返した本と借りた本の備忘録。
[返却本]
・対訳ブレイク詩集 [松島正一:編](岩波文庫)
返す期日が迫って斜め読みに近い状況になってしまったが、注のおかげで、ブレイクの詩を読むことはこの人の神秘思想ワールドを読むことなのはよくわかった。巻末の評伝も過不足なくていい。
・マンガの深読み、大人読み 夏目房之介(イースト・プレス)
第二部の「『あしたのジョー』&『巨人の星』徹底分析」と対談が面白かった。宮原・内田氏をはじめとする編集サイドの話、ちばてつや・川崎のぼるの著者の直接インタビューが興味深く、質問や切りこみ方も通りいっぺん・あるいはノスタルジアに走ったものではなく、夏目流なのがいい。
当時の回想から浮かび上がる梶原一騎像がすごくナイーブなのも意外。
特に「あしたのジョー」ラストの解釈論や、ホセ・メンドーサ戦にマンモス西やサチたちが来ていない理由についてのやりとりはファン必読だろう。
・食のワンダーランド 小泉武夫(日本経済新聞社)
紹介されている食材は、何度か小泉氏のほかの著作で取り上げられたものがほとんど(ホンオフェやヤシガニ・なれずしなど)だが、カラー写真が比較的多かったので。
・余目町の民俗〜ムラの信仰と行事
神社ウォッチング用。よく整理されている。
・燐寸図案-北原照久コレクション 荒俣宏(マガジンハウス)
北原コレクションマッチ箱部門から、昭和初期〜30年代くらい?の秀逸なデザインを中心にまとめたもの。見ていて飽きない。
喫煙人口もめっきり減り、禁煙の店が大多数を占めるようになって、「店マッチ」にお目にかかることも稀となった。小学生の頃、集めるの好きだったなあ…
・鳥山石燕 画図百鬼夜行(国書刊行会)
重い思いをして借りてみたら、よく考えてみれば私文庫版で持ってたよ…
まあ大きな版だと細かいところまで見えるのでやっぱり面白い。(と自分に言い聞かせる)
・スローターハウス5 カート・ヴォネガット・ジュニア(早川SF文庫)
序章が妙に読みづらかったが、本編に入るとその特異な構成の割にはスイスイ読めた。(本編に入る前に断りがある通り)オチらしいオチもなく、半自伝というのがよくわかる。多分カート・ヴォネガットマニア向けなんだろうなあ。これがお初だったのはミスチョイスだったのかもしれない。
ドレスデン爆撃で失われたものは、人命・文化資産ともに大きかったことは知っているが、「広島よりも悲惨」と何度も言われると、補注を読んでもなおモニョモニョするものは否めない。
・石原豪人 中村圭子(河出書房新社 らんぷの本)
広いジャンルの仕事がまんべんなくフォローされていた。
この人の絵って、描かれたそばから、絵とか線自体が勝手にエロくなっていくような印象を受ける。ほんと芸達者だなー。
・絵馬に願いを 岩井宏實(二幻社)
絵説きを中心に、珍しいものも見やすく整理されていて面白かった。カラーも多かったし、あとで買おうかな〜。
・戦う広告―雑誌広告に見るアジア太平洋戦争 若林宣 (小学館)
戦時中の雑誌・新聞広告から世相の移り変わりを見る趣向。大正〜昭和初期のデザインが好きなのでいくら見ても見飽きない。
意外とまだ開戦初期は商品やコピー・デザインにも余裕があったことがうかがえるのだが、それがだんだんと軍事色・節約色に染められていく過程がよくわかる。
戦時中は完全に合法な商品だったヒロポンの広告がすごい。「頭脳を明晰にして増産に貢献する医薬品」として扱われてたんだよなあ。
[借りてきた本]
・火の鳥 太陽編(上・下) 手塚治虫(朝日ソノラマ 大判)
・名作マンガの知られざる制作現場 ダメ!と言われて大ヒット 宇都宮滋一(東邦出版)
・日本の美術466 山岳信仰の美術 出羽三山(至文堂)
・とっておきのベトナム家庭料理 (マガジンハウス)
・江戸の判じ絵 これを判じてごろうじろ 岩崎均史(小学館)
・孫子 海音寺潮五郎(毎日新聞社)
・皇大神社吉田新田創建350年記念誌