・磁気活水器、有害物質除去せず 全テスト商品で (asahi.com)
有害なトリハロメタンや残留塩素を水道水から除去・低減する効果をうたう「磁気活水器」について、国民生活センターは20日、テストした6社の6商品すべてで、そうした効果はなかったと発表した。景品表示法に触れる恐れがあるとして公正取引委員会に業者の処分を要望した。
テストした商品は、配管工事なしに蛇口や水道管を挟み込むように取り付けるタイプ。インターネットや訪問販売などで約3千〜約23万円で売られ、広告や資料には「磁場を通過する際に塩素やトリハロメタン等の有害物質も軽減され、まろやかな味の水に変化します」などと書かれていた。トリハロメタンや塩素を溶かした試験水を、毎分10リットルで10分間蛇口から流した時点で、濃度を調べたが、磁気活水器の有無で違いはなかったという。
リンク記事の写真を見ればその構造が一目瞭然なのだが、浄水器のように何らかのフィルターを通すのではなく、本当に「磁石入りのユニットで管(製品によって水道管だったり蛇口だったり)を挟み込むだけ」のもの。
この手のものに引っかかるのはとかく「文系文系」とバカにされがちなのだが、高校で化学が赤点寸前ばかりだった文学部出身の私にだってさすがに「磁石くっつけて塩素が抜ける意味が分からん…怪しすぎる」ということぐらいは即座に分かるぞ…
この製品は「磁気活水機」という名称だが、他にも「純水機」「蘇生水ユニット」だのなんだのと、いかにも「浄水器よりももっと凄い形で水を生まれ変わらせますよ!」という名称の怪しげな水商売マシンは世の中に溢れ返っている。それらのインパクトは時に「一般的な浄水器よりさらにすごい!」と差別化をはかっているかのように思えるのだが、実は「浄水器」と名乗って販売するのは、いくつかの条件をクリアしなければ許されないことだというのは意外に知られていないようだ。
浄水器は家庭用品品質表示法で「水道水から残留塩素を除去する機能があるもの」と定義されているが、「活水器」にはこうした基準がない。(前掲記事より)
経済産業省:家庭用品品質表示法-雑貨工業品-「浄水器」の項目より
ア)対象となるものは、次の@からCを満たす浄水器となります。
@一般消費者が通常生活に用いるもの
A主に飲用水を得ることを目的として使用するもの
B原水には水道水を用いるもの
C残留塩素をろ過、吸着又は化学作用によって除去したり、減少させる機能を有しているもの
これが定義の部分で、以降は表示義務事項や試験基準についての記述となっている。
また、「JIS S 3201」規格に基づく表示義務項目の詳細等については、浄水器協会のページなどが詳しい。
つまり、「水がまろやかになる」「おいしくなる」などの漠然とした使用感ではなく、除去対象は色々あるけれどもとりあえずは「残留塩素を減少・除去できるもの」でなければ「浄水器」は名乗れないということだ。
(なお、定義的には、入浴・園芸用途のもの(飲用目的でない)、雨水を浄化する非常用のろ過ユニット(原水が水道水でない)なども、たとえ塩素除去能力があっても「浄水器」と名乗ることはできないことになる)
そして、国民生活センターの商品テストにより
* 磁気活水器は水道水のトリハロメタンや残留塩素を除去する効果はない
という明確な結果が出た以上、「活水器は、"浄水器"を名乗れない、それ未満のレベルの商品」であり、「塩素やトリハロメタンの除去能力」をうたっているものがあればそれは虚偽表示ということになる。
同様に、磁気活水器以外の「それらしい名称の水商売マシン」についても、信頼できる筋の検査結果が明確に表示されているのでなければ、基本的に「定義的には浄水器未満のもの」と疑ってかかった方が安全といったところか。
単純に塩素やサビ味、藻臭さなどを取り除きたいならば、安価な活性炭入り浄水蛇口(昔からスーパーやホームセンターで400円くらいで売ってる使い捨てのアレ)を、正しい用法(通水を十分にするなど)でこまめに付け替えて使った方がよっぽど経済的で確実だ。
日本の水道水は世界でもまれに見る優秀な品質なのだが、それでもこの手の「なんたら水」はハッタリ文句と能書きを微妙に変えて増殖する一方にある。
その中でも「本当にこんなに凄いんだったらかえって気持ち悪い」とすら思わせるのが「エレン蘇生水素水」だ。
エレン水はけっこう人気商品?らしく、さまざまな販売サイトがあるのだが、ここのインパクトがなかなか凄い。
ECONET【エコネット】エレン水とは
私たちは永年、水に関して単に美味しい水だけでなく、いろいろな機能を持った水(殺菌できる水・野菜や魚を早く育てる水など)の開発に取り組んできました。結論として、一種類の水で色々な目的に使用しても結果は出ない!事に気付き鉱物ミネラルに着目し、種々の目的にあった鉱物ミネラルをミックスし焼成ガラス化したのがエレンセラガラスです。水の使用目的に応じて数十種類のセラガラスの中から目的合ったセラガラスを選び、それが持つ情報(機能)を水に記憶させ伝達させます。
最初から必殺技「水の情報伝達能力」が来ましたよ奥さん。ワクワクしますね。
それに直接続く文章。
地下水・水道水・海水であれ、H2Oであればその中の水素が活性化し活性--->分解--->蘇生の働きをする水になり、その水をエレン蘇生水素水といいます。
この文脈がさっと理解できないのはやはり私が文系だからですか。
この働きをもたらすものは、前の文章とつなげて読む限り
「当社自慢の特製セラミックガラスに水を触れさせて、ガラスから機能を水に伝達することにより〜〜」
なわけなのだけども、どれだけ魔法のガラスですか。
そんなすごい働きをするガラスを、一般家庭の台所とかに置いて大丈夫なものなのか。
また、「活性水素」をうたう水は数々ある(そして各所で論破されている)けれど、さらに「蘇生」。もう本当に意味が分からない。
目的に応じて素材の鮮度保持・味の強調・抗菌・消臭・熱効率の向上・動植物の育成促進・超親水性(4度以下)・配管ボイラーのスケール除去・配管の有機汚泥除去・赤錆抑制・洗剤の大幅削減・減塩・減糖・廃水処理の高度化・経費の大幅削減が・・・“
従来のセラミックや磁気水が云う「味を変える」とゆうのは水分子を小さくしてマイルドにするだけで、本来持っている味の引き出し・強調ではありません。そこで、エレン水(えいよう水とも云う)の持つ特徴として素材の持つ味を強調する働きを利用することによりマイルドでこくのある美味しい料理が可能になります。しかも、3割程度の減塩・減糖しながら且つ、だしとり食材を大幅に減らしても・・・・
「水分子を丸くする・小さくする」という「クラスター系」の表現は科学的に否定されて久しい…それ以前に、水分子そのものが大きくなったり小さくなったりするはずがないわけで。
また、後半を読むと、「エレン水を使っています」という飲食店が「ダシ食材をケチっている店」のようにも読めてしまう。
[味の強調]
食材には6栄養素(ビタミン・タンパク質・ミネラル・糖質・繊維「辛味」・脂質)がありますが、エレン水で洗うか料理に使うと各栄養素の味が引き立ちます。例えば、レモンはより酸っぱく、豆腐は旨く、ワサビなど香辛料は辛く、塩はしょっぱくなりますので減塩・減糖も可能ですし、鰹・昆布・いりこ・鶏がら等から出汁を引いたり、スープをとったり、煮込み料理に使うと最高です。
・薄口醤油・・・・
スプーンか小皿に適度の量の醤油を入れただけと、同量の醤油をいれそれに1滴エレン蘇生水素水をいれたものと塩辛さを比較してください。エレン水を1滴入れた方が一段と塩辛さを増しています(エレンは後で)
本当にそうなら、慣れないうちはかえって料理を作るのが難しくなりそう(今までの感覚で味付けをしているとすべてが甘くなったりしょっぱくなったりする?)。
また、採用してる店では水割り醤油を出しかねない印象も…(流石に意地悪か)
[鮮度保持]
野菜・肉・魚の鮮度保持にエレン蘇生水素水を使うと効果覿面です。エレンセラガラスは次亜塩素酸やもろもろの酸化原因になる物質が入り、酸化された水道水を還元の水に変換し、抗菌作用や消臭作用などの機能により酸化・腐敗を分解し素材を鮮度保持します。
・肉類・・・・・
真空パックしたまま冷やしたエレン蘇生水素水に浸け置きしたり、同様に解凍すると変色を遅らせたり、柔らかくしたり、鮮度保持します。
パックを通じても作用するとは…
「腐敗を分解・停止させる」のなら、熟成もリセットさせられてしまいそうな気も。
[冷凍解凍]
肉・魚・野菜など冷凍食品の解凍をしますと細胞が壊れ食感が悪くなったり、ドリップが出たり、変色したりして冷凍食品は美味しくないと悪評ですが、エレン蘇生水素水で解凍しますと冷凍する前の状態で早く解凍でき、身が締まり食感が良くなります。また、肉などはドリップ防止が出来柔らかくなります。冷凍の有頭海老を解凍すると頭が黒変しますが変色を遅らすことが出来ます。冷凍野菜をエレン水で解凍すると新鮮な状態に蘇ります。イカ・魚・海老の皮が簡単にむけますし、より透明に・・・
・肉・魚類・・・・
冷凍物の解凍にエレン水を使用しますとドリップ防止や変色防止などや本来の風味を引き出します。肉や魚の切り身は長時間エレン蘇生水素水に浸け置きしますと旨みまで抜きますので真空パックして浸けて下さい。
・魚・えび等・・・
水道水とエレン蘇生水素水での解凍具合の比較は、エラ・内臓や・えびの頭などの変色変敗程度と身の締まり具合、皮の剥け具合などを見ますと一目瞭然です。
※解凍は流水でおこなってください、より効果的です。
長時間切り身を漬けておけば、そりゃ普通の水だって味が抜けるよ!
それに、流水を間接的にまんべんなく当てた方がうまく解凍できるのは、単なる冷凍食材を解凍する時の常識だしな〜…
続きは完全に薬事法に触れるのでは?という内容。
エレン蘇生水素水を飲食に使いますと活性水素(エレン蘇生水素水)の働きで僅か数分で赤血球がまん丸・さらさらと血流がよくなり免疫力がつき、体内環境の正常化(健康)し、厨房から流しますと河川の浄化になり地球環境を正常化していきます。
また、別のエレン水紹介サイトのページでは、書いている内容は大体上記と同様なのだが、一番下のタイトルがたいそう衝撃的だ。
エレン水で冷凍イカを解凍したらなんとイカが蘇生!
「美味しそうに解凍され、ワタも新鮮そうなまま」と言いたいらしいが、今時東スポだってそんなミラクル見出し使わねーよ!という世界。
なお、一緒に収穫して同じ解凍をしたイカでも、ワタの状態は捕獲された時の胃の内容物(捕食物)や体の状態によって個体差が大きいことも参考までに書いておく。
また、この水を用いた農法もあるのだがこれまた凄い。
・NPO法人 JOYヒーリングの会 | わくわくケビンのここだけの話
はどんな成果かと言いますと、いままで化学肥料、農薬でやってきた田畑でも、すぐに土地の浄化が図られ、1年目から健康で免疫力のある作物が収穫できるという画期的なものです。しかも、作物は還元力が強く、なかなか劣化しません。豚舎や牛舎では、家畜の糞を腐敗させずに1週間で完全発酵させ、当の肉質は古牛が若牛のような肉になってしまいます。乳牛では牛乳が腐敗しません。養鶏では卵が同じように腐敗しませんから、長い間放置した卵を親鳥が温めても、雛がかえります。したがってこれらの生産物が消費者に届くまで2〜3週間かかったとしても鮮度は大丈夫というものです。
農業にしても畜産にしても、いい水の土地ではいいものが育つ。それははっきりしていることだけども、ここまで画期的だとやっぱり胡散臭すぎるというか、あまりにも人間の側だけに都合が良すぎると思う。
今の消費者の(一応の)自然志向の流れの中では、「ずっと傷まない生鮮食品は怪しい(保存料や添加物・ポストハーベストなどがしこたま入っているのでは?)」という意識が芽生えつつあるのだが、下手するとそれに逆行しかねないような気もする。
どっちにしてもこの水、能書きどおりならばあまりに効果が凄すぎて、とても生で飲む気など失せてしまうと感じるのは私だけだろうか。
その他のトンデモ説明やトンデモ水の効用については、文系の私ですら一々挙げていたらキリがないほどなのでこの辺にしておくことにする。
変なものにひっかかりたくない、宣伝文句の妥当性について知りたいという場合、どの検索エンジンでも最近は広告主様大事の姿勢でスポンサーリンクを上位に持ってくるし、「●●水はデタラメ!」と主張するサイトを見てみれば「▲▲水なら大丈夫!」と別の水商売マシンを売りつけるサイトだったりしてなかなか大変だったりする。
やはり基本的なお勧めは
・水商売ウォッチング
だろう。
この手のイオンだのクラスターだのアルカリだ酸性だといった「一見それっぽい詐術」は、水そのものの商売だけでなく、化粧品やシャンプー、洗剤、サプリメントやジュースなどの日用品・化粧品・食品の類にも密接に、意外なほど広範囲に関わっているため、「科学的にどうなのか?」を知っておくのは(特に女性にとっては)決して損にはならない。
また、これは浄水器販売業者のサイトなのでそれなりの目で読んだ方がいいのだが、
・悪徳浄水器の見分け方
も、分かりやすくて万人向けだ。
結局のところ、これらの水商売マシンや"なんたら水"の値段が幾らしようと、その販売者がどうだろうと、ユーザーが
「原理が科学的にどうであれ、とにかく美味しい」
「肌がきれいになった、料理がおいしくなったのは事実」
というように納得して使っているのならば、別にそれにまでイチャモンを付けようというつもりはさらさら無い。
結局大事なのは「使用感」であり、それがコストと釣り合っていると感じるのなら何よりだ。
(かく言う私も、マイナスイオン商品には一律懐疑の姿勢だが、フクバデンタルのキスユーは気に入って長年使っているし、時にクラスター理論が入りこんでくる木酢液についても、風呂に数滴垂らした時の入浴剤としての保温力は絶大なので納得して用いている)
これらの商品の最大の問題は、しばしばマルチ商法や催眠商法(国道沿いなどの空き店舗にやってきて、食品や日用品バカ安のチラシを捲き、それにつられてやってきたジジババに高額な健康食品や健康器具・浄水器などを売りつけて、1か月程度でオサラバするアレ)・宗教団体の資金源などに結びついた販売形態・またアフターサービスを放置して「売り逃げ」に近い形が取られがちなところにある。実質コストよりはるかに高い代金で老後の資金をむしり取られたり、マルチに入って金より大事な友人や親戚の縁を失ったりする代償の方が、その代金よりはるかに痛いこともある。
そうでなくてユーザーが満足しているならまあそれでいいのだけども。
この手の「なんたら水」は、よく飲食店などでも「当店は●●処理した水を用いています」と表明してウリにしていることが増えてきた。
これはこれで決して嫌いではない。
有名無名を問わず、「老舗」とか「味のある懐かしい雰囲気」に胡坐をかいて、店内のウォーターサーバーをろくすっぽ洗浄もせず水垢だらけ、グラスも曇りまくりの状態で放置しているところが未だにある。それに比べれば、処理水装置を置いているような店であれば、少なくともフィルターやタンクの管理はまめにチェックし、「水道水よりも美味しい水を提供しよう」という意欲は段違いなはず。そういった姿勢は客としてはとても嬉しいものだ。
(また、イオン添加系の水であれば、麺打ちなどに向くという利点も店によっては事情にマッチしているだろう)
加えて、七面倒くさいセールスマンと接触せずに、さまざまな「ナンタラ水」を飲み比べられるという利点もある。
ただ、あまりにも流行ってなさそうな店で高そうなマシンを見かけると、「リースか買い取りか知らんけど大丈夫かな…」と、余計なお世話ながらに心配になることはあるのだった。
あとは明らかにマルチな業者の名前が刻まれていたりすると「あーあーあ…」となったり、別に勧められるわけじゃないと分かっていながらもなんとなく足が遠のいたり。
最後に、この件についてのニュー速+のスレ内レスから秀逸なやりとりがあったので転載。
・【誇大表示】磁気活水器、テストした6社6商品全て効果を得られず…国民生活センター
462 :名無しさん@九周年:2008/08/23(土) 01:26:32 ID:aJvfC+990
こんなもんつけなくても水道水をおいしく頂く方法を教えよう
コップ一杯の水をレンジで5秒だけ温めると分子が(ry
468 :名無しさん@九周年:2008/08/23(土) 02:25:26 ID:R1pmVh850
>>462
振動して発ね(r
469 :名無しさん@九周年:2008/08/23(土) 02:27:02 ID:ltYORdF40
>>468
「電磁加熱水」と表記すると体によさそうじゃね?
470 :名無しさん@九周年:2008/08/23(土) 02:29:40 ID:lnIwq/rH0
電磁波動熱水
波動強命水の名付よりは弱いな。
472 :名無しさん@九周年:2008/08/23(土) 02:50:09 ID:R1pmVh850
>>469
超電磁ブラウン運動力水とかどうよ
473 :名無しさん@九周年:2008/08/23(土) 03:06:30 ID:jfGQQ9N40
強力な磁界により水に磁気量子振動が発生
水のポテンシャルエネルギーが増加し
体内でエネルギーの低い水と交換され生命力が高まる
こんな感じで
488 :名無しさん@九周年:2008/08/23(土) 06:55:41 ID:xPixjbmv0
>>473
体がエネルギー的に高い状態になると
不安定化してエネルギーを放出したがる→運動する→健康
ってことかw
あ、普通の海水でも蘇生してました。
>冷凍クラゲ蘇生
調べてみたら今日の放送だったんですね〜。
http://www.ntv.co.jp/megaten/next/index.html
クラゲすごい!超すごい!
凍らせても焼いても生きてるのはクマムシでしたっけか、あれを思い出しました。
目がテンはイイ番組ですよね〜。今となっては貴重な、日本の良心的な科学番組だと思います。
ぐうたらな私には時間帯が早すぎるのがネックなのです。これ、ゴールデンとか夕方にやってくれないものかなあ。「あるある」系の疑似科学番組より、こういうのをみんなが見れる時間帯でやってほしいのですが、スポンサーがあれこれ言ってこない帯の方が気兼ねなく科学番組できるかもしれないですね。