2007年02月21日

OVAマジンカイザー雑感 その2アニメ・動画

「その1」で述べたように、(おそらくはオールドファン向けに)「漫画版の絵柄+設定やエピソードも取り込んだ」作りにした「マジンカイザー」だが、「多方面にイイとこ取り」の結果、かえって「肝」の部分を失っているのではないかと思う点がいくつかあった。
私の中では、そのあたりが一番の減点ポイントとなった気がする。

その最大のポイントが、第1話〜第2話にある。

エピソードの説明をする予定はなかったのだが、かいつまんでご紹介しないと伝わらないと思うので、以下にごく簡単に要約してみる。

第1話「激闘!ダブルマジンガー」

アフロダイA・ボスボロットと共にあしゅら率いる機械獣軍団と戦うマジンガーZ。戦闘力で勝るグレートマジンガーに支えられながら立ち向かうが大破。パイルダーを切り離されたZの本体はあしゅらに奪われてしまう。
パイルダーごと機械獣に投げ捨てられた甲児は、そのまま消息を絶ち、通信での呼びかけにも反応しない。
マジンガーZと甲児を欠いたまま、しかも修理を終えていないグレートマジンガー、機能を回復していない光子力研究所に、あしゅらによって改造されたマジンガーZと機械獣軍団が再度襲撃。
孤軍奮闘する鉄也だが、修理も満足に終えていないグレートでは一方的に痛めつけられてしまう。絶体絶命のピンチに、マジンカイザーが登場し、敵を一蹴する。
しかしカイザーはそのまま光子力研究所と、グレートマジンガーへ対して容赦ない攻撃を開始するのだった。

第2話「魔神降臨」

研究所を守るためにカイザーに挑むグレートだが、ブレストバーンも通用せず、歴然とした力の差を見せ付けられる。
コクピットにいたのは甲児だったが、搭乗時に既に意識を失っており、さやかやシローの呼びかけにも反応しなかった。鉄也とグレートに向かってファイヤーブラスターを放つ直前に、電撃のショックで気を失い、なんとか事なきを得る。
ベッドで目覚めた甲児は、マジンガーが奪われた時からの記憶を取り戻す。
ホバーパイルダーはコントロールを失い、甲児をカイザーパイルダーの元に誘導した。そこで甲児が見たものは、祖父・十蔵が残したホログラフィ映像だった。

「マジンガーZに乗れば、お前は神にも悪魔にもなれる。しかしマジンカイザーと共にあるお前は、神をも越える存在になれる。」

と語りかける十蔵のビジョン。
ホバーパイルダーには、マジンガーZの危機が訪れたとき、甲児をカイザーのもとに導くためのプログラミングがあらかじめ施されていたのだ。
カイザーパイルダーに乗り込んだ甲児だが、そこから先の意識と記憶はなく、勝手にカイザーを制御できない状況にあったのだ。カイザーは強大な力を秘めている反面、制御が難しい上に、搭乗者の肉体にも尋常でないダメージを与えるマシンであると弓教授は分析し、とりあえずカイザーの稼動を見合わせることに決めた。

しかしそこに再び襲い掛かるあしゅらマジンガーと機械獣軍団。苦戦するグレート達の姿とあしゅらの挑発を見るに見かねて、甲児はカイザーで出撃、あしゅらマジンガーをボコボコにする。
しかしアフロダイAが捕らえられ、痛めつけられるさやかを人質に、カイザーの引渡しを要求するあしゅら。甲児はやむなく引渡しを選択し、カイザーが持ち去られるか…と絶望したところに、グレートブースターに助けられてあしゅら達を撃退することに成功した。
負傷した鉄也と彼をサポートするジュンがここで一時戦線離脱。


…また長くなってしまった…
まあこの2話を使って「マジンカイザーデビュー」が語られるわけだが、この中に既にいくつか「マジンガーZ」冒頭とかぶる要素がある。
「カイザー」では、第1話からマジンガーZが登場する。装甲や武装において「グレート>Z」であることもそれとなく示される。
というか明らかにもうZは、「やられる」だけでなく「なくなる」ことが前提として作られている。
まあそれもアリだろう、何しろパラレルワールドだ。
カイザーのデビューには、「制御を失って見境なく破壊を行う(=「悪魔」になりうるという一面の提示)」という場面が登場するが、このシークエンスは漫画版のZデビューのそれを踏襲している。
また、マシンとの出会いの際に祖父が介在するというのもZの冒頭と同じ(語りかけていることは微妙に違うが)。

しかし、カイザー暴走について甲児や周囲が驚き、脅威を抱く場面にいささか違和感がある。
繰り返すが、「これはパラレルワールド」ということは十分分かっている。分かっているが。

「じゃあこの作品の中で甲児が初めてZに乗った時には暴走を起こさず、最初からスンナリと制御できたのか?」
「このシーンは、十蔵の言う『神にも悪魔にもなれる』を如実に表す部分なのだが、そういう祖父との絡みはあったのか?」


と思ってしまうのだ。
語られないだけで、「カイザー」世界では、すんなりとZを与えられて、易々と制御したのかもしれない。
そうでなければ、「見境なく攻撃を行うカイザーの中には、(Z初起動時と同様に)甲児がいるのではないか」という予測が、研究所の誰しもが可能だったのではないか?と考えてしまう。
また、いかにこの世界でのZが、「カイザーの前提」という存在でしかないとはいえ、ちょろんと貰ってさくっと制御できるZと甲児の関係ってどうなのよ…と、なんか今ひとつ納得できないものが残ってしまう。

これというのも、「Zのエピソードを、Zが登場する『カイザー』のデビューシークエンスにそのままはめこんでしまった」からではないだろうか。
「Zの時はそれはなかったのか?」という疑問が、どうしても出てきてしまうのだ。
実はこの違和感は、本シリーズのあとにリリースされる「死闘!暗黒大将軍」において最大に膨れ上がるのだが、それはまた別項で述べることにする。

2話でのアフロダイAの盛大なやられっぷり(手足がもがれてオイルドバー&風防破壊)もまた、原作のさやかやられシーンを意識していると思われる。

それにしても、1話の前半でこそイニシアティブを発揮するものの、それ以降は徹底してやられまくるグレートの姿には、グレートファンはいろんな意味で落涙を禁じえない。
「いくらなんでも脆すぎだろ!」と叫びたくなるようなシーンもいくつかある。
まあ、かませ犬に甘んじながらも、鉄也さんとして美味しいシーンはいくつかおさえているのが救いだろうか。
「(性的な意味でなく)やられて苦悶の鉄也さん」には萌え用途が(一部の層に)なくもないし、「甲児くん」ではなく「兜」と甲児を呼ぶ(これは「マジンサーガ」くらいか?)鉄也さんも新鮮なのだが、それでもやっぱり寂しい扱いだ。
しかもこの話の最後で一度フェイドアウトした後は、最終の7話まで物語に復帰しないのもファンにはきつい仕打ちだ。

しかし、4話に登場しないですんだのは、鉄也ファンにとっては救いだったかもしれない
posted by 大道寺零(管理人) at 02:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | アニメ・動画
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