2008年07月27日

赤い李食べ物

先週の話になるが、母から段ボール箱でスモモと胡瓜が送られてきた。
それぞれ別の伯母から朝どりのものを貰って、午前中のうちに、夕方につくように送ってくれたものですこぶる新鮮だった。
母の実家は農家で、彼女の姉妹の多くも農家に嫁いだため、おかげさまで実家では四季折々の野菜や果物をたくさんおすそ分けしていただいて、経済的にも味覚的にもとても助かっていた。いつでも何かしら沢山いただいて「痛まないうちに食べてしまわないと!」と言っていたような気がする。勿論同じ食材が毎日続くわけなので、それを好まない人には辛いかもしれないが、なんともぜいたくな話ではある。
そして事あるごとに「あんたのうちで●●ある?」「**がいっぱいあるから取りに来なさいよ」と声を掛け合っては姉妹で立ち寄り合い、お手製の美味しい漬物でお茶を飲んで語らっているのがいつ見ても楽しそうなのだった。


今回の野菜と果物も、そんないつものノリで母が姉から沢山いただいたものを分けてくれたものだ。

真っ赤に熟したスモモは甘くて香りがよく、「市場に出せないクズ(規格外)スモモ」とは言うものの、形も悪くはなく、大ぶりで立派なものだった。気になるほどの傷も見当たらない。
酸っぱいものが苦手な義母も喜んで食べてくれたほど美味しかった。
実家の母にお礼の電話がてら、
「すごくいいスモモで、クズなんて思えなかったんだけど」
と話したところ、出荷基準の問題で、木の上で完熟したものは市場には出せない(買ってくれない)らしい。
ビジュアルで言えば、「全体的に黄色くらいで、先端がちょっと赤くなり始めたくらい」が出荷の最適とのこと。
考えてみれば、完熟の果実は潰れたり、ちょっとの衝撃で傷んだりしやすいので、流通上のデメリットが大きい。また店先に並んだ時点で熟しすぎて果汁が出ているような状態では買う人も少ないだろう。
スモモに限らず、まだ熟しきらないうちに摘み取り流通過程で追熟させて、ちょうどいい時期に店に並べるというのは、なにもスモモに限ったことではなく、多くの果物や野菜で行われていることであって、珍しくはない。

ただやはり、いかに見た目の色は同じであっても、日光を浴びて気につながったまま熟したものと、青いうちに摘んで追熟させたものではどうしても味が違う。この濃厚で自然な甘酸っぱさは後者ではなかなか実現できない。
そう考えると、「本当にベストの状態の農作物の味」というのは、生産者やその周辺の限られた人間しか知らないままに、どこ産がいいだのと言いながら知ったつもりになっているのだろうと思う。
そして私はたまたま地域の作物についてそういうチャンスに恵まれているというだけで、やっぱり他の(縁者が生産していない)多くの野菜や果物について、一生「本当の味」を知らぬまま、あーだこーだと能書きをたれながら終わるのだろう。

とはいえ、少しずつ状況は変わってきている。
スーパーなどに出回るものは前述のような「早期摘果で追熟」ものがほとんどだが、産直ショップ・あるいはスーパーでも「契約地元生産者コーナー」のような「生産者が直接朝納入する」ような場所を設けている場合は、そこで完熟もの・形は多少悪いが味は良いものが手に入る機会が提供されるようになってきた。
また、キュウリを作っている伯母の話によれば、去年までは二束三文、あるいは買い取ってもらえなかった「曲りキュウリ」が、いい値段(時には普通のまっすぐなキュウリと同等、あるいはそれより高く)で買い取り対象になったのだという。
これは最近中国産のキュウリが市場に嫌われたため、業務用・漬物用の需要が国内産にシフトしてきたのが背景にあり、前年までとはうって変わって「曲っててもいいからどんどん出してくれ」と要請があるとのこと。
また、購入者も少しずつ「多少形が悪くてもどうってことない」ということを分かってきたのかもしれない。スーパーでも一般客が曲りキュウリの袋を手に取る光景が増えたような気がする。
posted by 大道寺零(管理人) at 10:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | 食べ物
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