2009年01月07日

おらほの主君TV

山形市出身だからつくづく思うのだが、本当に悪い意味で「内陸山形人」らしい、"ちっせぇ"話だなあと。

asahi.com(朝日新聞社):最上義光、悪役やめて NHK「天地人」に山形やきもき - 文化

 4日、スタートするNHK大河ドラマ「天地人」で、山形城主・最上義光がどう描かれるか、関係者が注目している。NHKはまだ配役や役どころを公表していないが、過去の大河ドラマでは悪役だった。今回、どの場面がどのように描かれるかで観光面への効果も変わる。関係市町はNHKに「舞台に我が町を」「文化人としての義光も描いて」と要望を重ねている。

 先月13日、今井義典NHK副会長や天地人チーフプロデューサー、県や市町担当者が集まり、山形市で懇談会を開いた。関係市町にとって、義光がどう描かれるかは重大な関心事。主人公は上杉藩の重臣、直江兼続で義光は敵役に違いないが、扱われ方で観光へ波及効果が期待できる。

 関係市町には、もう一つ心配がある。87年の「独眼竜政宗」で義光は、主人公、伊達政宗を権謀術数で追いつめる役で有名になり、悪役としてのイメージが広まった。平均視聴率は39.7%と歴代大河ドラマ1位を記録した作品だけに、影響は大きかった。

 山形市の昨年12月議会でも市議が、家督争いや謀略で敵を陥れる義光を描いた市史を見直すよう提案した。市川昭男市長は「市史は戦国武将の一面を取り上げた」と答えたが、見直しには言及せず「文化人の一面を新たに発信したい」と述べるにとどまった。


主人公と対立する勢力の大将なんだから、「悪玉」に描かれるのはお約束みたいなもんで仕方ないだろうに、行政やら議会が率先してジタバタしてどうするんだか…本当に情けなくなってくる。
大河ドラマに限らず、誰を主人公に据えるかで人物の描かれ方は180°変わるのは今に始まったことでなく、例えば上杉謙信にしても、「天と地と」に登場する謙信と「風林火山」に出てくる謙信のイメージはまるっきり違うわけで、大河ドラマはむしろそのさまざまな描かれ方の違いを楽しむ枠じゃなかろうかと思うわけで。

この記事を見ると、「独眼竜正宗」の最上義光の描写によっぽど地元がご立腹・ガッカリしたという感じに読める。
確かに完全悪玉の憎々しい人物に描かれていたけれど、原田芳雄の入魂の演技は素晴らしいインパクトがあり、私は生半可な俳優に半端なワル演技をされるよりよっぽど嬉しく、原田氏に演じてもらって本当に良かった!と今でも思っているし、同世代では同じように思っている人が周りには多かったのだが。

そもそも「独眼竜正宗」に登場するまで、山形という片田舎にこんなクセモノ武将がいたということ自体知らなかった人のほうが圧倒的に多かったわけで、悪玉善玉と騒ぐ前に、認知度が無から有になった意味のほうが大きいんじゃないだろうか。
最上義光の人物再評価の流れ自体が地元ですらごく最近のもので、知らない人相手に再評価だイメージアップだと騒いでも仕方がないことだし。

山形県では昨年あたりから直江で観光誘致というキャンペーンが盛んに行われていて、山形市あたりではぜひとも米沢メインに向かう観光客をついでに引っ張りたいという思惑があって当然だろう。
ただ、山形(内陸〜置賜)の観光でメインとなる
・食べ物(特に米沢牛)
・果物狩り
・温泉
・地酒
・史跡観光
のすべての要素が置賜地方で完結してしまうので、ただでさえ厳しいところではある。
ツァーとしては、内陸すっ飛ばして庄内に行って藤沢周平関連につなげるほうが、「天地人」のゆかりで観光に来るような客層には受けるかもしれない。

ともあれこんなセコい騒ぎ方をしたのでは、「良く分からんけど、最上義光もその程度のちっさい人物だったんでは」と思われておしまいじゃないだろうか。
そもそもNHKも、各地の町おこしのためにドラマ作ってるわけでもないし(少なくとも建前的には)、気にし過ぎだと思うのだが…
もっともこんな小細工的な論議が、毎年日本のどこかで行われているのかもしれない。外に出てこないだけで。


このドラマに関しては、何しろ脚本が小松恵理子なので最初からロクなものにならんだろうとしか思っていない(あくまで個人的に)。
この人の場合、特にダメな点として

・とにかくロクに下調べをせず、現代ドラマでも地理的にひどい間違いを平気でする(時代劇ではこの調べなさは特に致命的)
・主人公をひたすら持ちあげ、周囲の人物を味気のないステロタイプな悪・無能者として描くことしかしない(その意味では多分最上義光のキャラクターが山形市の意に沿えるものになることはないだろうと思う)。説得力のない行動でも「主人公のおかげ」と周囲の人間に言わせて解決する
何もかもが悪い意味で「マンガっぽい」

などが有名なので、本当になんでこの人に大河を書かせるんだか不可解なんだよなあ…
このダメ脚本家に変に横槍入れたところで、ただ話が迷走して描写が中途半端になるだけだと思う。
悪役なら悪役で、徹底的にやってもらえばいいじゃまいか。

とりあえず第1回を見た時点では、妻夫木聡の髪型が「普通の髪型+申し訳程度に後ろを結ってみました」みたいな感じでマゲにしてないところにやる気のなさを感じたり…
とはいえ、子役はとても良かった。完全美少年タイプじゃないのがよろし。特に泣く演技の本気度には恐れ入った。
posted by 大道寺零(管理人) at 20:58 | Comment(5) | TrackBack(0) | TV
この記事へのコメント
コメントからお邪魔致します。

零先輩、明けましておめでとうございます!今年も(今年から?)よろしくお願い致しますm(_ _)m

ですよね、同感です。内陸人はほんとちっせぇっすよ。ってそんなボクも生粋の内陸人ですが。『独眼竜』の義光公は最高だったと思います!ボクはあれから悪役と原田芳雄氏の魅力に落ちました・・・(笑)。仕事で『天地人』は見てないんですが、予告見た限りでは、ボクもあの髪型はどうよ?と思いました。でも北村一輝好きなので、録画しておこうかな〜、と悩んでおります。

ご報告・積もる話?もありますので、また改めてメールさせて頂きます!
Posted by 松永霞月 at 2009年01月07日 23:16
私は、40年来の原田芳雄ファンですが、「独眼竜」の最上公は、彼の名演でただの悪役にとどまらず、魅力ある人物に思えましたが。「天下は狙えなかったけど、オレ頑張る」も城主の本分でありましょう。
 最近、大河にはご無沙汰なので今回もスルーしそうです。
 大阪人の私は「晩年の太閤さん」がどんなに阿呆爺に描かれていても、しゃーないな、としか思わなくなりました。
Posted by ネコトシ at 2009年01月08日 17:55
ゲストで、前田慶次が出てくれば文句無いけど、どうでしょうね。

原哲夫ファンなんで。
Posted by ナックル at 2009年01月08日 19:33
こうなったらもう一度「おしん」ブームを巻き起こすとか考えた方がまだちょっとは前向きなんじゃないかと思いますね山形市。(それもどうだ) でも原田芳雄の最上義光て悪役ではあったけど、冷徹なだけじゃく人間臭いところも多分にあって良いキャラだったですよね。岩下志麻と兄妹だなんて濃すぎて最高じゃあないか!今大河の義光もそういう深みのあるキャラにしてくれれば有りがたいですが。
しかし20数年後にタモリ倶楽部でタモさんと鉄道話にキャッキャッキャッキャと華を咲かせようとは、政宗の頃からは想像も出来なかったぜ芳雄…。
Posted by 妖介 at 2009年01月09日 04:43
>>松永霞月さん

いらっしゃいませ、どうぞ今後よろしくお願いいたしますね。
正宗のキャストは絶妙で、最上義光=原田芳雄様についても当時ずいぶんと玄機先輩と萌え語りいたしました。ほんとにあの原田さまは最高でしたよねー!

内陸人はちっせぇ、と書いてはみたものの、山形の別地域の人間が比較してでっかいかと言えばさしてそんなこともないと思うのです。
ただ、米沢の人が抱く上杉家、鶴岡の酒井家、大名じゃないですけど酒田における本間家のように、愛着と誇りを持てる主君格の存在というか、自信を持ってよりどころにできる存在がないように思うんですよね。
それは最上家が早々に改易されて以来、派遣的に来る殿様ばかりだったという歴史的背景が大きいわけですが…

>>ネコトシさん

これから再び最上義光がドラマ等に登場することがあっても、おそらく原田氏ほどのインパクトと奥行きを持った義光にはお目にかかれないでしょう。そう確信させる素晴らしい演技でした。
後から調べたところ、やはり「悪役にしすぎないで」という要望が山形サイドから入って、人間的な深みや身内への温情などが追加でエピソード挿入されたのだとか。
結果的には良かったと思いますが、現場の演出スタッフや、何より演じられた原田芳雄さんはご苦労なさったのでしょうね。
同番組では、正宗の生母・義姫もまたわが子を毒殺しようとする大河ドラマ史に残る悪役でしたが、その葛藤も深く描かれており印象的でした。

>「晩年の太閤さん」がどんなに阿呆爺に描かれていても、しゃーないな、としか思わなくなりました。

なるほど…
戦国時代を描いたドラマでは漏れなく皆勤賞の秀吉ですが、どのようなキャラクター設計であっても、晩年は概して…ですからねえ…

>>ナックルさん

前田慶次は直江兼続と交友があり、一時期上杉家に身を寄せて合戦にも参加していますから、間違いなく登場することでしょう。なお、キャストはまだ発表されていません。
一度前田慶次で大河やってみては?と思うんですが、史料があまり残ってないので難しいですかねえ。まさか花の慶次そのまんまは、NHKでは無理ですし。

>>妖介さん

実は山形県ではいまだに「おしん」は観光資源としてまだ引退はしてない感じのところがあります。
日本海トライアスロン大会に「おしんレース」なんて名前もついてたり…ええホント、責任者出て来いな感じですし…
放映後しばらくは、まんじゅうやせんべい、漬物はもちろん、「おしんトイレットペーパー」まで出る始末で、それはどうなんだと思ったものです。
「おしん」はなにげにアジアで放映されるたびに今でもブームになっており、昨年あたりは台湾からおしん関係で山形に観光に来た人がバカにできない数だったそうで…昔の朝ドラとかたづけられないものがあるようです。山形の観光関係者は小林綾子さんに足を向けて寝られませんな!
その一方、「山形=百姓&ビンボ」という強烈な印象を日本全国に刻みつけられてもしまいましたが…

原田義光は本当に、野性味ギラギラと、人間としての奥行きが同居した素敵な演技でした。義姫さまとの間の兄弟の情なんかもよかったです。
今眺めてみると濃い役者が多くて(秀吉は勝新でしたし…)、キャスティングがまったく神がかってましたね。
ひるがえって今期大河を見ると(今季に限ったことではないですが)、スイーツ色全開と揶揄されるのも仕方ないかなと…

>しかし20数年後にタモリ倶楽部でタモさんと鉄道話にキャッキャッキャッキャと華を咲かせようとは、政宗の頃からは想像も出来なかったぜ芳雄…。

私も、初めてカメラ片手に単なる鉄ちゃんとして満面の笑みではしゃぐ芳雄様を見た時は衝撃でした。
普段でも怪優のオーラを隠せない芳雄さまだからこそ、余計に可愛すぎる…
Posted by 大道寺零 at 2009年01月09日 16:51
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