2006年11月04日

見えやすいもの見えにくいもの日記

小中学校予算に学力テストの結果を反映…東京・足立区(読売新聞-goo ニュース)

 東京都足立区教委は来年度から、区立小中学校への予算配分に、都と区が実施している学力テストの結果を反映させる方針を決めた。

 テストの平均点などから各校を4段階に分類し、各校の独自の取り組みに支出する「特色づくり予算」の配分を、1校あたり500〜200万円と格差をつける。区教委教育政策課は「子供の能力に序列をつけるのではなく、学校経営を評価するという趣旨。学校の経営改革として実施したい」としている。


いじめ自殺事件が毎日クローズアップされ、「学習だけではない、心の教育」が盛んに取り沙汰されているこの時期に、いや何と素晴らしい空気の読みっぷり。凄いぞ足立区。
「悩みを抱えた生徒に気付いてケアする」「いじめやクラス・学年の問題に気付き対処する」「問題を起こした生徒の指導」などは、最も外に見えにくい(プライバシーに関わる問題であれば「見せない努力」も必要となることもある)、また数字には決してできない職務であり、同時に手間暇が際限なくかかるものだ。
各地で、教員に対する「成績評価主義」の話が持ち上がり、実施されている自治体もあるが、こうした見えづらいものは評価の対象にならない。
クラスの成績、受験の成果、管理職や教育委員会への忠誠度…計れるとしたらこんなところだろうか?
でも実際はもっとも必要にして不可避な業務であり、また保護者や地域が切に望む仕事だと思う。

足立区は今回、「最も見えやすいもの」で学校をランク付けしようとしている。
しかもその対象が、管理職の給与にではなく、学校全体の経費として、なのだ。低ランクの学校は、そのしわ寄せがどこに来るだろうか、また何で帳尻を合わせようとするだろうか。

asahi.comの同件記事では、

差をつけるのは各校の自主的な取り組みを支援する「特色づくり予算」の金額。各校の申請をもとに配分し、外国人講師や補習指導ボランティアの派遣費用などに使われている。07年度は前年度比約1億5000万円増の約4億1000万円を予定している。

 教材費や光熱費など学校運営の必要経費は、従来通り児童・生徒数やクラス数などの「基礎数」に応じて配分する。


とあるので、以下の部分は削除。

学校の備品、図書館・視聴覚・音楽や理科実験などの実技的な教材かもしれないし、花壇が一つなくなるかもしれない。プールの洗浄回数が減ったり、行事が減ったりショボくなるかもしれない。インフラにも地味に響いてくるだろう。

しかし、
これまで中学校は1校あたり平均で約1000万円、小学校は約850万円を配分してきた。07年度はこの経費にむだがないかどうかを厳しく精査して圧縮し、「特色づくり予算」の増額分に振り分ける方針だ。

とあるので、なんか安心できない気がする。
「特色づくり予算」というのも凄い名前だ。
これを少なく配分ということは、「学力の低い学校に特色なんかいらねーだろ」ってことでは?

学力テストは、都が毎年1月、区は4月に実施している。区教委の計画では、区内72の小学校と37の中学校について、各校のテストの平均点や前年度からの伸び率、校長の経営計画などから点数化、ABCDの4段階に分類する。Aは全体の約1割、Bは約2割、Cは約3割、Dは約4割とする予定。分類結果は公表しない。


点数だけでなく、校長の経営計画も反映されるということは、「校長のプランが区に評価されない」場合、そのデメリットを生徒や保護者が受けるということになる。生徒側も納得できないだろうし、いくら「公表されない」とはいえ、また首をくくる管理職が出てきかねないんじゃないかこれは。
ランク分けの結果は公表しないとはいえ、テストの各校結果をサイトに載せているのでは、実質発表しているようなものだ。
 同区は02年度に区全域の小中学校で学校選択制を導入。都と区のテスト結果については、教科別まで各校の平均正答率をホームページなどで公表している。人気中学校の多くが学力テストの平均点が高い傾向がある。今回のランクづけは公表しない。


ランク上の学校は予算増加で特別授業や補習の機会が充実し、下の学校はますます学力や教養を得る機会や予算が失われる。大人の社会で実際に行われている負のスパイラルを学校現場に持ち込もうと考えているわけだ。いや凄い凄い
足立区は進む学校を選択できるシステム。ランク下の学校の生徒数は減り、評価はどん底になり、行き着く先は学級減→統廃合しかない。義務教育の統廃合をスピードアップするための一策なのかもしれないと思った。
実際の話、東京では「成績の良い子は私立」という流れが出来上がってしまっているので、現場も容易でないだろうなあ。

今回は足立区の話として出たが、これから先他の自治体に採用されないとも限らない。
親御さんたち、この話に納得できますか?


posted by 大道寺零(管理人) at 14:26 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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