2008年08月22日

オリンピック雑感日記

昨晩の女子ソフトボール決勝は、勝利への執念とか一体感がビシビシ伝わってくる試合で、最後までハラハラしつつ引きつけられてしまった。アメリカも本当に強かった。
前日ダブルヘッダーで連投の上野が心配だったが、まさに気力で投げ切ったという感じ。もっとも酷使を美談化してほしくないので、今後の国際試合において(もう五輪はないけど)、上野と同等の力を持つ2枚・3枚エースで戦えるようなチームになってほしいと思った。

アメリカさんはデカいし強いしで本当に怖いチームだったが、中でも万人が純粋な「恐怖」を覚えたのはやはり、DPの強打者・ブストスさんのインパクトではなかっただろうか。怖い。ただただ本当に、怖い。
一発食らったホームラン、最初は打ち取ったと思ったのだが悠々と延びてスタンドに入ってしまった。怖い。上野とかもう、取って食われそう。
特に最終回、アメリカベンチで腕組みして仁王立ちになっていたブストスさんの威容といったらなかった。カメラも彼女に釘付けだ。

と思ったら、試合終了時には既にAA化されていた。

bustos.jpg

相変わらず職人の仕事早いw
やっぱりみんなこのインパクトにやられてたんだね。

ブストスさんのあの迫力ありすぎな風貌、あの腹周りからは予想もつかないほどのスイング、軽く振ってるように見えるのにアッサリスタンドに叩きこむパワーと威圧感。
役どころはまさにドカベン山田太郎なのだが、「魔王」を思わせる巨漢ぶりはどちらかといえば
「雲竜くん」
「犬養武蔵」

寄りだと思い、そんな風に呼びながら見ていたのだが、最終的に我が家では
「大豪院邪鬼」
まで行っていた。

6回でこの人を敬遠したのは正しかった、というかそうするほかはなかったと思う。
ソフトボールでは、敬遠の際に律儀にボールを4つ投げなくても、審判に敬遠の意思を伝えればそれだけで4ボール扱いになって進塁できるルールがあり、当然それを使ったわけだが、もしそうせずに直接ボールを投げていたら、(「ドカベン」における武蔵坊弁慶のように)ボールを引きよせてホームラン打つくらいの神通力はありそうだし。

wikipediaによれば、ブストスさんは今回のオリンピックを契機に引退する意向だとか。こんないいキャラなのにちょっともったいない。


この五輪、最初から分かっていたこととはいえ、単純に試合の面白さや健闘を讃えたいだけなのに、言及する・あるいは放送を見ているというだけで「中共の弾圧を感受・正当化する行為」と解釈する極端な見方も他方ではあって、実に窮屈な面がある。

で、チベット・ウィグル関連でも期間中にも関わらず発砲弾圧のニュースなどもあって、ナチスですらベルリン五輪中はユダヤ弾圧を緩めていたものをなあ…と、色々考えてしまう。

五輪=中国軍がチベット弾圧、死者140人の情報も─ダライ・ラマ | スポーツ | Reuters
時事ドットコム:チベット発砲「聞いていない」=デモ申請で2人の処分確認−五輪組織委


応援や観戦マナーについても、正直「予想より、そこそこ体裁を取り繕う程度の教育はしたんだろうな」と感じることもあったが、やはり日程が進めば進むほどボロや実際の"程度"が目立った。

大声援は迷惑だ!中国選手の抗議が論争に ― スポニチ Sponichi Annex ニュース
女子シングルス準決勝で、ロシアのサフィナに敗れた中国の李娜が試合後、観客席に向かって「Shut up(黙れ)」と英語で叫び、中国のインターネット上で議論となっている。試合では「中国加油(頑張れ)」の大声援が続き、審判が静かにするよう何度も注意していた。

 李娜は2006年のウィンブルドン選手権女子シングルスでベスト8に進出した有力選手。メダルが期待されていたが、3位決定戦でも敗れた。

 準決勝が行われたのは16日。李娜が観客席に叫ぶ映像は大手ウェブサイトにすぐさまアップされ、「李娜が『加油』に冷や水を浴びせた」と伝えるメディアも現れた。

自国にまでもこうだしなあ。(劉翔へのバッシングはさらに酷いようだが)
ウィンブルドン等のメジャーゲームの中継で、テニスの静かなプレー風景(インプレー中は静粛にし、ゲームやセットが終わった時、あるいはファインプレーでのポイントの時のみ拍手や歓声が許容される)を見慣れた人間には、「テニスのゲーム中に騒ぐ」こと自体信じられない。
確か、「インプレーでは静かにする」のは、バドミントンも同じではなかったかなー。ショットごとに威嚇するような大声を出すキチガイじみた中国の応援には、不快感より先に「バドでこんな応援いいんだっけ?」という疑問がわいた。実際中国がらみでない試合では静かだったし…

中国の日本嫌いについては今更言うまでもないのだが、程度を弁えないブーイングや「日本が負けるなら何でもいい」といった露骨な姿勢には、ただゲームを見て楽しみたいだけなのにほとほと辟易させられる。
昨晩の女子サッカーでも、日本にボールが渡っただけでものすごいブーイングだったが、一般市民ならまだしも、公式スタッフがそれを煽っているという。


この国を永遠に去る前に見ておきたいもの - 北京オリンピック 河崎三行コラム : nikkansports.com

 後半途中、アメリカが少々日本に押されている時間帯のことだった。突然一人の若い女性ボランティアがスタンドの通路最前列にピッチを背にして立ち、チアスティックを持って周囲の観客の応援を先導し始めたのである。なんと言ったか。

 「美国加油!(アメリカ、頑張れ!)」

 耳を疑った。お先走りの観客ではない。見慣れた青いポロシャツを着た、公式の大会ボランティアなのである。全世界から来る観客の便宜を図るために配置されたスタッフの一員なのだ。

 よく見ていると応援を先導している女の子から少し離れたところで、彼女に身振り手振りで指示を送っている男性がいる。彼も学生と思しき若さだったが、頭にヘッドセットをつけてどこかと『交信をしながら』女の子をコントロールしているのである。そしてひと通り場を盛り上げると、このペアは隣のブロックに移動してまた「美国加油!」をやる。


開会式の日本入場の時、ブーイングが予想に反してほとんど聞こえなかったので、そこそこ教育が効いたのかと思ったのだが、実際は単にNHKが音声を絞っていただけらしいし。
もし友好を装って「日本加油」とか言い出したらそれはそれですこぶる気持ち悪いからそんなことはしなくていいわけなんだが、何もそこまで日本へのブーイングに血道を上げるためにわざわざ観戦しに来るよりも、自国選手を応援していたほうが楽しいんじゃないかと思うのだけども。

オリンピックが「平和の祭典」などというのは最初から建前で、「最もテレビがフォローする4年に1度の世界的総合体育祭」として観戦しようと思っているだけなんだけども、どの試合を見ても中国人の音声で少なからず不愉快にさせられるのがなんだかなあ。色々な意味で、主催国の資格がないこんな国でやらなきゃよかったのに…と思わざるを得ない。

TVを流し見していて、現地時間で24時にもなろうというのに「LIVE」映像が流れてくるという競技時間の遅さに驚く。「欧米の皆様」の生活時間に合わせるための介入による結果(逆に、朝に決勝を持ってくるようなタイムテーブルも増えた)らしいのだが、開会式の中で「美しい地球環境を子供たちに」みたいな演出していた割には思いっきりエネルギー消費しまくりの運営だよなあ…これは中国側の判断ではないけれども。

オリンピックプラス road to Beijing: 北京オリンピック 米国NBCテレビの圧力に屈する(注:2006年の記事です)

夏季五輪の決勝は開催地の午後から夜にかけての実施が通例となっているが、米国向け放送権を持つ米NBCテレビが人気競技の競泳、体操については北米地域でのゴールデンタイムとなる北京の午前中の決勝実施を要求。国際水連や一部選手は反対していたが、北京五輪に約9億ドル(約1080億円)の放送権料を支払うとされるNBC側の要求をIOCがのむ形となった。北京で26日に会見したIOC北京五輪調整委員会のフェルブルッゲン委員長は「IOCが特定の放送局の要求に屈したのではないことを強調しておく。ソウル五輪(1988年)など過去にも同様のケースはあった」と述べた。IOCのフェリ五輪統括部長は「関係者すべてが合意した。(午前実施に)反対していた国際水連も最終的にノーと言わなかった」と話した。


posted by 大道寺零(管理人) at 19:36 | Comment(3) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
今回のオリンピックには、言いたい事が山ほどありますが、まぁまぁオトナの対応をしておきましょう。(と、言いながら)
北島選手が出た200m平決勝戦も、午後からの開催かせめて1時間遅れていたなら、世界新は出せたのにと言ってましたね。スポンサーや放映権など金の力には勝てません。IOCそのものが、金にまみれていますからね。今回のオリンピックを見ていると、本当に東京へ持ってきて良いのかと考えてしまいます。

まずは、選手の皆様、お疲れ様でした。(あ、まだ終わっていないか。)
私もブストスさんの迫力に驚きました。ミスターいやミスソフトボールの勲章をあげたいくらいです。
Posted by cake at 2008年08月23日 11:18
はじめまして。ブストス選手が一瞬、かじめ焼きの主人公の母ちゃんとダブりました・・。
Posted by ナックル at 2008年08月23日 16:18
>>cakeさん

どのような環境(ブーイングや威圧含め)、どのような時間帯の試合でも実力を発揮できるのが真のアスリート…とは分かっているのですけども、今回は特に「えー!この時間でまだLIVEかいな!」と驚くことが多かったです。
もっとも日本のテレビ局も、「お盆の週末にマラソン放映日を持ってきたい」というようなことを要請した(結局通らなかったようですが)らしいので、横車を押そうとするのは欧米だけではなかったのですが…

>。IOCそのものが、金にまみれていますからね。

今回の開催費用は800億円くらいらしいですね。
で、収入は4500億円と試算されているのですが、↓を見ると、放映権のつり上げなどもあって、ものすごい勢いで増えております。
http://www.plus-blog.sportsnavi.com/marketing/article/114

>今回のオリンピックを見ていると、本当に東京へ持ってきて良いのかと考えてしまいます。

築地移転問題だけを見ても私は東京開催には反対なのですが、第一招致の前にもっと(財政的にも)やるべきことがあるはずだと思っております。

>ブストスさん

存在感ありすぎでしたよね。久々に恐怖というか、絶望すら感じさせる敵でした。ボスキャラの風格。

>>ナックルさん

はじめまして。どぞよろしくお願いします。

言われてみれば、ブストスさんにかっぽう着とモンペを着せて、手ぬぐいかぶせたくなってきますね。
この女帝ならきっと、2度や3度のどっせーで亡くなることもないでしょう。
ブストスさんは未婚とのことですが、子供さんができたらきっといい感じの肝っ玉母さんになってくれることと勝手に信じます。
Posted by 大道寺零 at 2008年08月24日 11:38
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