*YouTube - 手紙 親愛なる子供たちへ − 樋口了一 −
ストレートな歌詞、そして穏やかで美しい旋律。
ここまで「人間の老いの最終段階」に真正面から向かい合った歌は、ミドリカワ書房の「恍惚の人」ぐらいでは。
義理祖母の最晩年、私は食事を作って出すくらいのことしかせず、介護の一番大変なところは義理両親にまかせっきりだったが、本当に綺麗事では済まないことばかりだった。
この曲は実の親子ならではの心情を歌ったものではあるけれど、これを聴いた後なら、介護に当たっている肉親が、元気だった頃の状態と比較して失望のあまり憤ったり、先の見えなさにイラついて怒鳴る回数が、きっと5回から2回くらいに減るんじゃないかと思える。
祖父・祖母と呼べる存在は既に私には無く、4人の父母の晩年と付き合うであろう年月が待つのみだ。
かつてその人が聡明であればあったほど、痴呆となった姿は痛々しく、現実を受け入れ難いものだ。
この曲では自分が子を育てながら得た実感をもって老いた親に共感するという歌詞なのだが、子を持てなかった私にとって、果たしてどこまで最後まで親に感謝と尊敬を持って接することができるのか、義理両親には相方を産み育ててくれた感謝を失わずにいられるのか、大きな不安がある。
樋口了一の曲では、「1/6の夢旅人」は言うに及ばず、石川さゆりに提供した「朝花」もとてもいい。どうでしょう祭りで生歌を聴いて感動し、即CDを買ってサインをもらったのは宝物だ。
この曲の中にも、「手紙」と共通するような歌詞(人は命をつないで生きるというような内容)がある。
*YouTube - 樋口了一(Ryoichi Higuchi) - 朝花(Asabana)
私の実家の母は、カラオケで歌うのは恥ずかしがるのに、家の中で家事をしながらやたら鼻歌を歌うのが好きな人(そのせいで私まで否応なしに懐メロやら大昔の唱歌に通じてしまった。幼稚園児の前で芸者ワルツとか歌うのは今思えばどうなんだカーチャン)なので、個人的にはこの歌を聴くとめちゃくちゃ切なくなります。
「泣ける歌」を探していたら、いつの間にかミドリカワ書房にたどりついていた。
歌ごとに重いテーマがあり、心を切りつけるような歌詞の多いミドリカワ書房だが、確かにどれもこれも"来る"曲ばかりだ。
(人によってはトラウマを喚起されてしまう可能性もあるのでご注意ください)
何がテーマかは、たいてい1分も聴けば分かる構成になってます。
*ごめんな‐ニコニコ動画(ββ)
3分あたりで涙腺の耐久度が0になった。
*「転校生」 ミドリカワ書房‐ニコニコ動画(ββ)
↑の後日談・続編的存在の曲。逆の視点からということかな。
*ミドリカワ書房 - 恍惚の人‐ニコニコ動画(ββ)
ミドリカワの代表曲の一つ。
「手紙」と同じテーマだが、アプローチが180°違っていて、こっちはこっちで心にクるものがある。
*「おめえだよ」 ミドリカワ書房‐ニコニコ動画(ββ)
冒頭からあまりにもヘビー。それなのに途中からさらに…
一応視聴注意と言うべきか。
ミドリカワ書房、ソニーから切られちゃったんだよね…やはり歌詞の内容がソリッドすぎたからなのだろうか。