この旅を企画するにあたって、途中車で立ち寄れそうな、面白い狛犬がいそうな寺社を調べ、いくつかダメモト含めてピックアップしておいた。
ここ数年で狛犬サイトも地味に増えているのでずいぶん助かったのだけども、それ以外に神社や寺を紹介している写真に目を凝らして、「正面写真や土産物の紹介はいいから、狛犬がいるのかいないのかハッキリ写せぃ!」とテムレイ状態になってチェックするのである。
勿論狛犬研究サイトでばっちり整理されていれば一番ありがたく、事実参考にさせていただいたのだが、行く前にどんな狛犬かバッチリ分かってしまうのもそれはそれでちょっと切なく、「遠景だけどどうも見たことのない形かも?」とワクテカさせられるぐらいがちょうど楽しい。我ながらめんどくさい奴だと思う。
そんなわけで、この神社にははっきり言って「狛犬目当て」で行ったのだけども、なかなか面白いところだった。
この神社と狛犬については、後日「狛犬放浪記」のほうでページを設けてからリンクしようと思う。とりあえず概要としてはこちら(奥州市観光サブサイト 磐神社)などで説明されている。

なかなか立派な石鳥居と侘びた木造の社殿があるのだが、これは後付けのもので、社殿裏側にあるこの巨石こそが御神体。祭神は当地豪族の安倍氏の守護神で、まつろわぬ神の象徴でもあるアラハバキ。
明治時代に社殿が建てられるまでは、この御神体だけがドッカリ構えており、巨石信仰の重要なケースともいえる素敵空間だったという。
前沢からここに行くまではちょっと苦労した。
私が衣川方向に曲がるべき適切なポイントを見逃してしまったせいもあるのだが、その先広域農道に入ってリカバーしようと思ったら通行止めで当てが外れて遠回りしたり元来た道を戻ったり。
(通行止めは地震の影響によるものと思われ、その他道や橋の工事なども多く、やはり先日の地震の爪痕を感じずにはいられなかった)
ようやく地図上でこの辺か?と思える地区に来たものの、岩手県道路地図を携えて万全のナビ態勢だったはずが行きすぎてしまい、生活道路に迷い込んでしまって立ち往生気味になる。
結局相方がタバコ屋のおじさんに聞いてくれて道が判明。
おじさんいわく
「最近バイパスが通ったから、そっちに入る道が分かりづらくなったんだよー」
とのこと。
やっぱり道に困ったら、最後はヒューマンパワーだよなあとしみじみ。
普段何事につけアバウトなくせに、予想外の道に入ったり、予定が狂うとすぐに見苦しくワタワタ慌てるタイプなので、いつも「どうにかなる」「来た道は戻れる」とドッカリ構えてくれる相方が伴侶で本当に良かったです…相手まで同じタイプだったらもう、初日でかなり旅行が破たんしていること間違いない…
そんなこんなでようやく目指す地区へ。
この辺は安倍館跡など、ほとんどは遺構なのだが、当時をしのばせる旧跡が多く点在しており、小さな道標ガイドもあったので助かった。
便利な道路も走っているけれども全体的に素朴な風景で、古戦場や安倍氏などの豪族がいた場所として色々脳内保管するにはうってつけの雰囲気。あまり意識したことはなかったのだけど、やっぱり東北生まれの東北育ちなので、どうしても都から来た連中よりも「時に悪役にされがちな土着の人たち」に感情移入してしまうんだな。
時間がないので、ここと安倍館跡を眺めただけだったのだけども、次に岩手に来る機会にはぜひ衣川とか江刺・水沢方面(特に今回行きたかったが回れなかった黒石寺あたり)をゆっくり回ってみたい。

で、これが磐神社の狛犬。
この後も別の場所で同系統の狛犬に出会うことになるのだが、山形ではほとんど見ないタイプである。
田んぼの農道を入り込んで行く、規模的にはごく普通の小さな神社。まったく観光化されていないので、当然駐車場などはナシ。鳥居前の参道にちょい置きくらいはできるが、見学・参拝する際にはくれぐれも地元の方の通行や農作業に迷惑をかけないようにしたい。
近年平泉が注目されて、ガイドブックでも周辺の注目施設に上がっていたりするけれども、ルートにもよるが、ガイドブックのアバウトな地図だけではかなりたどりつくのが厳しいと思われるので事前のリサーチをしっかりと。
この後、山越えの道で骨寺荘園遺跡を回って平泉入りしようかと向かったのだが、やはり通行止めで阻まれて引き返し、平泉へ。これも残念だが、本当に不便なのは地元の方々なのだから一観光客がブーブー言える筋合いではなく致し方ない。
いかにも取ってつけたようでアレですが…一日も早い復興をお祈り申し上げます。