2008年10月20日

「プラモ・ボックスアートの世界 小松崎茂と昭和の絵師たち」平野克己一般書籍

図書館から借りたもの読了。とても見ごたえがあり面白かった。
原画ではなく、あくまで当時のロゴレタリングとか説明・煽りの文字入りの「箱絵そのもの」を並べてあるのが値千金。
中が見えない、箱を開けても当然その全容が分からないプラモデルの創作意欲・購買意欲をかき立てる、臨場感と雰囲気あふれる、「絵筆」の力に満ちた絵と、以下にも当時な力強いハンドメイドロゴがたまらない。
内容の割に価格もリーズナブルだと思うので、入手できるようなら買っちゃおうかなあ。

私はガンプラとかアニメ系モデルしか作らない軟弱者(それでも当時、プラモを買ったり作ったりする女子はずいぶん珍獣を見るような目で見られたものだった…って、20代になってからモーゼルのキット買って組んだ時も似たようなものだったかもしれん。シバタモデルのおっちゃんがずいぶん一から教えようとしてくれた。)で、ミリタリーとか車とかバイクとかは全然だったのだけど、「昔の模型屋のワクワク感」は強烈に蘇ってきた。

近年は作っても飾る場所もないし、アニメモデルはもう着色も接着剤も不要の至れり尽くせりな時代になって興味が失せてしまった。さらに昭和中期とかのキットだともうでっかいバリ取り必須だったわけで、隔世の感がある。
着色接着剤不要当たり前の時代になってからガンプラを作り始めた少年や若い人(それも今や希少種なんだろうなあ)にとっては、「えっ、色から塗るの?」「いちいち接着剤塗るの?」
と驚くかもしれない。

「ドラえもん」を読み返すと、のび太のおねだりにしばしば「プラモデル」が登場する。アホの子代表ののび太でも、モーターやらリモコンやらの電気工作混じりのプラモを塗ったり組んだりすることができたんだよなあ、当時の少年は…(まあ途中で投げ出す可能性も少なくないが)と思ってしまう。

本の内容は、タイトル通り、小松崎茂の作品を筆頭に、その弟子や、直接弟子入りはしていないが彼をリスペクトしてイラストレーションの世界に入った方たちの作品をピックアップしている。
最近はもっぱらCGとか、あるいは製品完成時の写真をメインに据えた箱絵が多い(特にアニメモデル)のだが、やはり絵筆が唸る「背景」や「兵士・操縦者」や、水しぶき、空と雲、水煙や爆発、砂埃や泥跳ねなどの世界観を演出するさまざまな描写が本当に素晴らしく、見ていて飽きない。

その中でも、高荷義之氏の製作逸話が面白かった。
この方はアニメモデルの箱絵やパッケージ以外のイラストも多く手掛け(箱絵イマイのマクロスシリーズとか)ているのだが、そもそも描くものを徹底的に調査し、出来る限り実銃や実機に触れたり見たりすることを信条にしている「リアリズムの鬼」のような方。だから架空のメカを描く上で最初は戸惑いがあったという話。

そんな具合に物にこだわる彼が悩んだ事があった。それはガンダムやダンバインなどのSFマンガのリアルイラスト化を頼まれた時で、「一体どうしてこんなデカい人型メカが空を飛ぶんだ」と真剣に考え込んだという。がしかし、そこは決断の早い彼の事、「飛ぶ事になっているものは飛ぶんだ」と云うSFの基本的原則「超能力や超メカを疑わない」と云う姿勢に立ち返ったのであった。
「ああいう仕事は頭を使わないから楽しいよ」と伸び伸び描いたであろうダンバインなどは、正にこの種のイラストのエポックメーキングな傑作となっている。
(同書136ページ)


こうした切り替えの早さもまた「プロだなあ」と思わせられるエピソード。

で、ネット上にその「ダンバインのイラスト」が落ちてないかと探したところいくつか発見。

takani1.jpg
↑はプラモではなく、ウォーシミュレーションゲームキットの箱絵。重厚な筆致で、バイストン・ウェルのファンタジー色が表現されている。

takani.jpg
↑はアニメ関連イラスト集の一部ページ。

ちなみにダンバインシリーズのプラモの箱絵は高荷氏ではなく開田裕治氏だそうで、(キットの中の評価はさておいて)これまたものすごくイイ。
参考:
ホビーショップビットクラフト 1/72スケールダンバインシリーズ
その他スケールダンバインシリーズ
(色々箱絵写真見れます)
posted by 大道寺零(管理人) at 20:38 | Comment(0) | TrackBack(1) | 一般書籍
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:[基本的に空欄を推奨します。詳細はこちらをご覧ください。]

ホームページアドレス:

(コメント投稿後、表示に反映されるまで時間がかかる場合がございますのでご了承の上、重複投稿にご注意ください。)
コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック

高荷義之―プラモデル・パッケージの世界
Excerpt: 高荷義之―プラモデル・パッケージの世界
Weblog: 忍者大好きいななさむ書房
Tracked: 2009-10-08 12:51
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。