1997年のOVAで、「フルデジタルで3DなCGもバリバリ」というのがウリだったように思う。(当時バンダイの何かのビデオソフトで予告クリップだけは見た記憶がある。真ゲッターだったかなぁ。)
この手のCGをウリにするアニメは、3D部分が2D部分と噛みあってなかったり、3D部分が妙に安っぽかったりテクスチャが荒かったりして、画面としてイマイチな印象があるので、あんまり期待していなかったのだが、思ったより画面が美しく(タイトル通りの「青」の表現が美しい)、そこそこに余韻もある物語だった。
ただ、大きな不満が一つ。なんで音声(特に人の声)がこんなに聞き取りづらいんだ??
ちょっとレビューなどを検索してみると、同様に「音声聞きづらすぎ」という意見が多い。
どうやら、「ドルビーデジタル&5.1サラウンド環境」というのをもう一つの売りにしており、それをデフォにした音作りの仕様だったようで…
んーでも、他にも5.1デジタル音声のアニメとか映画は見たことあるけど、通常でもちゃんと聞き取れるようにできてたけどなー。
演出のためという側面もあるのだろうとは思う。特に聞き取りづらかったのは、
・潜水艦の中という臨場感を示す、ちょっと反響の入った音
・くぐもった通信の声
・獣人たちの「異形感」を匂わせる声(特にベルグは聞き取りづらい)
・モゴモゴと押しの弱そうな喋りのゾーンダイク(その行動とのギャップが逆に独特の威圧感というか存在感を演出)
それぞれに演出意図があったのだとは思う。
ちゃんと5.1サラウンド環境で聞けば、潜水艦のスクリュー音や戦闘の爆音などが適切な方向から聞こえて臨場感あっただろうし、声ボリュームの強弱で演出した遠近感も伝わってきただろう。
が、特にキャラクターの音声レベルが低すぎるシーンが多く、
「人の声→ボリューム上げ」
「戦闘シーンや効果音→でっかいので慌ててボリューム下げ」
という作業の繰り返しになってしまったのはちょっと行き過ぎなんじゃないかなー。
3,4話の万葉集を読むシーンなどはストーリーの肝の筈なんだけど、全然聞こえないし…
正直、重要なセリフのいくつかが聞き取れず、1回見直してようやく全体を把握できた…字幕が欲しいとさえ思った。
せっかく郷田ほづみが主役だったり、声優も豪華なんだからもうちょっとユーザーフレンドリーな範囲で調整して欲しかった。
ストーリーは、元祖「青の6号」とは全く異なるオリジナル。
「速水鉄」というキャラクターを主人公に据えた物語なのだが、正直あまり6号が主役な気がしない。
小沢潜水艦漫画にあって、最も「燃える」要素である、「形は古いが乗員は腕利き」って感じがなかったなあ…
画面から受ける感じは「最新鋭潜水艦」という印象だけ。一応アニメ設定でもディーゼルらしいんだけどさ…原潜のようにしか見えなかった(もっともアニメでは「旧型艦」という設定はないか?)。
ノボから「ドンガメ」と呼ばれる1シーンがあるのだが、他の船からドンガメ呼ばわりされてる描写もないし、この世界の中で年式的にどうなのかという説明もないので、全然ピンとこなかったなー。
小沢漫画の魅力のもう一つは、「オッサンが妙にかっこいい」ということにもあると思うので、6号クルーはもうちょっとオッサン寄りにして、女子供を減らして欲しかった。
ってかなんでソナーマンに熊のぬいぐるみを抱えた幼女(アイリス風?)がいるんだYO。
そんでこの子、いちいち察知が遅いのが気になるなあ…
ファンサイトを見て、「特殊な生体兵器用センサーシステムを扱える能力を持つ稀少な人材」であることをようやく把握したが…説明ないって…orz…
これがなければ青6じゃないという要素、潜水艦戦の表現はなかなか(音楽とかも)よかったのだけど、サブマリンバトルの醍醐味である「レーダーとソナーだけが耳目」って感じは今ひとつ伝わってこなくて残念かな。
敵である「幽霊船」はひたすら強かった(というか、青の艦隊がヨワヨワという気も)し、なかなか映えるデザインだった(単に長門がカッコいいだけかもしれん)が…なんで長門なのかも説明ナッシング。もう一つぐっと来る設定が欲しかった。
青の本拠地であるブルーベースは絵的にも綺麗で迫力あったけど…脆い。ジェダイのデススターより脆い…
ミューティオのデザインはいかにも草ナギ琢仁っぽくて雰囲気あり。
2話のベルグに耳とか舐められてるシーンがエロいので個人的に良かったです(そういう評価かよ)。
<その他ツッコミどころ>
・1話に出てくるクモ型敵メカが、戦闘機の攻撃でも怯んでないのに、なんで速水のサブマシンガン(スコーピオン?)で足止めされるのか(by相方)
・4話でゾーンダイクが「彼らには言葉は通じるよ…」と言っているが、そっくりそのままお返ししてやりたいような…それとも彼が人類に対し「言語は通じるが言葉は通じない」と思っていることの裏返しなのかな?
実は「青の6号」も「サブマリン707」もろくすっぽ読んだことがなくて、「小沢漫画の潜水艦バトルは本当に凄い」という伝説を知るのみなのにエラそうなことを書いちゃって私ったらもう。
いや、買おうと思ったんだけど二つとも復刻版が絶版でして、ええ。
で、Webで「新 サブマリン707」(画像をクリックするとページ送りします)を読んだんだけど…
本当にすごいやこの人。
正直、絵柄は相当古い(手塚治虫や横山光輝の連載ヘルプしてた、そういう時代の人ですから)し、特に女性キャラとか今の目で見るとキツいんだけど、オッサンキャラが登場するととたんに生き生きする。
そんで潜水艦バトルはやっぱりグッと来るよ。トーンを使わないで細かい線で描写する海とか…
かつて「沈黙の艦隊」のバトルに「小沢マンガからの多数のイタダキ疑惑」があると一部で話題になった事があるのだが、頷ける気がする…
ちょっと古本屋で探してみるかなー。
できれば秋田書店サンデーコミックスで復刊(っていうかこのレーベルに限っては「間を空けての増刷」という感じだろうな)してほしい。
秋田サンデーコミックスの左上にある「●●COMICS」の部分、「707」は「海洋COMICS」だったなー。懐かしい。
おっしゃるとおり、この方もお話の盛り上げ方が半端無く旨い。うまいんですけど。
最近の2作品(707F、青6)はなんというか、そのつまり、石川御大に負けずとも劣らない「スーパー広い風呂敷広げてそのまんま」なパターンが…。
まぁ、お年もお年ですので、僕らが新作読めるだけでもありがたいことなんですけどね。
なんか、すごい当時から「設定マニア」だったようで、全てのギミックにちゃんと(作者なりの)理屈が通っていて、それを読み解くのも楽しいです。
ただ、広げたものはちゃんとたたんで欲しいなぁ。
くすん。
色々な評を見ていると、要するにこの方は、「自分の燃えるシチュエーション」や「描きたいバトル・ギミック」を描きたいということが圧倒的に先行し、ストーリー手リングは二の次三の次になる方みたいですね。
この手の作家は、「描きたいもの」部分だけに関してはカッコよかったり面白かったりするだけに始末に終えないというか…
自衛隊士官が反乱を起こす話で、戦闘が終わったあとで、
「●●(その士官)はなぜこのような反乱に至ったのだろうか?それはしるよしもない…」
とナレーションして終わった話があったそうで。
「しるよしもない」ってアンタ。
>「風呂敷広げて畳まない」
石川先生もよくコレ言われるんですけど、この表現だと何かが足りないような気がしてずっと考えてたんです。
で、思ったんですが、多分、石川マンガの場合は
「広げたそばから、風呂敷のほうで勝手にどんどん広がっていって、気がついたら家中全部風呂敷になってた」
みたいな感じで、そこが醍醐味なのかもしれんと。
いやまったく。仰せの通り。小沢センセったら、
描きたいとこだけ異様に力入ってます。入りすぎです。
で、
「石川賢 → 勝手に広がる無限風呂敷。」
… そ れ だ !
いただきます! とバグが取れずにイライラしながら我が意を得ております。ありがとう!(なにがだ)
先日の「野呂ウィルス」の日記の時はどうもありがとうございました。俺も嬉しかったです。
と相方が申しております。
デバッグがんばってください。ゲッター線の力を信じるんだ!