連鎖販売取引(れんさはんばいとりひき)とは「特定商取引に関する法律」(特定商取引法)第33条で定義される、販売形態(業態)をいう。アメリカでは"Multi-level marketing"(マルチレベルマーケティング)あるいは"network marketing"(ネットワークマーケティング)と呼ばれ、日本では一般的に「マルチ商法」と呼ばれることが多い。
(WikiPedia「連鎖販売取引」の項目より)
こうした連鎖販売取引(以下「マルチ」と書きます)は、芸能人や有名スポーツ選手などを広告塔にしたり、またディストリビューター(親亀から自分で商品を買い取り、孫亀に商品を売りつける子亀)にして参加者・顧客を増やすというのは非常に良く見られるパターン。(自ら率先して参加する有名人も少なくない)
また、自分でマルチを主催するというケースもある。
で、globeのマーク・パンサーが後者のパターンで、健康食品のマルチを主催したという。
この公式サイトが怪しさ炸裂&ツッコミどころ満載なので、ニュースサイトなどで話題を呼んでいるようだ。
株式会社MARC-2 公式サイト
扱う商品は、南米アンデスの紫トウモロコシを原料としたジュース(健康食品)らしい。
Q&A-マークが語る Why MLM?より
Q:MLMって危ないんじゃないの?
A:なんで?危なくないよ
Q:だって合法なの?
A:もちろん合法だよ
このQ&AページとWikiPediaの項目を突き合わせて読んでみると、まさしく「マルチ業者の行う典型例」であり、グレーどころかブラックゾーンの表現であることがよく分かる。
(WikiPediaより)
「マルチ商法は合法」、「国から認められたビジネス」などと言う説明を行う者もいるが、これは誤用、詭弁であり明らかな間違いである。特定商取引法など法律を遵守した活動をした場合に「違法にならない」だけの話である。このことは業界団体である日本訪問販売協会の連鎖販売取引の自主行動基準にも明記されている。
合法、適法、認められたビジネスであるとの説明は不実の告知という違法にあたるので注意が必要である。法律を遵守した活動をした場合に「違法にならない」ということをもって、「マルチ商法は合法」という表現は他の類似ビジネスの全てを合法と誤解させるので軽率である。また、「(マルチ商法は)国から認められたビジネス」というような主張もあるが、これも考えてみるとおかしい。こうしたことは「マルチ商法」の部分を他の商売に置き換えればよくわかる。例えば「魚屋は合法」とか「美容室経営は国から認められたビジネス」とは誰も言わないであろう。
「国(or「●●省」)から認められてる」というのは、別のマルチにはまった人間も二言目には言ってたな〜〜。
Q:なんで?だってマルチレベルマーケティングということはマルチ商法なんでしょ?
A:違うよ。全然違うよ。
WikiPedia同項目「呼称について」より
連鎖販売取引は法律用語であり、他に一般的な呼称が多いのも特徴の一つである。「マルチ商法」と言う語が悪徳商法的なイメージを持つと考える業者もおり、健全な連鎖販売業であることをアピールするため、「ネットワークビジネス」、「MLM("Multi-Levels Marketing")」等と称することも多い。但し、マルチ商法、マルチまがい商法、MLM、ネットワークビジネス等呼称が異なるが、法律上は「特定商取引に関する法律」の「連鎖販売取引」に該当する場合がほとんどである。
(略)
呼称が多い理由としては、所属する連鎖販売取引会社を別の連鎖販売取引会社との差別化(例:あそこは悪徳会社であり当社は健全な会社です。)や擁護、悪徳なイメージを隠す目的(例:マルチ商法ではありません。MLMです。)での使用など詭弁が殆どである。これらの呼称に惑わされず特定商取引法により厳しく規制されている連鎖販売取引であると言う事に注意する必要がある。
ここから考えると、下のQ&Aは、「MLMはマルチじゃない」と差別化+「合法」と明記している点で問題がある。
Q:じゃあ、マルチ商法とMLMの違いは?
A:マルチ商法と言うのは、販売する会員さんが商品を買わなくてもいい。ただ商品を紹介するだけでも利益をあげることができる。これは合法なんだ。でも、僕は平等だと思わない。儲かる人も儲からない人も出てきちゃうからね。でもMLMの場合は、同じ商品を同じ値段で同じシステムで同じビジネスをする。要は、同じ土俵で戦うってことだよね。この部分に僕はとてつもない何かを感じたんだ!
彼の言うことには、マルチ商法とMLMの違いはつまるところ「とてつもない何か」という漠然としたもののようだ。
また、Q&Aには製品に関するページもある。
おそらくは薬事法上の表現規制に触れないように意識しているのだろうが、結果としてものすごいスパシーボな文言のオンパレードとなっておりステキよぉお客さん。
以下、ステキ表現を抜粋。
バランスよくこれからの人生で免疫力や病気の予防などを考えさせてくれるジュースを造ろうと思ったんだ。その結果、できあがったのがこのAZジュースだよ。
免疫力や病気の予防を「考えさせる」だけなら、青汁でもトマトジュースでも、はたまた牛乳や豆乳でも十二分な気がするのだが。
Q:薄めても冷やしても暖めても効果に変わりはないの?
A:ない。ちなみに僕は500MLの水に薄めて飲んでいます。
Q:なぜ?
A:それは、毎朝ジョギングをしているから。
何回読んでも、この問答の流れ(「薄めて飲む」の理由が「ジョギング」)がさっぱりわかりません。
どなたか分かった方は解説お願いします。
●このジュースは僕は健康へのきっかけだと思う。これからの新しい自分、人生に気がつくための一つのきっかけだと思うんだ。
だからジュースをただ飲むだけじゃいけいないと思う。薬じゃないんだからね。
これから先薬に頼らなくていい免疫力のある自分を創っていくためのきっかけだと思うんだ。
だから僕はこれを飲んで走る。食事などにも気を使う。たばこもやめた。睡眠もよくとる。よく笑う。よく働く。前向きに前向きに生きようとしている。すべてひとつのきっかけがつくってくれたと思っている。それが僕にとってこのジュースだった。今、僕の中では一つの目標ができたんだ。それは現役100歳。がんばって目指すつもりです。
●僕の父も69、母も58、毎日飲んで、毎日1時間のウォーキングを続けてるんだ。最近、石垣島にいくとなんか若返ったような気がすごくする。ジュースだけのおかげじゃないと思う。だけどきっかけはジュースだった。
うーむ。どう考えてもマークさんが健康なのは「走る。〜」以降の、健康的な生活のおかげだと思いますが。
健康食品の値段はピンキリだ。
本人が納得して買うのであれば、傍目から見てボッタクリであっても、口出しするようなことではないと思っている。
で、マルチのからんだ健康食品はたいてい、笑っちゃうほど高い。
しかし本人がヨシとしているのなら、こっちに薦めてこない分にはどうでもいいことだ。
ということを踏まえた上でも、「健康を考える"きっかけ"」としてはなかなか豪気な代価だと思う。
同商品の概要ページ(おそらく販売者は子亀なのだろうなー)
商品名 アンデス アズジュース(1000ml)
価格 8,190 円 [消費税390円込み]
写真
ちなみに、会員購入価格は一本6,000円だそうな。
でもまあマルチの健康食品はこんなもんが相場かも。以前親戚が一時期アロエベラジュースのマルチにひっかかった時も、1万円近かったからな〜(母が義理で一本買わされていた)…
また、同ショップでは会員資格も3,150円で購入できるようだ。
同じ商品がヤフオクでも売られている(こうしたマルチの製品はしばしばネットオークションで販売される。また、どうにも捌けなかった商品を、原価割れで泣く泣く捨て値販売する子亀の姿もしばしば見られる)のだが、こちらには効能が列挙されている。
効能
〜美容・健康・ダイエット・アンチエイジング〜
・ダイエット効果 ・高血圧の予防
・視力回復 ・糖尿病の予防
・肝機能の向上 ・大腸ガン抑制効果
・アンチエイジング・疲労回復効果
・内蔵機能の向上 ・美肌、美白効果
・動脈硬化の予防 ・免疫力の効果
・強力な抗酸化力による老朽化防止
・目、脳、肝臓、筋肉、皮膚の機能を高める効果
ど〜〜〜〜見ても子亀の薬事法違反です。
まあなんというか、マルチにハマった人特有のテンションと一途さが、見てて切ないくらいで面白い。
特にブログは顕著だ。
とくにこの日のエントリとか、「つける薬はない」という言葉しか思い浮かばん。
基本的にこの人はなんでも信じやすい&オレ理論に自分で納得しちゃうんですな。
そういえば、こないだ西川りゅうじんさんと話してたんだけど、海外で水にあたる観光客のほとんどが日本人なのだそうだ。。
蛇口の水離れが免疫力低下を招いているのかもしれない!
綺麗過ぎたり、過剰に殺菌、除菌ってのもちょっと考えたほうがいいのかもね
ヨーロッパの水にあたるのは主に硬度の違いだし、中国あたりのミネラルウォーターはマジで不衛生なわけだが…
あと、ヨーロッパやオーストラリアあたりでは、基本的に蛇口から直接水を飲むということはあまりしない(旅行代理店も口をすっぱくして注意する)んだが。
globeの公式サイト内の投稿式Q&Aでも、随所に香ばしいログが見れて面白い。
というか公式サイトのメニュー、どう見ても「マークは隔離されている」としか思えないのは私だけだろうか。
ちなみにmixi周りも見てみたのだが、
・ジュースとMLMのコミュニティがそれぞれ1つずつ
・マーク・パンサーのコミュニティ、globeのコミュニティでも、勧誘・紹介的なトピックはあるが、批判的な反応が皆無(サクラの仕事かもしれないがそれにしても)
と、非常にステキな状態になっていた…
最後に、ビジネス概要を紹介したステキなブログのエントリーを引用して〆たいと思う。
marc2
遂に、芸能界、文化界、スポーツ界等の業界がタッグを組んで、ネットワークビジネス業界に進出!!
まさに、これまでの誤った一般認識を180度覆す、社会現象となるでしょう。
今までのように、有名人がいち企業の広告塔としてではなく、各業界のコラボレーションにより、メディア等での広報活動を行い、広く世間にPRして認知度を高めイメージアップに貢献する。
これにより、ネットワークビジネスの誤ったイメージを払拭し、メンバーの活動環境を整え、より多くの人達が安心して参加できる、ネットワークビジネスを作り上げていく。
2007年問題のスタートする今年から、より多くの人が「ゆとり」と「やりがい」を求めてネットワークビジネスに参加してきます。
そのため、国は何年も前から法整備を整えてきています。
高額商品、ローン、過剰在庫、不実告知、クーリングオフ等被害者を作る原因となる要因は全て過去の事。
時代の変化にと共に、ネットワークビジネス業界も進化、成長してきています。
その中でも今後最も成長性の見込めるネットワークビジネスが、「marc2」です。
国民に一番影響力のある人達、それは知名度のある各界の有名人です。
もしその有名人達が集まって企業のPRをしたら・・・・・・
考えただけでも続々してきます。
「MARC2」ではそれを業界で初めて実現します。
これでメジャーにならない理由はありません。
最高のマーケティング、最高のボーナスプランも用意!
過去最高の成功者が続出する事でしょう。
新時代の「MARC2」に注目です。
ジュースを飲むなら「AZジュース」
ビジネスするなら「MARC2」!!!
知名人の所属の多さで言えば、アムウェイあたりの足元にも及ばない気がするのだが…まあノリノリの人に何を言ってもねえ…
こんなもんにひっかかる奴がいるのだろうかと思ったらいた。
しかも元ヤ●ザさんらしい。なんてステキなコラボ。
しかし、そういう不必要に強い押しを持つ人なら、案外成功できるかもしれんねえ。
なんかあんまり香ばしくて切ないので、直リンクはしないでおくんだぜ。
azjuice.blog91.fc2.com/
ああ、それにしても「セレブ飲み」という言葉が今後微妙に流行りそうな予感。
こういうの引っ掛かる人って意外と真面目な人が多いんですよ。
前に異常に熱心に何時間も勧められた事があって参りました。
明らかにマルチなのに本人はもう楽に金を稼ぐ事で頭一杯でなんかセミナーかなんかで集団心理的洗脳状態なんですよ。
数週間後あれどうしたんですか?
と聞いたらあっさりやめてました。あんなに熱心だったのに。色々聞いたら前にもマルチをやっていたようでひっかかる人は何回も引っ掛かるみたいです。
俺的には絶対に洗脳されない自信があるので一回セミナーに挑戦したいと思っていますw
マルチにはまった人はもう宗教と変わりないですねえ。
なりふり構わない人と、「本当に成功したい人だけに」ともったいつけるのと2通りあるように思います。
manabuさんは飲食業ですから、浄水器関係とか波動な食品とか、色々声がかかったりするのでは…
> 俺的には絶対に洗脳されない自信があるので一回セミナーに挑戦したいと思っていますw
おそらく貴方なら大丈夫だと思います。
でも、個人情報をマルチ同業者に流されたり、マルチによってはバックに8の字がいたりしますので、できれば関わらないのが一番よろしいですよ。
全く関係ないですが、美味しいメニューや好きな傾向の商品が置いてあるお店でも、アムウェイだのニュースキンの冊子やペーパーが置いてあったり、購入案内を配られたり、明らかに店主がハマってるとおぼしき店にはその後なかなか足が向きません、ハイ。
過剰反応しすぎかしら…
俺も宗教とマルチには過剰反応してしまいます。
嫌悪感丸出しと言うか・・・・
もうちょっと落ち着いて大人にならないとなw
でもまあ、宗教とかマルチ系の人に「あそこんちは行くだけムダ」という認識を植えつけることが出来れば少しは面倒が減るかもしれない…
ハンパに相手にして遊ぶという楽しみ方も人によってはアリのようですが、私はめんどくさいことイヤなので、とっととお引取り願うタイプです。