[海外での第一報。幾分詳しい経緯+渦中の夫婦と赤ちゃんの実名入り]
・BBC NEWS | India-Japan baby in legal wrangle
(赤ちゃんと夫の母(赤ちゃんから見れば祖母)の写真付き)
・Conceived in Japan, abandoned in Jaipur-Jaipur-Cities-The Times of India
[8/10 元妻の主張]
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インド代理出産:元妻が反論「代理出産には不同意」 - 毎日jp
日本人の男性医師がインドで代理出産を依頼し生まれた女児が日本に帰国できなくなっている問題で、男性医師の元妻が毎日新聞の取材に応じ「代理出産に同意していなかった」などと話した。
元妻によると、インドで代理出産の書類に署名させられたが、読む時間を与えられないまま署名を迫られ、後で同意書と知らされた。その後、子供が男性医師と自分との子であるよう装う出生証明書の偽装のため再渡航を求められたが断ったという。元妻は離婚の際「代理出産は私の意思とは無関係」と医師に書面で誓約させたと話している。【石原聖】
(コメント欄にてお二人から情報提供いただきました。ありがとうございます。)
勿論確定は無理だが、いよいよアクアマリンさんの相談内容と共通点が多くなってきたように思う。(卵子提供者は諸ニュースによれば「インド人」らしい?)
[8/10 女児の出生証明書が降りる]
・インドで代理出産の赤ちゃん、ついに父、祖母と帰国か【インドチャンネル】
東京の整形外科医Aさんを父とし、インドのアーメダバード近郊在住の女性を代理母として誕生した女の赤ちゃんに、インド政府がついに出生証明書を発行した。10日付ナブバーラト紙が報じた。
赤ちゃんを預かっているジャイプル市内の病院に勤める医師、サンジャイ・アルヤ氏は、「今回は特例が認められたようで、A氏に国際電話で吉報を報せると、電話口で涙声になって喜んでいた。あとは日本政府が彼女にパスポートを発行するかどうかだ」と記者に述べた。 サンジャイ氏は、弁護士と相談するため日本に一時帰国中のAさんに代わって、赤ちゃんと、付き添いでインドに残っているAさんの母を保護している。
[8/13 現地NGOが女児連れ出しに反対]
・赤ちゃん出国禁止求め提訴 インド代理出産でNGO
日本人夫婦がインド人女性に代理出産を依頼して誕生した赤ちゃんが、夫婦の離婚が原因でインドを出国できないでいる問題で、同国西部ジャイプールの非政府組織(NGO)は13日までに、代理出産に関する法律がインドにないことを理由に、この赤ちゃんの国外連れ出しを禁じるよう求め地元裁判所に提訴した。
裁判所は地元州行政当局などに対し、国外連れ出しの可否などについて説明するよう命令した。裁判が決着するまで赤ちゃんはインドに留め置かれる可能性が高まり、日本への出国に向けた手続きは遅れそうだ。
13日付の地元紙などによると、NGOの申立書は、代理出産で誕生した子供の外国への引き渡しはインドに関連法律が存在しないため「人身売買」に当たると指摘。代理出産した女性や、依頼した日本人男性医師らの誰も親権を主張することはできないとしている。
また、NGOは代理出産を数多く手掛けている西部グジャラート州の医師らが、法律がないことを悪用して子供を違法に国外に売り渡し、巨額の利益を得ていると非難している。
いつまでも論争の種として扱われる女児の身を思えば酷にも感じられるが、一方インドにあってもこれが決して「よくあること」ではないことを伺わせる。
また、ソースによって「2002年からインドでの代理出産は合法」だったり「法規定がない」と書いてあったり今一つ分かりにくい。代理出産自体は許可、規制する法律がないということか。
[8/14 女児の渡航証明書発給手続き]
・「赤ちゃんを日本へ」渡航証明申請 インドで代理出産 - MSN産経ニュース
日本人がインド人女性に代理出産を依頼して誕生した赤ちゃんがインドを出国できないでいる問題で、赤ちゃんの帰国手続きを進めているインド人の弁護士は14日、インド最高裁に対し、帰国に必要なトラベル・ドキュメント(渡航証明書)の発行を求める申し立てを行ったことを明らかにした。
赤ちゃんの出生証明書には母親名が記されていないことから、インド国籍とインド旅券を取得することができない。そのため無国籍のまま日本への渡航を可能にするには渡航証明書が必要とされる。
[8/15 日本法相"ビザを発行し入国を受け入れる"方向の談話]
保岡法相、インドで代理出産の赤ちゃんにビザ発行を示唆 : AFPBB News
日本人男性がインド人女性に代理出産を依頼して生まれた女の赤ちゃんがインドを出国できなくなっている問題で、保岡興治(Okiharu Yasuoka)法相は15日、日本側がこの女児に査証(ビザ)を発行する可能性を示唆した。
この男性は代理出産を依頼した後、子どもの出産前に妻と離婚したため、インドの法律により娘を引き取れない事態となっている。
こうした事態をうけ保岡法相は、代理母出産の是非については相応な機関で議論すべきとしながら、子どもの将来を考え、法務省として法律の範囲で可能な措置を検討したいと述べた。(c)AFP
[今後の議論の参考など]
・想定外の代理出産 : YOMIURI ONLINE
・今回のインドにおける代理出産の件について - 諏訪マタニティークリニック
(根津院長は、日本で唯一公表して代理出産(現在は実質妻の実母による代理出産のみ)を行っている)
・日刊ベリタ : 記事 : インドで代理出産がブームに 不妊の外国人カップルらが依頼
2年前の記事だが後半が興味深い。
・代理母になることを金銭的メリットだけではなく、「来世のために現世で積む善行」の一つとしてとらえるヒンズー教の道徳観
・その一方、腹を貸す行為は軽蔑の対象でもあるため、代理母として妊娠していることを周囲には隠し、分娩後に死産したという形に偽るらしい
女児の出生欄の母親欄は「UNKNOWN」とのみ記載されているらしい。
・想定外の代理出産(YOMIURI ONLINE)
その後、男性は先月上旬に離婚、女児は同25日に誕生した。同国グジャラート州内の市役所は出生届を受理したものの、出生証明書には、男性の名前が記されているだけだ。
インド市民権法は、両親の一方がインド人ならインド国籍を取得できるとしている。だが、インドPTI通信によると、代理母は女児の母親になることを望んでいないという。女児がいったん代理母の娘となって国籍を取得するのは容易ではなさそうだ。
日本の国籍法では、出生時に結婚している父か母が日本人なら、日本国籍となる。結婚していない場合、母が外国人でも、父が出生前に認知届を居住地の市区町村に出していれば、日本国籍が得られるが、男性はその手続きをしなかった。
この女児には
・遺伝上の母(卵子提供者)
・分娩上の母(代理母)
の複数の母親がおり、さらに
・戸籍上母になるはずだった人(父の元妻)
を加えれば3人となるわけだがそれはまず置いといて、法的な身の振り方を考える上で重要なカギを握るのが「分娩上の母」である。
どのソースでも簡単に
「すぐに病院を立ち去り」
「女児の引き取りを拒否」
と触れられているため、「代理母も鬼」のように受け取られていることしばしばのようだが、おそらくは即時に立ち去ることは契約内容のうち(産後のスキンシップによって急に情が沸き、契約を無視して親権を主張してこの引き渡しを拒むトラブルの可能性がある。勿論すべての代理母がそうなるわけではないのだが)だろう。
また、代理母が既婚者の場合は当然引き取ったり一時的に代理出産依頼者と結婚することも難しい。代理母のカーストが低い場合、それを慮って引き取らない場合もあるという。
日本の出生届の原則は、子供のことを第一に考え、「子供の父母は誰なのか」について宙ぶらりんで「誰も養育責任を負わない」状態を作りださないことを前提にされている。フェミ団体に悪評高い「産後300日規定」にしても、「どっちが父親かわからない」「どっちも"俺は知らん"と主張して責任を持とうとしない」ような状況を作り出さないために便宜的に(多くは元夫にワリを食わせる形で)定められたものだ。
母親の欄に書くことができるのは、「分娩上の母親」。これは父親とは違って「生んだ当人が母親」とこれ以上ない明確な事実があるので、捨て子や出生届を出さないレアケース以外は揺るぎようのないものだったわけだが、代理出産の場合はまるっきり違ってくる。「法的な母とは何ぞや」という根本から議論して定義する必要が出てきたわけで、定義・運用について新たな規定がおいおい必要になるにしても、実にデリケートで頭の痛い話ではある。
どちらにしてもこの女児の父は、代理出産や卵子提供で女房をペテンにかける準備は周到だったのに、逃げられる前に事前認知をしていなかったりと、手回しがいいのか抜け作なのかよく分からない部分がある。
そして元妻から逃げられると今回のように非常に難しい立場に置かれる(自分よりも子供が)ということについて何の事前策も講じていなかったあたり、「絶対に妻は自分に愛想を尽かさない、離婚など言い出すはずがない」と考えていたのだろうか。もしそうならどこから来たんだろうその自信は。
何か、このままだとなあなあで日本に連れて来られそうで、なし崩し的にあの男のところへ納まりそうで恐いです。
前妻との間に出来てた女の子には、自分の後を継ぐ事だけを強要して愛想尽かされたのではないかとか、インドで生まれたこの子にも、また同じ事をしでかすんじゃないかとか、つい勘ぐってしまいます。
あくまでも、例の相談がこの件であると仮定しての話ですが……
真実が表に出たら出たで、前妻とその娘さんがつらい思いをする事態になりはしないかという心配もあります。
私としては、インドで生まれた女の子は、養子に対して周囲が寛容な国の、まともに子供(養子)を欲しいと思っている夫婦に引き取られるのがいいんじゃないかなと考えています。
はじめまして、コメントありがとうございます。
確かに、この件=アクアマリンさんの件なのであれば、前妻や娘さんに愛想を尽かされる要因は十分に男性側にあったように思えますが、もうここから先は何を言っても推測でしかないですからねえ;これ以上詳しく追及しても、おっしゃる通り前妻・娘さん・元妻さん(ややこしいですね;)それぞれに迷惑を被るだけでしょうし、元妻さんの名誉のためには同意したかしないかの経緯は明らかにしたいかもしれませんが結局得をすることもないし…といったところでしょうか。
両者の同意を取らずに騙し討ちのように代理出産手続きを進めること自体の罰則があれば話は別ですが、そもそも日本に代理出産に関する法自体が存在していないので各論や罰則も当然生まれていないわけで、そういった策定もどうすべきなのか、罰則を決めるために原則認定としていいものなのかなど、やや特殊な例とはいえやはり考慮に入れないわけにはいかない事件なのだろうと最近考えるようになりました。
また、保護が必要な新生児を実の父親が引き取る意思を明確にしているのに対し、それを留保することは福祉人権上どうなのか、今回のいきさつを欠格事由として認められるものなのかどうか、戸籍の問題だけでなくさまざまな法制に関わってきそうな気もします。
この一件、ネットで知って??となり、
TVでも報道され、一体事実はどうなのかと
こちらを検索して立ち寄らせていただきました。
とても参考になります。ありがとうございます。
>もしそうならどこから来たんだろうその自信は。
この男性とその母親にとって自分達以外の人間は道具なんですよ。
道具が「人間様」に逆らうとは思ってないだけす。だから最初の奥さんにもその娘さんにも嫌われた。
しかしそこから何も学んでいない。
この娘さんが出国して無事日本に来ても思い通りにならなかったらまだ同じコトを繰り返すでしょうよ。
私自身子供はいませんが、代理出産にはどう考えても賛成できません。
私の遠縁は出産で亡くなり、友人の奥様は出産時に心停止までいきました。
医師の処置が良く奥様も子供も助かり今は幸せに暮らしていますがこれはラッキーだったにすぎない。
もし代理母が出産の途中に命の危機に陥り「子供か、母親か。」となった時、依頼者はどうするのでしょうね。人を殺してでも子供をとるのでしょうか。
そう考えるとそこまでさせるかもしれない医学の進歩の恐ろしさにぞっとします。
はじめまして、コメントありがとうございます。友人の日記経由でアクアマリンさんの書き込みを見て、「何じゃいなそりゃ…」と呆れてまとめてみただけの記事なのですが、瞬間風速的にアクセスがかなりありまして、専門家でもなんでもない感情的な記事なので恥ずかしい限りでございます。
現在、この件のまとめサイトを作ってくださった方がおりまして、時系列や報道内容含めよく整理されて見やすいので、今後もこの問題にご興味がおありでしたらお勧めしておきます。
http://baby_manji.web.fc2.com/index.html
http://baby_manji.web.fc2.com/matter/04.html
では、元妻が同意していなかったこと、元妻と結婚する前から、「独身でも代理出産で子を得る手段」を模索していた事実が整理されています。最初から脱法行為を行う気が満々だったみたいですね。
>そう考えるとそこまでさせるかもしれない医学の進歩の恐ろしさにぞっとします。
私個人としては、自分でリスクをかぶれる範囲なら極限まで試そうと思うのですが、それを他人にかぶせることはどうしても無理だと思うので代理出産には消極的です。
ただ、この医学の進歩自体には肯定的というか、不妊治療含めて「自然じゃない」と色眼鏡で見る方も世の中には多いのですが、生まれつき四肢や臓器の機能が不十分な人が恩恵を受けるように、生殖においても同様に恩恵を受けるチャンスが増えたということは認めてほしいなと思うものです。
あとはやはり、代理出産のように他人が介在する場合の倫理的な問題やリスク管理・責任問題への考え方ということになるのでしょうが…
この元夫婦の大きな問題点はやはり、最も基本である「夫婦間の同意」が取られずに騙し討ちのような形で物事が進んでしまったことに尽きると思います。夫婦・医療スタッフ・代理母や卵子提供者がすべて十分に同意に至った上で(産んだあとのことも含めて)それぞれが幸せになるような形であれば代理出産を選ぶことは否定しません。ただひまわりさんがおっしゃるように、「妊娠中やお産の場でどういう危機が生じるかは誰にもわからない」計算できないリスクが必ず伴うのが難しい点ですね。
「なぜこの男性の人間性を見抜けなかったのか」
「なぜ言われるままにノコノコインドまで行ってしまったのか」
「内容をよく確認させてもらえぬままにサインしてしまった責任」
「これらのことをやってしまったのならばどうあれ子供を引き取るべきだ」
など、元妻を責める・子供を第一にする意見もよく聞くところです。何も責められるべきでない子供のことを考えれば不憫ではありますが、かといって虚偽の親子関係を作る片棒を担いだり、この後の人生を例の男性のエゴのための犠牲と道具にさせられて甘んじなければならない咎とは思えないのです。彼女自身にも人生と人権があります。
何より怖いと思うのは、もし彼女が離婚を決意・決行しなければ、この男性の暴挙が明るみに出ることはなく、もしかしたらこの後も同様の事例が続いたかもしれない、少なくともインドで脱法行為を謀ろうとした医師の存在も闇に隠れたままだったろう…ということなんですよね…