるのは、「駿臭の呪縛」をかなり取り除いた絵柄で、ここまで「ジブリっぽくない作画」も、「やればできるじゃないの!」と思った。違和感を訴える声もあるようだが、これは素直に褒めたい。結局その後の作品はいつもの「駿絵路線」に戻ったけれども。
「"ジブリ作品イコール駿絵"じゃない」という気概や試みを押し立てた上で中身も面白い作品は今後も歓迎したいなあ。

声については、ジブリの非声優主義はもう今に始まったことではないので「まあこんなもんでしょ」といったところか。特に「これはひどい」と感じたキャストもいなかったので全体的には小マシなほうだろうと思う。
猫王の丹波哲郎はよかった。あの無闇な大物感は流石。
ただ、これはジブリ作品以外にも、非声優が起用された場合に感じることなのだが、静かに語ったり、かっこいいセリフをかっこいい場面で喋る場合にはさほど生じない違和感が、笑ったり怒ったり、叫んだりする激しいシーンになると一気に増幅されて、ひたすら「聞いててつらいなあ」といたたまれない気分になってくる。激しい感情の場面で力量や「声の演技力」の差が顕著になると思うのだ。
この映画では、クライマックスで「ハルー!」と叫ぶバロン(袴田吉彦)がまさにそうだった。平静なシーンでは悪くなかったのだが。

ところで、肝心の私のお目当てのどうでしょう班出演シーンだが、これがまた、言われた上で何度か見直さないとわからないほど微妙なチョイ役ご出演でございました。

・大泉さん:ハルの学校の古典の先生(これは一番分かりやすい)
・ミスター:猫のシェフ(らしいのだが、どうもミスターっぽく感じないのは私だけか?)
・安田さん:ハルが憧れるイケメン同級生「マチダくん」(笑い声と、彼女に「段差…気をつけて」と言う2シーンのみ。相変わらず声だけならイケメン完全体だぜ兄さん。)

その他、猫兵隊や芸人を当てている可能性もあるらしいが判別できず。

「猫好きなのでそれだけでもう満足」というような声もあり、猫好きか否かで評価が大きく変わったりもするのだろうか。こればっかりはよく分からない。


「こんなにつまらなく感じたのは自分だけだろうか?」と思い、珍しくwebレビューをいろいろ掘ってみた。非常に興味深かったのは、「『猫の恩返し』は『耳をすませば』の主人公・雫が書いた小説という設定」という部分に着眼したもので、
「"文芸好きな中高生の女の子が書いた小説をリアルに表現した"と解釈すれば見方が違ってくる。未熟練の年少者ならではの"プロットの至らなさ、独りよがり成分、メリハリのなさ、自己完結性"が見事に表現されている。中学校や高校の文芸部誌を読んでいると思えばこの上なくリアルではないか」
という旨の文章だった。この着眼点と表現はなかなかシャープで、当てこすりとしても逸品だ。

ムタの風貌を見ていると、無性に「アタゴオル物語」を見たくなるのは私だけだろうか…


世間では、「卒業式で泣かないと冷たい人と言われそう」と同様に、「"『耳をすませば』が気恥しい、嫌い、見てると死にたくなる"という奴は、非モテ・あるいは充実しない哀れな負け組思春期を送ったルサンチマン野郎」と言われることが多い。そりゃあ天下の非モテ野郎だったけども、同じように言われる「時をかける少女」は全然平気、むしろ大好きなんだがなあ。この差はなんだろう。やっぱりセリフ回しなのか。「やなやつやなやつやなやつ!」のせいか。心に乙女成分が足りなすぎるせいなのか。
posted by 大道寺零(管理人) at 17:58 | Comment(6) | TrackBack(1) | アニメ
この記事へのコメント
おねいさまが乙女で無かったことにショックです。
私は「耳すま」を1000回見てもときめくことが出来ますのに。
私は「耳」のような青春時代を送ることが出来なかったことを復讐するかのように何回も見てしまいます。
汚れてしまった今を清めるためにも。
おねいさまも我慢して観てください。
Posted by 薔薇園花江 at 2008年07月08日 23:47
>相変わらず声だけならイケメン完全体だぜ兄さん。
全ヤスケンファンが泣いた!
嘘嘘

そうか、あの映画にはどうでしょう組が参加してたんですね。
私もどうもコレ系ジブリは唾液腺が痛くなってくるのでみてられません。
(乙女成分が枯渇してます。笑>薔薇姉さん)

私の中ではジブリ作品の中では「紅の豚」が一番なんですよ。
説教くさくなく、大人の女性がかっこよく、大人の男(おっさん)がかわいくて。
「さくらんぼの実る頃」のCD買ったなぁ・・・森山周一郎さんの声に痺れました(涙

地味なせいかなかなかTVにも取り上げられませんなぁ。
Posted by あんもないと at 2008年07月09日 11:53
>>薔薇園華江さん

こんな形で非常にアレですが、誕生日おめでとうございます。華江ちゃんはいつでもエターナル乙女なところが最大のチャームポイントですことよ。いつまでもその甘酸っぱい青春ストーリーにときめく心を持ち続けて下さい。自分の中に乙女回路が404not foundな私は心底羨ましいと思っておるのです。

>私は「耳」のような青春時代を送ることが出来なかったことを復讐するかのように何回も見てしまいます。
>汚れてしまった今を清めるためにも。
>おねいさまも我慢して観てください。

なんというかもう「儀式」なんですね…眼鏡をかけた王子様が現れたから相殺して余りあるじゃないですか華江ちゃんは。
復讐するは我にありなテンションで臨んでも簡単に返り討ちにされそうで怖いんです。私にとってはもうビグザムとかミルコ・クロコップとかセザール級に恐怖なんですけども!
1500円もらえるならなんとか耐えられるレベル。

>>あんもないとさん

>そうか、あの映画にはどうでしょう組が参加してたんですね。

そうなんです。でもほんっと〜〜〜〜にチョットです。もうちょっと存在感あるかと思ったんですが;

>私もどうもコレ系ジブリは唾液腺が痛くなってくるのでみてられません。

あんもちゃんは永遠の女の子ちゃんだから大丈夫だと思ってました!意外です。そんな事実を明るみにしたら、次回オフで会う時に薔薇園さんから「モノマネによる耳をすませば名セリフ独演会」を開催されそうな気がしてきたぞ。うますぎるからなあ〜…

紅の豚も、ちょくちょくTVではやるんですけども、バルス祭りのように2chのサーバーに影響が出るようなことには全然なりませんよねえ(いや、落ちればいいというものではないのですが…)
Posted by 大道寺零 at 2008年07月09日 17:26
猫恩は大雑把に言って甘口カレーみたいなものですね。カレーは辛口という人にはつまらない物でしょう。評価が分かれるのも良く分かります。もちろん料理人の腕の問題もありますが・・・。

疲れている時、落ち込んでいる時に見るといいかもしれませんね。
Posted by 黒煎りゴマ at 2008年07月14日 15:33
>>黒煎りゴマさん

こんにちは、コメントありがとうございます。
「猫の恩返し」は、最初からサラサラしてあっさりした味のカレーなんだろうなと思ってみたら、スープのダシの味はするものの、スパイスや塩気がほとんどしなかったような感じを受けたのでこんな感想になりました。
好みが別れる作品だと言うのはよくわかるように思います。私に猫好き要素が薄いのもけっこう影響しているのでしょうね。

ちなみに、疲れているときや落ち込んでいるときにはややハイテンションな映像や音楽の方が効くタイプだったりするので、やはりこの作品には合わなかったのでしょう。
Posted by 大道寺零 at 2008年07月14日 17:13
レスありがとうございます。

>ハイテンションな映像や音楽の方が効くタイプ

では、静かな音楽が聞きたくなった時にでも(笑)。
Posted by 黒煎りゴマ at 2008年07月14日 21:27
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Excerpt: 随分前に地上波で放送されていた「猫の恩返し 」。いつものようにX95で録画し、PSPにお出かけ転送してようやく鑑賞しました。以前ネタにした「耳をすませば」に登場した劇中劇(主人 ...
Weblog: VAIOちゃんのよもやまブログ
Tracked: 2011-01-28 12:21
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