・大阪ガスサービスショップを家の中に入れてはいけない - GIGAZINE
GIGAZINE編集スタッフの家に、何十年と来ていたガスの定期点検。恒例の点検に何の疑問を持たずに業者を家に入れてチェックをしてもらったはずが、その直後に明らかに人為的に、コンセントやパイプ外側に傷をつけられていたことに気付く。
これほどの損傷ならば点検時にスルーするはずがなく、点検直後に発覚したことから、いぶかしんで事情を聞こうとする記者。そして調べたり問い合わせをしているうちに、
「大阪ガスサービスという会社は、大阪ガスの直接の関連会社のように見えて実は一部業務の委託を受けているだけの全くの別会社」
なのに
「大阪ガスのロゴを名刺やチラシに入れており紛らわしい」
という事実が分かってくる。
要するに、大阪ガスサービスショップ社員が「自分で点検し、あとで故障するようにして、故障したら自分に直接電話させる」というマッチポンプが可能な状態である、ということです。そのため、「点検」と称して、人の家の中に「大阪ガス」の代紋で侵入し、実質的には「営業活動」を行うことも可能、というわけ。
このように、ぱっと見ても、何も知らない人はほぼ確実に、
「大阪ガスサービスショップ=大阪ガス」
だと思いこんでおり、試しに実家の所属している町内会全員に今回の件を聞いてみたところ、全員が「大阪ガスサービスショップ=大阪ガス」だと思いこんでいました。そのため、これまでも苦情が多く発生しており、たびたび問題になってはいるのですが、大阪ガスに改善の様子は無し。
つまり、大阪ガスサービスショップというのは、地元の電気屋さんのようなもので、いわば「地元のガス屋さん」のこと。それが大阪ガスとの委託契約によって「大阪ガスサービスショップ」と名乗っているだけという話。そのため、マンションや町内会によっては大阪ガスサービスショップ自体を出入り禁止にしているケースもありました。
読んでいて腑に落ちないというか始末が悪いと感じるのは、大阪ガスや消防局の態度が明らかに煮え切らず、ズブズブな事情をうかがわせる部分だ。
この件は大阪ガス関係なのだが、他の地域・また定期点検で家や敷地に人を入れることが多い水道や電気などでも同様の悪質業者の癒着が存在する場合もあるだろう。
業者とインフラ管理会社との関係を見極めるだけでなく、点検作業中はできるだけ同じ部屋にいて作業の様子を見守る(=万一この件のようなことが起こらないように監視する意味合いも込めて)などの自衛と情報収集・事前の問い合わせを行うのがせめてもの自衛策だろうか。
これまで「点検業者に注意」といえば、もっぱら
・点検を装って家に入り込み、高額商品やリフォームのセールスを始めてしまいなかなか帰らない悪徳業者
・点検のふりをして実は空き巣やストーキングの下調べ
というようなものだったのだが、一見オフィシャル(特に高齢者はこの手のものにそうそう疑念を抱かないことが多い)な「点検のお知らせ」にまでも疑ってかからなければならないとは、これからのハウスキーピングも、(世間ではとかくお気楽極楽とバカにされるけども)世相に合わせてますます世知辛く、懐疑的に防衛しなければならなくなるというものだ。
この件とは全く違う話だが、いわゆる「点検商法」の悪徳業者もマッチポンプ破壊工作を行う場合がある。
今住んでいる庄内地方は、海からの強風に備えてトタンではなく瓦屋根が圧倒的に多い地域なのだが、瓦は昔に比べて色々材質が進歩したとはいえ、宿命的に割れたり外れたりというトラブル要素を抱えている。そんなわけで、「瓦屋根商法」の報告がここ数年で増えているという。
手口は、直接その家に「瓦見せて下さい」と乗り込むのではなく、「たまたま近隣の家で作業をしていた瓦屋根屋」や「大工」という設定で装ってくる。
「●●さんの家の工事をしていた者なんですが、上から見たらそちらの屋根瓦がだいぶ傷んでおり、このままでは危険です」
と話をふってきて、自分・あるいはツテの屋根屋をよこして、「点検」と称して屋根にあがりこむのだが、この時に
「壊れてもいない瓦を割ったりずらしたりして、修理しなければならない状況を作り出す」
ことがしばしばある。
で、デジカメで写真を撮って
「ほらこんなことになってましたよ!」
と脅すようにして、瓦の吹き替えや屋根のリフォームを高額で吹っ掛けるというのが典型的な手口だという。
(参考:屋根の悪質商法)
まあこうした悪質業者は最初のところで手口に思い当ってブロックできれば済むのだけども、大阪ガスサービスショップのように、お墨付き(があるように見える)の点検屋は実に厄介ではある。
[追記]
一方でこんな反論もあった。
ガス業界の人が、「はてな匿名ダイアリー」に書いたもの。
・ギガジンさん、間違っています!!!
まず、「メンテマンが売り上げを稼ぐためにわざとコードを損傷させたのでは?」と強くお考えのようですが、「そんなことは絶対に無い」と断言できます。
ガス業界の人間が、コードの損傷のような火事につながる瑕疵を見逃すことはありません。
なぜなら、「火事が起こった時点でその家はオール電化になるから」です。(特にLPガスエリア)
さらに、「メンテマン以外にさわったものがいない」との事ですが、私にはそれも疑問です。ギガジン様(記者のお名前がわからないので仮にこう記述させていただきます)は「カッターのようなもので切ったに違いない」とおっしゃってますが、掲示されております写真を見ますと、あまり綺麗な切り口ではありません。メンテマンが持つ道具は工具ですので、コードなどは綺麗に切れる道具しかもっておりません。ニッパーなどでこじる様にすればあのような断面になりますが、先ほどもうしましたように、火事の危険を押してコードを破壊する動機がありません。(大抵コードの破損はコードの交換で済んでしまいます。たいした金額になりません)
ギガジン様を全否定して、まことに失礼ですが、あくまで写真の印象ではあの断面は私の経験ではカラスや猫といった類がコードを噛んだような断面によく似ています。あの断面だけを見て「カッターだ、刃物だ」と何故判断されたのでしょうか。
確かにコードの部分は動物説も言われればわからないでもない(ただ、配管の外側はどうかと思うが…)。
この人の「常識あるサービスマン」としての主張には耳を傾けるべき部分が十分にあるけれども、だからといってこの人のように「動物いたずら説」さえ提示せずに、「家の人がやったんじゃない」とか言い出す大阪ガスの態度はやっぱりコンプライアンスとしてダメすぎるような。