「がんSTOP音頭」が掲載されていたかなりアレなブログ&WEBショップのサイトの中では、以下の記述も見逃せない。
ガンは、生活習慣病の一つです。
自分の生活習慣を見直し、正しい知識で自然療法でやっていけば元気になっていきます。
自宅で尿でがんチェックができます。
超早期発見になります。
健康は体温アップで安心!OK!: 6月28日がんSTOP運動セミナー案内
自宅で尿で細胞カラーチェッカーできます。ガンの赤ちゃん3ミリの段階でガンの代謝物が多いか、少ないか分かり、ガンの動きがわかります。超早期発見になります。
中国で10年前に開発された技術です。
日本は、5年前からお医者やクリニックなどお医者様の立場で扱えるよう新納事務局長が活動しておりました。やっと昨年末高原クリニックにて医者の指導の下お勧めしております。世界は、予防実践が始まっています。日本は、ガン死亡者が年々増え続けいるのです。
ガン死亡者の8割が治療による犠牲者であることをしっかり認識してください。
正しい情報を手にしてください。
健康は体温アップで安心!OK!: 「がんSTOP運動」に参加しよう。3
(ちなみに、「新納事務局長」の主宰するサイトでは、実に堂々と千島学説・森下学説の紹介が掲載されております。)
おっとっと。
夏頃、「尿でがん検査できるキット」なるものを発売して薬事法違反で逮捕された社長がいましたなあ。
問題のニセがん検査キットは「CCD」「CCS」といった名称で、「尿で簡単にがん診断できる」との宣伝文句で販売。プロジェクト社が約18万個(約3万セット)を仕入れ、マリア社に卸していたとされる。
調べでは3容疑者は医薬品の販売資格がないのに、仙台市内の健康食品会社など4社と都内の女性(61)に対し、無承認の検査キット9750個を約2214万円で販売した疑い。
昨年2月にマリア社の元従業員が警察に届け、事件が発覚。いずれも大筋で容疑を認め、南容疑者は「香港から輸入した」と供述している。
検査キットは尿と検査薬を混ぜて色の変化により陰性か陽性かが判断できる、という触れ込み。検査薬の成分は「亜セレン酸」と表示されていたが、実際は水銀とニッケルしか含まれていないことも警視庁の調べで判明。警視庁は専門家に照会し、このキットでがん判定はできないとの裏付けを取っている。
検査キットは薬局や通信販売などで1個2600円程度で販売。飯田容疑者らがセミナーなどの場で出席者に購入を勧めることもあった。
調べでは、同キットを使用していたがん患者のうち2人が死亡したという。歯肉腫だった女性患者は陰性だったことなどから手術を受けず、3月に死亡。インチキな検査キットが、結果的に人の命を奪うという悲劇を呼んでしまった…。
上掲のブログで紹介されている事務局長氏のサイトからはさすがにこの試薬の部分は削除されているが、当時の魚拓が残されていた。
一応
2008年7月18日『無承認がん検査試薬』事件とはまったく関係ありません
安心ください!
とは書いてあるが。
このカラーチェッカーの使い方は以下の通り。
自宅で朝一番の尿を紙コップに取る。
キットの小さな瓶にガン代謝物に反応する液を入れる。
次に紙コップに採取した自分の尿をキットにあるスポイトのメモリ2,5ccを瓶に入れる。
最初に入れた液と自分の尿と反応して代謝物が沈む。5分後8段階のカラーチェックの色で、ガン代謝物が多いか、少ないか自己判断できるのです。
ガン予防に優れものです。
病院で検査するCT,MRIは、ガンが1cmで発見。
PETは、5mmで発見できると言う。
細胞カラーチェッカーは、ガンが3mmで反応する。
どこのガンというのは、解かりませんが、ガンの代謝物が多いか少ないかの判断ができ、ガンの動きがわかります。
ガン治療中の方も、毎月定期的に調べて、今の治療法でよいか判断でき、安心して取り組めるのではないか。
健康は体温アップで安心!OK!: 尿で細胞カラーチェッカーは、自己判断できがん予防に最適!4
一方、逮捕された「CCD」の販売当時の使い方説明は以下の通り。
がん超早期発見検査キット(CCD)
■CCDキット(6回分)
初期段階におけるガン発生を、どなたでも簡単に、80%以上の確率でのがん
を見つける可能性を持っている検査キットです。
検査方法は、朝一番の尿の最初の1〜2秒は捨てそれ以降の尿を採取し、付属
の試液と混ぜ5〜8分後にできる沈殿物の色を、付属のカラープレートと比較
します。継続的な自己判定を行うことを目的としているため6本セットでの販
売となります。
価格:\16,800(税込み)
(民間医療 危ない情報 - 癌掲示板より)
残念ながらカラーチェッカーの試薬成分の情報が見つからなかったので比較できないが、写真を見る限りカラープレートの10段階の色などは非常に似通っている。
また、8/1時点の魚拓では
この試薬品は、中国吉林省生物院で製造され 中国では正式に
がん検査試薬品として認められた物です
とあるのだが、
A-WING::Frog is not Blog::ニセ科学関連::中国吉林省生物院?
で既に言及されているとおり、「吉林省生物院」なる団体・組織の実在が確認できない。
上記リンクにあるように、少なくとも公的な科学研究組織にはそれらしい名前がない。
「生物院」で調べてみると、広州にそう呼ばれている研究組織が存在しており、この記事によれば
中国科学院广州生物医药与健康研究院(下称“生物院”)
とあり、「生物医薬与(与=「and」の意)健康研究院」の通称であることが分かる。
しかしHITして出てくるのは広州の同組織ばかりで、吉林のはない?…と思っていたら…ああ…多分これじゃないか???
・*吉林生物研究院有限公司
「公司」とは「会社」のことなので、名前のちょっと見はなんか公的機関のような匂いだが、要するに「吉林生物研究院有限会社」。れっきとした私的企業であって、公的研究機関でも何でもない(もちろん「中国吉林省生物院で製造され」とだけあって、それが公的機関だとは一言も書いてないのだから、しかるべき権威のある研究機関?と早合点する方に問題がある…ということになるのだけども)。
そしてトップページの右下のほうに
・癌症検測
というカテゴリがあり、さらにその直下に
・査癌1号
というそれっぽい試薬キットの商品名がある。
製造販売元はこの会社のように見えるのだが…
そして、現在はこの「セルフ癌チェック商品」に関する項目はのきなみ無効リンクとなっているのだ。こりゃ怪しいんじゃ…?
产品特点査癌1号の概要に関するgoogleキャッシュによれば、検査手順はほぼCCDやカラーチェッカーと同じで、尿を採取してそれぞれの癌に対応した試薬に混ぜ、色の変化をカラープレートに照らし合わせて陽性・陰性を判断するというもの。
同文書では「5mmからの癌細胞をチェックできる」とも謳われている。
取尿液5ml加入到装有“癌症尿液检测试剂”0.6ml的安瓿中混堰C5分钟后观察记录结果。将有无沉淀物的色泽与标准色板进行比较,如无沉淀或沉淀物无色或黄色为阴性,如沉淀物为红色或褐色为弱阳性或阳性。弱阳性界限全部以色板3-4号色块为界线判定:深于3-4号色块为阳性,浅于3-4号色块为阴性。
尿を5ml取り、アンプルの試薬0.6mlに混ぜる。5分経ったら結果を視認する。
無色〜黄色は陰性、
紅色〜褐色は弱い陽性または陽性
弱陽性はカラープレートの3-4号の色と紹介して判断する。
3-4号の色より濃ければ陽性、薄ければ陰性と判断できる。
(临床资料/第一军医大学珠江医院-同有限公社の査癌1号の実際の運用に関する資料ページのキャッシュより)
残念ながら査癌1号の商品写真や試薬詳細は分からなかったのだが、文章を読む限り、使い方としてはかなり似ているように思える。
もし、「査癌1号=CCD」かつ「吉林生物院=吉林生物研究院有限公司」であるならば、「カラーチェッカー=CCD=査癌1号」と言う可能性が非常に高くなるのだが、残念ながらカラーチェッカーと査癌1号・吉林生物研究院有限公司との関係はこの程度までしか分からなかった。
それにしても…少なくとも同様の製品を製造販売していた会社・日本でカラーチェッカーの頒布を行っていた団体がどちらもキットに関するページの内容をすべて削除しているというのに、いまだに堂々とその痕跡をブログ内に残してらっしゃる「健康は体温アップで安心!OK!」の管理人さんは実に豪気で、ウォッチャーにはこの上なく助かる存在ですなあ。多謝。
「患者と医者をつなぐもの 尿検査でがんがわれば」
では、現役のお医者さんがこのインチキ試薬の件にストレートに嘆息しておられ、例の「がんSTOP音頭」についても言及があった。
この方のブログで初めて
ちなみに、一部のがんは、尿中の特殊なたんぱく質(ベンズジョーンズ蛋白)を検出して診断します。(多発性骨髄腫)
ということを知った。勿論それとて専門医や技師の手による精密な細胞診だろうから、こんなイージーな試薬とは比べるも愚かなことだろうとは思うのだが。
私は、手を尽くすだけ尽くした結果、家族や本人が代替医療や免疫療法・民間療法にすがる気持ちまで否定することはできないのだが、そうした切実さにつけこんで効果のないものや疑似科学領域のものを、それっぽい謳い文句で売りつけようとする手合いに対しては「こんなに(少なくとももっともらしい形で)野放しでいいんだろうか」という憤りに似た感情をぬぐえない。
ところで、カラーチェッカーを使っていたとかつてサイトにも明記されていたクリニックの院長のブログに目を通してみたのだが、これまたやっぱり意味が分からなかった。
最近の世相を見ると常識では考えられない異常な動機から、異常な方法による殺人事件が多発するようになってきたが、この社会現象と上記の癌死者数の激増減少とはどこかで一脈の共通原因があるのではないかと考えることはいかがなものであろうか。
例えば地球磁場(磁力)の現象化、ケイタイの普及(コンピュータ化の普及)に比例して人々の思考過程にもアナログ方式からデジタル方式化への影響を受けて、価値観(生命観)にもデジタル方式の影響が大いに出現し始めた結果、人々の切れ易い傾向が増加し、その結果の異常殺人事件の増加であるとか、デジタル化(機械化)による免疫抵抗力の現象によって癌死者数の増加の一因を招いているのではないだろうか?
院長のつぶやき
「デジタル化(機械化)」ってサラッとカッコ書きしているけども、怖いわぁ。なんか現代人の顔や体になべて松本零士メーターが埋め込まれているような(この表現も今見ると相当アナログではあるが)。
そして最初のパラグラフで
この社会現象と上記の癌死者数の激増減少とはどこかで一脈の共通原因があるのではないかと考えることはいかがなものであろうか。
普通「Aはいかがなものであろうか」と書いたら、「Aはよろしくない・ダメだ」の意味だと思うが…
自分で以下の内容に疑義を表明してどうするんですか院長先生。
ぶわはははは(>▽<)う、うまいっす!
座布団3枚 !!
機械化してるんなら、バグもあれば初期化も出来るんですかねぇ(^^;)
容量足りなくなったら乗せ替えますか。チップとか水冷周りとかどんどん交換して行ったら、原型が残らんくなったりして(爆)
「機械化=機械伯爵みたいになる」という私の発想もいい加減アナログではありますがw
確かにこの院長がおっしゃるようにそんなに簡単に「機械化」できるものなら苦労しませんよなあ。私もスリムケースに換えたいわぁ〜。