2006年10月24日

平田先生の荒技漫画

今月号の「COMIC乱 TWINS」11月号にて、看板連載「黒田三十六計」の見開きで、平田弘史先生がすごい技をやってくれた。
何をやったかと具体的に言うと、古くは「バスタード!」で見たアレですよアレ(*)。

P166〜167の見開き、山名豊国が織田の大群を高みから見渡すという見開きなんだけども、その軍勢の部分の描写。
(画像をクリックで大きくなります。軍勢部分のみ一部抜粋)

(見開き左ページ)
左ページ
(見開き右ページ)
右ページ

「二萬から六萬の軍勢を描くのは、時間的に辛いので文字で省略ゴメンネ。」

ゆ…許すよ平田先生!面白すぎるし!
何より日頃の仕事が入魂だし、年を重ねてなお盛んだもん。
大丈夫!ちゃんと旗に見えるよ!!

しかしアレだ、平田先生も昭和15年生まれ、「けっこうお年」の域に達しながら、衰えないどころかますます精力的だから凄い。
ちなみに今話題の松本零士ご老公は昭和13年生まれ。2歳しか違わない。
平田先生もそうだし、水木大明神とか杉浦茂大魔神とか、こういう「年とっても衰えを見せない(絵的にも活動内容も)」先人がいると、「老害老害言うけれど、年だから衰えもするさ」という言い訳が出来なくて大変ですよなあ〜。まあ水木サンなんかはもうすでに解脱しきって「神」(むしろ「妖怪」)モードだけど。いろんな意味で。

平田先生はMacのヘビーユーザーなのは有名な話だが、あの画風とCG処理を違和感無く融合させていたのは凄い(現在の執筆は再び、筆とかぶらペンのアナログ作業に戻っているらしい)。
デジタルツールを取り入れたら画面がションボリになった松本零士とは、これまたえらい違いだ(って、一々引き合いに出してすんませんが)。

(*注:「バスタードのアレ」
 漫画「バスタード!」(萩原一至作)で、戦闘シーンが描かれるはずの一コマに
『どひー 嵐のような戦いだと思いねえ』
 と文字だけを入れた、伝説的な処理のこと。)

平田先生って、とみ新蔵先生と兄弟なんだね…
すげえ濃い兄弟…
posted by 大道寺零(管理人) at 21:06 | Comment(4) | TrackBack(0) | 漫画
この記事へのコメント
私もあの見開きは流石と唸りました。
きっと「うぬーっ!」と言いながら悩みに悩んだんでしょうなあ。

平田先生のCGは手描きにしか見えないとこが凄いですよね。
下書きしないでタブで直接描くと聞いた時は「人間じゃねえな」と思いました。

Posted by カゼカオル at 2006年10月24日 21:57
平田先生は重厚にして緻密でありながら、茶目っ気を多分に含んだ漫画描くんで、いつも目が離せないすな。
ちょっと前に載ってた宴会芸の飛ばしっぷりも素敵。

>あの画風とCG処理を
 CGやめて今のスタイルに戻ったのは、確か「どこまでも細かく描いちゃってキリがないから」とのことだったと思いますが
 「新首代引受人」とか読むとよくわかりますね。紙を使わないフルデジタルで、画面を拡大してどこまでも細かく描いてったんだなぁと。
 同時に、確かに毎回この密度で描くのは辛いもんがあっただろうなぁとも。

あと私があらためて紹介するようなもんでもないですが、平田先生に関してはたけくまメモの訪問記事が異様に面白いっす
http://takekuma.cocolog-nifty.com/blog/2005/05/post_566c.html
なんていうか、もう、竹熊氏も言っておりますが、抱かれてもいいと、こう。

(ああ「コミック乱」話がはばかりなくできる幸せ)
Posted by バードチーフ at 2006年10月25日 00:38
 やはり、「乱TWINS」お読みでしたか、零さん。現在、「五右衛門」も快調ですもんね♪ 
 まこと、平田先生は、日本漫画界の至宝(のお一人)であります。昔っから、恐れをしらない物凄い漫画を素晴らしい画風で創ってこられましたが、「おとうさん物語」あたりから、余裕あるおかしみとパッションが楽しく両立してきたような。「黒田三十六計」も連載再開してから、良い「遊び」も入れてくれて、エンタメ魂爆発ですね!!将来の島本先生にも期待します(私は後、何年漫画を読むだろうか)
 さいとうたかを先生の健康状態は気になる所ですが。零爺は、脳波やMRIからチェックしましょうね・・・
 貸本漫画時代からたゆまぬ創作意欲、手作りウェブサイトのハイレベルさ、平田先生、凄すぎます〜
Posted by ネコトシ at 2006年10月25日 00:44
>カゼさん

いらっしゃいませ〜♪
あの場面、ページ右下を見ると
「2006.10.4 AM2:07」
と、わざわざ日付時間が書いてありますね…その日付と時間から察するべきなのでしょう…
ていうか、10/13発売の雑誌に10/4に原稿描いてて間に合うもんなんですねえ…

>下書きしないでタブで直接描くと聞いた時は「人間じゃねえな」と思いました。

もうマジで神ですね。画神だ…
というか鬼の領域かな。

>チーフ

>茶目っ気を多分に含んだ漫画描くんで

よく着物の柄とかで遊びますよね。今回も「栗のマークの栗山家老」とかあったし。
以前、秀吉の着物の柄でえらい遊んでましたっけ。

>CGやめて今のスタイルに戻ったのは、確か「どこまでも細かく描いちゃってキリがないから」とのことだったと思いますが

これまた平田伝説だなあ…
普通、CG導入って大なり小なり省力化目的があるもんですが、平田先生の場合は逆なんですね…

>たけくまメモの訪問記事

「萌え」の色紙に椅子から転がり落ちそうになりました。そりゃもう桂三枝みたいな勢いで。平田先生の「あの字」で書かれると破壊力すげえ。
チーフは以前から、平田先生大好きだもんね。掘られてもイイって程に。

>ネコトシさん

>「乱TWINS」お読みでしたか、零さん。

はい!お読みですっ。
最初は石川賢の「武蔵伝」目当てだったんですが、「黒田三十六計」とか「天涯の武士」とかあるもんだからやめづらいなあ…と思ってたら賢さん新連載で。

>恐れをしらない物凄い漫画

私の平田弘史ファーストコンタクトは、こともあろうに「つんではくずし」でした…
ムックの中に見開き1つだけの紹介でしたが、小学校に通い始めたばかりのガキにはインパクトありすぎでした…

>将来の島本先生にも期待します

そう言えば平田先生はまさに、「スパークする漫画バカ」の元祖的存在ですねえ。

>さいとうたかを先生の健康状態

「梅安」が夏頃休んで、最近はページ数も減ってましたが、やっぱり病気でもされてたんでしょうか。私の中では正直「梅安」の優先度は低めなんですが、何しろさいとう先生あってのリイド社ですからねえ。元気になって欲しいですね。
Posted by 大道寺零 at 2006年10月25日 01:41
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