「kindle」とは、アメリカでAmazonが販売しているポータブル電子ブックリーダー端末機のこと。
デジタル出版社が提供していた電子ブックが、カナダやオーストラリアの基準では著作権切れの「パブリックドメイン」の条件を満たしていたので提供されていたのだけども、アメリカ基準だとまだパブリックドメイン化していなかった…ということが判明。
で、Amazonはラインナップからデータを削除し、購入済みの顧客には返金を行うと説明した。
Kindleユーザーは、購入したKindleブックをAmazon.com内の本棚に保管し、WhisperNetという通信技術を通じて本棚内のKindleブックを対応するリーダー端末に同期・転送する。現時点でKindleプラットフォームでは、Kindleストアでの商品の取り扱いが中止になると、購入者の本棚にも反映され、購入者が気づかなければ、そのまま同期を通じてKindleやiPhoneなどのリーダー端末からも消えてしまう。 Amazonとしてはリーダー端末からの回収が目的ではなく、権利に問題のある商品の取り扱いを中止した結果、購入者のリーダー端末内のコピーも削除する形になっているようだ。
しかしながら、これが普通の書物だったら、問題が発覚したとしても販売済みの本が強制的に回収されることはないだろう。夏休みの宿題として「1984」をKindleで読み進めていたという学生は、Kindleブックと共に途中までのメモ書きを失ってしまったとこぼしている。削除と代金の返金という対処に納得していない購入者は多い。そもそも流通するはずのない商品が流れたのが、今回のトラブルの原因であり、急成長の裏に見え始めた Kindleストアの綻びを、米Amazonがどのように修繕するかが注目されるところだ。
それにしても、あちこちで漏れなく言及されていることだが、この
「偉大なる管理者様が勝手に自分の本棚に介入し、都合の悪い書物を消去した」
対象となったのが、こともあろうにオーウェルの「1984」と「動物農場」というのがもう、偶然とはいえ洒落が利き過ぎというか、あまりにも出来過ぎで、不謹慎ながら笑いをこらえることができないのだった。
この「居ながらにして」「知らないうちに」「遠隔操作で」っていう状況・感覚がほんとに1984。
(参考:wikipedia「1984」の項目)
電子書籍とか電子配信ムービーが今一つ好きになれないのが、「データそのものを購入できるのではなく、多くの場合"一定条件内のデータアクセス権を購入できる"にすぎない」点(電子書籍ではローカルPCにデータ本体をダウンロードできるサービスも多いが)なのだが、その商品としての弱さというか不確実さ、顧客側の立場の弱さというものが浮き彫りになった話かな、と思った。
人の家に無断で上がり込んで蔵書に火を着けるAmazon, みぞーゆーの愚行
によれば
Update 2: Amazonは愚行であったことを認め、これからはもうしませんと言っている。でもInformationWeekの記事によると、FTCがAmazonの今回のいかがわしい行為について調査するかもしれないそうだ。
という反応があったらしい。