ここ3,4巻ぐらいずっと思ってるのだけど、作者はもう、「終わらせる気」どころか「話を進める気」すらあるのかどうか怪しくなってきたような(巻末の予告を見る限り、まだまだ再戦は遠そうだし…)。あの作風で延々と藤木いじめが続くなら辛いなあ。
以前、とみ新蔵の「無明逆流れ」を読み、さらに先日南条範夫の原作小説を読んで、
「なんて普通の人類の範疇の話なんだ!!そしてなんて短いんだ!」
と驚愕したのだった。
そもそも分量的にも、ほんの30ページちょいの1短編。
虎眼先生は曖昧でもなければ魔王でもなければ庭の池の鯉を生で食ったりもしないし、牛先輩は口が裂けてもいないし、三重さまも刀を抱えて走ったり不十分な流れを披露したりもしないし、ぬふう兄弟もフェンシング坊主も登場しない。あまりにも多くのものが「山口独自要素」なのでさすがにたまげた。
「駿河城御前試合」に登場する11番の試合では、いずれも「尋常の流儀からは逸脱した独自の剣法を使う異能の剣士たち」が登場する。そのイレギュラーさが醍醐味なのだが、「シグルイ」ほどにびっくり人間大集合、しかも試合の当事者だけでなく、むしろ周囲の人間の方がよりびっくり人間というようなこともないので、あのテンションを期待して小説版を読むと期待外れに感じるかもしれない。
「がま剣法」においても、主人公である屈木はまだしも、千加さまの設定がまるっきり別人超人過ぎてやっぱり腰が抜けるレベルで驚いた。
原作小説の千加さまは、三重と同じような普通の(と言うのも元来変なのだが)「道場主の美しき一人娘」にすぎない。あくまで常人であって、「舟木流の兜割りをやりおおせたものが千加の婿」という話の流れは同様だが
・自分で兜割りができちゃう怪力女でもないし
・抗議の意味で馬一頭つぶしてかついだりもしないし
・あまつさえプチふたなりでもない
・千加の父が屈木に兜を投げる時、確かにわざと斬りづらいように投げるのだが、漫画のように顔面に投げ込んだりはしていない
・御前試合での対戦者まで違う(原作小説では屈木VS笹原修三郎)
という飛躍っぷり。
[追記]
すいません、なぜか完全に「御前試合のカードが屈木VS千加に変更」と誤解してこのくだりを書いてしまいました;
話のフリから考えても、原作通り修三郎との対戦と思われます;
そしてこの調子で他の試合の連中のバックグラウンドまでも、びっくり人間化をたっぷりまじえてこってり描くプランなのであれば、いったい何十巻になったら御前試合始まるんじゃろ…
20巻くらいまでは付き合うけども、今後の話の進み方によっては
「あたし、ついていけそうにない…」
と紀ちゃん化してしまうかもしれん。
原作小説は読んでないんですが、平田先生の漫画版では、鯉を食べてました
あと、先月頃の2chのスレで読んだんですが、
どっかのちゃんねらーが祖母にシグルイ読ませたら、いたく気に入り
「昔は、こんな爽やかな若者がたくさんいたんだよ」とほざいたそうな・・・
殆ど別物です。
しかし11巻はエロい!まるでエロマンガ!
原作はそんなにアッサリ風味だったとは!
もしかして脳挫傷deガーガーやセルフチュパとか
も無しなアッサリ風味ですか?
そりゃあもう天下一品ラーメンと栄屋のラーメンなみのギャップがありますな!
個人的には無明逆流れとちがいがま剣法は駆け足な展開だと思ったので、無明メインで他の話を短く織り交ぜつつ最後に全試合なのかな?って感じました。なにしろきちんと完結して欲しいマンガの一つです。
>原作小説は読んでないんですが、平田先生の漫画版では、鯉を食べてました
おお、そうでしたかー。平田先生の駿河城御前試合は読んでいないもので…参考になります。
>どっかのちゃんねらーが祖母にシグルイ読ませたら、いたく気に入り
「昔は、こんな爽やかな若者がたくさんいたんだよ」とほざいたそうな・・・
さ、爽やか…
まあ藤木は普通にいい人の部類だろうとは思うんですが…爽やか…
というか、キャラクターに対する感想を持てる程度には、あの臓物だらけの漫画のページを読み進められたということ自体なかなか凄いなと思います。もしかしたら若い頃、カストリ雑誌とか猟奇ものとか好きだったかもしれないですね。
>>ナックルさん
原作や原作に近いコミカライズを見ると拍子抜けするほど普通です(まあ一般には隻腕VS盲目の真剣試合と言うだけで十分なインパクトなのですが)。別物として楽しむ心の準備はできているので、あとは進行ペースが滞らなければそれでよいのですが。
>>manabuさん
作中で登場する虎眼流の弟子で名前が出てくるのは伊良子・藤木・牛股の3人のみなので、ちゅぱ右衛門ほかの内弟子は影も形もありません(当然弟子たちが次々に闇討ちされる話もないです)。
そうですね、無明逆流れがあくまでメインの構成だと思います。
がま剣法の枝葉の違いは沢山ありますが、話の流れ的には妥当なページ数だったかなと思います。
それにしても何かと言うと臓物の他にも汚物が出てくるなあ、シグルイ…
他の試合エピソードだと、「被虐の受太刀」(超Mな剣士の物語です)あたり、いかにも山口先生が好きそうなので、もし描くとしたら相当こってりな描写とページ数になりそうかも…
時たま書店やブクオフで立ち読みする程度ですのでマンガ版がどのようになっているのか知りませんが「被虐の受太刀」はその作風からしてとっくの昔に漫画化されているモノと思っていました。
とりあえずコレを描ききらないコトには、駿河城御前試合での最後の顛末へたどり着けないので山口先生にはガンバッテもらいたいところです。
自分が最後に見たシグルイでは、主人公らしい人が残虐無惨な手術で、失った片腕を治療されながら射精(←おいおい)していましたが...いかに水木しげる先生がスゴイ人間か再確認した次第であります...水木先生の腕を手術したのは眼科医(豆知識)ですし、戦場だから当然麻酔なし....ちょっと脱線しました〜
確かこのほかの御前試合といえば、試合開始を待たずにいきなり戦い始める剣士。本来対戦するはずではない偽物同士が対戦する試合。峰打ち専門剣士。う〜ん意外と地味で普通な人間しか出てきませんねえ....ヽ(´ー`)ノ
平田版御前試合があることは知りませんでした。是非読んでみたいです。
「シグルイ」ではずっと、尾ヒレとか背びれとかすごい肉とか謎の袋とか「むふりとずみれんま」とかが付きまくってはいるものの、「無明逆流れ」一本で展開しており、11巻で初めて別の試合エピソード(バックグラウンド)として「がま剣法」が登場(屈木はもうちょっと前に出てきておりますが)するという形です。11巻を見て初めて、「あ、別の試合のことも描くのか…」と思った次第です。
そうですね、「被虐の受太刀」なしではラストの流れが始まらない(あくまで原作の流れ通りにシグルイが進めばの話ですが)ですよねー。もっとも変態指数の高い話ながら(ゆえに、と言うべきか;)キーになるエピソードですね。
出場剣士たちは、地味という以前に、話の構成としてちょっと単調(両者の確執に高確率で"城下きっての美女"が絡む話がものすごく多い)な部分もあるので、漫画化にあたっては相当アクセントや独自要素を入れてくることでしょう。
>平田版
私も未読なのですが、「美形の剣士が嫌い」という理由から全編は描かれず、「無明逆流れ」もそのものではなく、インスパイアされた別の話が存在するのではなかったかと思うのですが確認しておりません。
いずれもけっこう大胆な(シグルイほどではないにしろ)アレンジが加えられているらしいです。