原作がすっごい好きで、最初「三谷幸喜脚本」と聞いた時は「……どーかなあ……」と思ったんだけども、人形の造形とか操演の良さもあって、毎回楽しめてます。
三谷幸喜特有の、あの「笑っていいんだか何だかよくわからん、そのわりにちょっとくどいギャグ」は、三銃士の中で見るうえではやっぱりあんまり好きじゃないんだけども、やっぱり元が面白い話なのでそこまで気にならないかな、今のところは。
<公式:音出るので注意>
NHK 連続人形活劇「新・三銃士」
人形の造形がかなり思い切っていて(特にロシュフォールやアラミスの腕がすっごい長い、かなり極端なプロポーションだったり)、最初はアクの強さを感じる。
アラミスも最初は「えっ、ちょっとおっさんっぽすぎないか?」と思ったんだけども、実際に動いて喋ってとしていくうちに、みんなカッコよく見えて来る。
ダルタニアンやアラミスなどの美形系キャラは、表情は目が動くだけなんだけど、ポルトスとかの「眉毛まで動く」キャラクターはみているだけで楽しい。そしてこんな細かいところまで動かせるのかと驚かされる。
あと、奥行きとかアングル、縦の動線を意識したカメラワークも、いい意味で「人形劇離れ」していて面白い。
また、人形劇で「走るシーン」というと、腕とか首をプラプラ振りながら人形が横に動いて行くだけというイメージがあるんだけども、この作品ではちゃんとしっかり足が浮かずに走っている感じで操演されていて、「おおっ!」と思う場面が多い。
脚本・シリーズ構成で評価したいのは、設定を全て子供向けにせず、所々にオリジナルを生かしつつ、ちょっと大人な部分も残していること。
一番分かりやすいのは、作中のヒロインであるコンスタンスの設定かなと。
原作小説では、コンスタンスはダルタニアンの家主であるボナシュー氏の、年の離れた幼な妻。で、ダルタニアンと恋に落ちる…ということは要するに人妻の不倫(間接的だけどちゃんとデキてる描写がある)、なわけなんだけども、子供向けの三銃士ものではやっぱりそこはちょっと、そのままで使うわけにはいかない。
なので、「アニメ三銃士」をはじめとする低年齢向け作品では、コンスタンスは「ボナシューの娘」などの無難な設定になっていることが多い。
てっきりこの人形劇でもそうするのかな?と思いきや、ちゃんと「人妻設定」にしてくれたのは大いに評価したい。
また、ポルトスの初登場時に、「女のベッドの中で赤ちゃんプレイで食事中」というシーンがあるのだが、ここで人払いした後に
ダルタニアン「奥様ですか?」
ポルトス「ああ、そうだよ。」
ダルタニアン「可愛らしい奥様ですね。」
ポルトス「俺のじゃねえけどな!」
なんて会話もあったりして、個人的にかなりグッと来た次第。
原作では主要人物それぞれに従者がいるんだけども、大半はオミットされ、そしてダルタニアンの従者プランシェは猿(プリンプリン思い出す)、ミレディーの従者ケティは猫(まんまだなあ)に変更されている。
このあたりはまあ、人形劇/名作ものとしてお約束のペットキャラということか。大人の目で見るとちょっとやかましいんだけどもね……
そういえば原作ではケティはダルタニアンに惚れていて、ダルタニアンもそれを承知で彼女を垂らしこんで、色仕掛けでミレディーへの反撃の端緒を掴む……という展開があるんだけども、まあこの辺は普通にオミットされることだろう。
とりあえずダルタニアンの口調が、いかにも今時のリアルな若い男の子、という感じなのが三谷風。
恐らくこれまで映像化された数多い「三銃士もの」の中で、ここまでゆとり臭漂うダルタニアン像は初めてで、唯一無二なんじゃあるまいか。
今週末、集中再放送があるそうなので、興味のある方は是非どうぞ。
(いずれもNHK教育)
11月21日(土) 午前1時20分〜午前3時(第1話〜第5話)
11月22日(日) 午前1時15分〜午前2時55分(第6話〜第10話)
11月23日(月) 午前0時40分〜午前2時(第11話〜第14話)
それにしても三銃士と言えば、高校時代に岩波文庫の完訳を読んで大いにハマり、すっかり悪役のイメージが頭に沁みついたリシュリュー枢機卿が、世界史の授業で「国王以上に王権の強化に努めた辣腕政治家」と知った時には、「えっ……そーだったの……?」と吃驚したのを思い出すのでしたよ。
映画で、かなり前ですが、ビートルズの映画などをとった、リチャード・レスター監督だったかな、が、映像化した三銃士がとてもおもしろかったでした。その当時、私は高校生だったので、お察し状態ですが、その時のリシュリューは、チャールストン・ヘストンがやりまして・・いい味だしてましたよ。その映画は、配役が、私が本をよんで思っていた感じの人たちとわりとぴったりだったせいもあり、とてもおもしろかったでした。それに豪華な俳優陣でした。これを、見に行ったのは、当時の友達が、ドラキュラ役をやったクリストファー・リーが大好きで、その人が、ロシュフォールの役ででるので、ごいっしょしたのですが、まったくよかったでした。その後、クリストファー・リーが、ロード・オブ・ザ・リングにでてらして、私はちょっと涙がでそうになりました。
人形劇とかなりずれてしまいごめんなさい。でも、とてもいろいろ思い出してしまい、懐かしくなりました。きっかけを作ってくださって、ありがとう。
アラミス様はほんとにいいですよねー…
人形劇のアラミス様は、ちょっと見は「思ったよりおっさんくさい?」という感じなんですが、割とすぐに馴染んでくる感じで、やっぱりカッコイイです。
原作ではあの知的さ、女殺しっぷり、そして「イイ所で怪我をしちゃって、その時のセリフがまたかっこいい」のが超ドツボでした。
デュマは本当に萌えとか燃えとかエロスの盛り込みようが絶妙で凄いと思います。きっと当時のパリジェンヌの皆さんもアラミス様のかっちょよさにドキドキしたんじゃないかと信じて疑いません。
チャールトン・ヘストンが出演してる映画は1973年のなんですね。小さい頃にTVで見たかもしれませんが記憶が朧です。三銃士は何回も映像化されてますし……
クリストファー・リーがロシュフォールなんですか!それは是非見てみたいなあ。機会があればDVDでも借りてみようかなと思いました。