最終回の特集は「国民的ドラマ」で、取り上げられたのは「時間ですよ」と「おしん」。
「春よ来い」あたりから橋田ドラマはめっきり好きじゃなくなったんだけど、やっぱり「おしん」は、やってると見てしまう。
当時の山形の浮かれっぷりといったら実に異常で(「おしん」と言う名前の付いた雑貨や食品類が乱発され、果てはトイレットペーパーまであった)、ある意味いつも気恥ずかしさが伴う作品(山形の良さではなく、農村の暗部の描写がほとんどだし)なのだけど、やはり良く出来ているし、いつ見ても子役が圧倒的にいい。
ゲストの一人は当然ながら小林綾子(いつまでも「おしんちゃん」のイメージが抜けきらないのが本人的には大変だと思うが)。1年間のドラマの中での子役時代は6週間程度…という事実は、本当に意外なほど短い。3ヶ月くらいあったような気でいた。
貧乏な小作農家に育ったおしんは、口減らしのために「米一俵」で材木問屋に奉公に出される。まあ要するに「米と引き換えに身売りをする」というわけだ。
そのシーンを放送して間もなく、新潟のさる老婦人が、NHKスタッフあてに米一俵を送ってきた…というエピソードが紹介されていて、驚いてしまった。
おしんの可哀想な境遇や奉公先での辛い描写にいたたまれなくなり、「私がその米一俵を送りますから、おしんちゃんをこれ以上辛い目にあわせないであげて」という意味なのだろう。
誠にナンセンスな話なのだが、そのご婦人の気持ちはよく分かる。そうせずにはいられなくさせるほどに、あの小林綾子のおしんは「いたいけさ」「いたたまれなさ」の権化だった。
プロデューサーはそのご婦人に対し、「このお米は、劇中で白米を食べるシーンにありがたく使わせていただきます」と丁重な返事を送ったという。
「お宝TV」に登場する名番組の製作秘話を見ると、「面白かった番組はどれもとにかく"スタッフが本気"」というのがほぼ共通している点で、おしんもまた、長期間かけておしんの生家跡にふさわしい廃屋を探したり、大根飯を作るための器具を探し出したり、それが演者の本気の演技を引き出したりと、相乗効果を発揮していたことがよく分かった。
おしんの少女時代はどのシーンも印象的だが、比較的幸せだった加賀屋での生活に登場する大奥様(長岡輝子)が好きだった。当時は、ハイジに登場する「クララのおばあさま」の厳しいバージョンというイメージだった。おばあさまも確か、わりとやり手の実業家だったはず。
東てる美演じる「お加代さま」も、最初はいけ好かないお嬢様キャラながら憎めず、最後は可哀想な境遇になったりと、印象的だった。
あと、最初の奉公先でおしんに盗みの濡れ衣をきせる女中・つねは、何歳になっても見るたびに死ねばいいと思う。あのくらい徹底したイヤな奴を演じるのも大変だったんだろうな。
それにしても、平均視聴率52.6%、最高視聴率62.9%。こんな数字を、慌ただしい平日朝の時間に叩きだしていたというのだから本当に化け物みたいな番組だったと思う。
「お宝TV」で取り扱う番組には外れがなく、しかもNHKの番組には珍しく、民放の名作も積極的に取り上げていたので好きな番組だった。(芸能人側のゲストトークがダルかったりしたが…)
NHKも本格的にアーカイブのオンデマンド商売を始めたところなので、名作プレビュー的な番組をまた放送してほしいものだ。でもきっと、同様の新番組ができても、NHKオンリーになりそうなんだよなあ…
「日本人?どこから来た?」って聞いてきたんで、
「山形だけど知ってる?」ったら、
「知ってるよ〜!おしんだろ〜!イランで観たよ〜!」って・・・
マジで「おしん」スゲェ!って思いましたよ。
当時、無理やり親に見せられてチャンネル換えたら親父にぶっとばされました・・・。
小さい子供だったんで・・。
「おしん」子供時代はたった6週間ですか。リアルタイムで観ていた頃の私は大学生でしたが、やっぱりもっと長かったような印象を持っております。
イラン本国で、ではなくバリでその会話があったというのがまたすごいですね〜。
イスラム圏での「おしん」は今でも当時の日本以上の人気で、イランでは平均視聴率80%だったらしいです…恐るべしおしん…
調べれば調べるほど。小林綾子とか田中裕子が親善大使になって、イスラム方面でちょちょいと交流行事とかやったら、原油1年分くらいポンとくれるんじゃないか?と思えてきます。
>>ナックルさん
お子さんには暗くて地味な内容ですからねえ。
それにしてもナックルさんのお父様、荒々しすぎる…w
>>ネコトシさん
伊東四朗さんのおしん父は本当に印象的でしたね。やや冷淡なように見えて、おしんと別れる有名な川下りのシーンで、いきなり感情の堰を切ったように「おしん!おしーん!」と雪の中を駈け出して転んでしまうシーンは何度見ても号泣です。あの頃から役者業にウェイトを置き始めたような印象があります。
おしんのダンナについてはほぼ同印象です。
今見ると、おしんが要所要所で苦労に見舞われるためにはあの位失敗続きだったり時にヘタレだったりしなければいけなかったのでしょうけど、あの当時何千万の人が「あ〜、だから浩太さんとくっつけばよかったのにーー!!」と身をよじっていたことかw
決して詳細がないわけではないのだけど、運がない人なんですよね。最後には自殺してしまうし…
あのおしん夫を見ていて、中学生ながら「優しさだけで男を選んではならんのだな」とちょっと悟った気がしました。えらそうだな当時の私。
前酒田市長のO氏がまだ現役の頃、とある場所で一緒になり、話の途中で彼は「酒田は観光の資源がないからな。」と言いました。私が「おしんがあるじゃないですか。」と言うと、「あんな暗い話・・。」と言いました。
私は畳み掛けるように、おしんが世界中で見られている事、辛い一生の内で加賀屋で可愛がられ一人前の教育をされたのが酒田だった事。ドラマを見た世界中の人が、酒田に来てみたいと思っている事を話しました。それからは前市長は「おしんの酒田」を全面に出すようになりました。ちょっと考え方を変えるだけで、前向きになるものですね。
おしんは怪物のようなドラマになりましたね。
撮影当初は、そんなに凄い物になるとは思わず、
「日枝神社で、ドラマの撮影してるよ。」
「誰が来てるの?」
「泉ピン子と名前の分からない子役。」
「じゃ、見に行かない。」
と言ったものです。orz
子役は大成せずの喩えに逆らって、小林綾子ちゃんの変身は見事です。
あんなに賢く上品に美しく・・なりましたね。
なんと、cake姐さんは立役者でしたか!
加賀屋でもおしんは奉公と勉強の二足のわらじ、使用人に妬まれたりと苦労はありましたが、もっとも実りある時期だったような記憶(もはやおぼろですが…)があります。
「お宝TV」でも、日本にいるエジプトの女子留学生
がおしんから受けた影響について語っていました。「リアルKAGAYA」である鐙屋など、もっとPRすれば外国のお客さんにも興味を持ってもらえるかもしれないですよね。
おしんが延々嫁いびりをされる展開が続く佐賀編では、「佐賀のイメージが悪くなる」と公的なクレームが来たらしいです。それに比べれば酒田は「おしん」的には美味しい場所と言えるのでしょう。
日枝神社あたりでもロケをしていたのですかー。何しろブレイク前の子役のこと、誰も知らなくて当然ですよねえ。
小林綾子さんはほんとに、あの清楚さを持ったまま大人になられましたよね。いまだに「真っ赤なほっぺのおしんちゃん」の垢ぬけないイメージに苦しむこともあるのでしょうけども、今後とも活躍していただきたいですね。