私的な結論はエントリーに書いたとおりだが、専門家氏の「モヒカン族の末裔がアパッチ族の英雄の名前を名乗るのは平仄に合わない」という指摘自体はごもっともではある。(問題は「モヒカンヘアーだからモヒカン族の末裔とは断じられないし、そういう設定もされていない」というところにあったのだが)
しかしながら、世の中には「ジェロニモ=モヒカン」というイメージ図式が存在している。(正確には「ジェロニモといえばインディアン、インディアンといえばモヒカン」なのだが)
そして、発表時期を考え合わせるとどうも、そのイメージ源流は005にあるようだ。こんなことを言ったら、マジメな彼は頭抱えて悩んでしまいそうだが…
例えば、伝説のバンド「ガスタンク」の「ジェロニモ」という曲では、もう実に堂々と歌われている。
火の海 激しく 狂う
地獄 ジェロニモ モヒカン
蠍 砂漠 サボテン
頭聳え立つぜ モヒカン
※戦え ジェロニモ 戦え 怒れ
FIGHT FIGHT FIGHT
血祭り 罠 陰謀
唸る ピストル トマホーク
アパッチ 酋長 ジェロニモ
殺せ 首切り スカルピング


特撮ではシングルカットもされているのだが、もうそのジャケット自体がモヒカン。
もはやどうしようもない取り返しの付かなさを感じずにはいられない。
また、プロレスラー守部宣孝は、みちのくプロレス所属時代、モヒカンヘアーにしたら「ジェロニモ」とあだ名をつけられ、一時期それがリングネームになったという。このあたりにも「イメージの結合」が定着しちゃってる様子がうかがえる。
もう一つ、「ジェロニモ=モヒカン」のイメージを受け継いで確立させた代表選手といえば、江口寿志の「すすめ!パイレーツ」に登場する助っ人(と言っていいやら)外人「ジェロニモ」がいる。
設定ではナバホ族の血を引くということになっている。
モヒカンヘアーがトレードマークで、守備の際はそのモヒカンをアイスラッガーさながら(というかもうそのまんま)に投げつけてホームランを阻止する。ルール違反だけど。
ナバホ族も西部の部族なので、色々な意味で005を引き継いでいるような気もする。後半ものすごく影が薄くなってしまったけれども。
<備考:モヒカンでないジェロニモたち>
*怪獣酋長ジェロニモン(ウルトラマン)
こちらの造型は「羽飾り」をフィーチャーしていた。
*ジェロニモ(キン肉マン)
こちらのジェロニモは長髪なので、造形的にはかなり正しいジェロニモと言える。
でもチェロキー族の血を引くオクラホマ(アメリカの真ん中ちょい南。テキサスあたりには比較的近いけど)出身。
チェロキー族なのに、異名は「若きアパッチの勇者」。
主要な技に「アパッチのおたけび」がある。
……チェロキーなのかアパッチなのか、もう少しハッキリさせてほしいんですけども…
こんなに面白い話題を提供してくださるのは嬉しいのですが、どうぞご無理なさいませんように。
不肖ワタクシ、ルパン三世やサイボーグ009は、初回放送・連載時から大好きなヤツです。しっかし、ちょっと目を離してる間に、009がこんなにいじられているとは!!虐げられたもの達の反逆が重要なテーマの筈なんですが。009が002に「日本人の髪は黒いと聞いていたが、君のは栗色だな」と言われて表情を変える所とか、無くなってほしくないです。ジェロニモは「誇り高いマイノリティ」として、勇者の名前であってほしい。「G」はゴルゴ13を暗に指す言葉のはず・・・いや、話題ずれました。後に書かれているウホッな話題とか、メタルとか、私の好きな分野を掘り下げて下さるのが嬉しくて、コメントというか、感謝を気持ちを。
はじめまして。ご挨拶いただきましてありがとうございます。とても嬉しいです。
>ちょっと目を離してる間に、009がこんなにいじられているとは!!
驚きますよねえ;
ヨミ編で終わる構成なので、
「ピュンマ挽き肉に→ウロコ人間にトランスフォーム」
もフィーチャーしているのです。
でも、ギルモア博士の
「それにわしは銀色は黒よりもいい色だと思って」
という爆弾発言は当然のようにカットされております。これは仕方がないかとも思うのですが、読んだ当時、「ギルモア博士ほどの人格者でも、ポロっとこんな失言しちゃうんだ!」と思い、「差別」という観念の根深さを痛感したものです。
(しかし今読み返すとピュンマ、こんな目にあっておきながら4ページで立ち直ります。さすが当時の少年漫画w)
石森版「幻魔大戦」でも、ルーナがサイコキネシスを使う際にサンボ(原作ではソニー)に触れるのを躊躇する場面などで、「白人が有色人種に対して根っこのところで抱いている嫌悪感」がよく表現されていたと思います。
そうしたシーンから子どもなりに考えさせられたことは大きかったのですが…
おっしゃるとおり、ジェロニモの名前は彼の誇り高さをそのまま表し、力強い、「これしかない」って名前だと思います。スタッフは「正確さ」「妥当性」を期したかったのだろうとは思いますが、「キャラの名前を改変する」ことの重さを分かってほしいという気がしますね。
体調のこともお気遣いいただきましてありがとうございました。実のところ、何か書いたり読んだり見たりしていないと、さまざまのことが思い出されて辛いのです。これも一種の逃避行動だと思います。
よろしかったらまた遊びにいらしてくださいませ。