兄のあだち勉は先にデビューし、フジオプロに所属して作品を書いていたが、早くから弟の才能を高く評価しており、のちにマネージメントに専念するようになる。(このあたりの話は、「『ダメ!』と言われてメガヒット」に詳しい)
「タッチ」で注目され、「みゆき」で大ブレイクするまでにはなかなか売れない時期が続くのだが、この「牙戦」もその時期中の1975年にサンデーで連載された作品。
野球漫画なのだが、「あだち充」「野球漫画」と聞いて想像するものとはおよそ似ても似つかない代物なのは、きっと滝沢解の原作付きだから、ということなのだろうか。この人もほんとアクが強い作家だからなあ…
この作品の詳細なレビューは、
・バカ漫画47 牙戦(遭遇編)(古書の店gallery)
でどうぞ。ほんとにぶったまげる内容です。
「ルール無用」度においては、アストロ球団を超えているかもしれない…
「男どアホウ甲子園」と「アストロ球団」と「巨人の星」を足して「野球のルール・スポーツ性」をさっ引いたらこうなりました、という感じだろうか。
男女の関係性に関しては、梶原というより小池一夫イズムに近いものを感じる。
あだち充は石井いさみのアシスタントを経験しているのだが、この作品の絵だけを見るとむしろ大島やすいちあたりに近いような気もする。
時代背景(オイルショック)の影響もあるが、一度も単行本化されていない文字通りの黒歴史。古本屋さんならではの貴重なレビューがありがたい。ぜひラストまでのレビューを期待したいところ。
すさまじ漫画は読み慣れてるつもりの私ですが、色々と顎がとっぱずれそうな展開に驚愕でした。
まあ単行本化の機会がないというだけで、あだち先生自らが封印なさってるかどうかは不明なのですが、将来出したところで正直メリットもなさそうな…
今となっては原作者も故人なので、単行本化計画があったとしても難しいかもしれないですね。この人が手掛けた作品って、絶版とか未単行本化がやたら多い…