何回見てもカユくてカユくてたまらない(ブリーチなんかもそうだが、この手のコミック・アニメ系のミュージカルというのはどうしてこうもカユいのか)のだが、妙に脳内に残るから困る。
「氷のエンペラー」(YouTube動画)
これは試合前の光景のようだが、どう見ても度を過ぎた侮辱・暴言吐きまくり。
その上、歌の後に
「勝つのは氷帝 負けるの青学」
と、アホ小学生のように囃し立てる始末。
いかに試合中で無いとはいえ、公式戦のコート内でこの暴言はルールに触れないのか。
テニプリといえば、暴言どころか土佐丸高校(黒モード)やビクトリー球団に勝るとも劣らない暴力(負けた相手の髪の毛剃る・意図的に骨折させる・あわや心停止)炸裂(しかもそれで反則負けもない、ある意味白いマットのジャングルよりも地獄)で有名なわけだが、ここではあえて「暴言」について考えてみたい。
まずは歌詞。
俺達に 触るなよ 火傷をするぜ
氷の炎 冷たい灼熱
俺達に 近寄るな 息の根止めるぜ
氷の刃 気迫の一撃
跪け 崇めろ 奉れ
強者は弱者を支配できるのだ
刃向かうな ひれ伏せ 怯えてろ
勝者は敗者を意のままに出来る
そう 俺達 コートに君臨する
氷帝 氷帝 氷のエンペラー
(以下略)
さすがに「世界の地図から消しちまえ」というレベルには達していないものの、相当の暴言である。
さて、テニプリは主人公からしてまず傲慢・ノーマナー・侮辱罵倒しまくりと三拍子揃った漫画である。
この作品だけの影響ではなく、ゆとり世代のDQN化が著しいせいもあるだろうが、実際テニス業界では、ジュニアの試合マナーがすこぶる悪いことが憂慮されている。
以下に紹介するのは、「全国高校体育連盟テニス部」公式サイト内の文章である。
「高知県発!競技マナーについての提言」
2004年6月11日
「ジュニアの試合マナー」について 高知県テニス協会 ジュニア委員長 高芝 純明
最近のジュニアの試合を見ていて、非常に気がかりなことがあります。多くの方が気になっていると思われますが、試合に対する選手の心構えや態度です。大きな声を出すのは自分に気合を入れるため一定許容範囲であると思いますが、「こいやー」あるいは「こいやー、こら」とガッツポーズをして相手を見据えネットに向かっていく姿には、嫌悪感を抱きます。これは明らかに悪意をもって行っている行為で、ケンカをふっかけている言葉や行為そのものです。言われた相手がもし、「なんなーやるか」と応酬したらどうなるでしょうか。先日の県体の時、そのような場面に出くわし、試合を止め注意しました。まさにののしりあいです。私は自分もテニスの試合に出ますので、試合におけるお互いの態度が非常に重要であると思っています。試合マナーがいい選手と対戦した時は、勝っても負けてもすがすがしい気分になれます。一方、試合マナーの悪い選手と対戦して、集中力を乱されたりすると後味が悪い思いをします。それは、試合を見ている観客も同様の感を擁くことでしょう。
「こいやー」どころか、「跪け」「崇めろ」「奉れ」「下克上だぜ」「ぶっ潰してやる(メメタァ)」などの言葉が飛び交っております。
試合中の声について、どこで線引きしたらいいかわからないという声をよく聞きます。私の私見ですが、自分が対戦していると置き換えて不快感を感じるような声やしぐさはダメだと思います。また、作戦として相手の集中力を乱すような意図のある行動や言葉は「スポーツマンシップ」に反する行為としてコードバイオレーションの対象と考えます。掛け声は、自分や自分のペアを励ます意味で出すもので、決して相手に精神的ダメージを与えるためにだすものではありません。
「勝つのは氷帝」はまあいいとしても「負けるの青学」はNGだろう。
高校野球ですら、コンバットマーチの「●●倒せ」という表現は規制されたのだしなあ。
2004年6月14日
ジュニアの試合でのよくある問題 高知県テニス協会 ジュニア委員長 高芝 純明
◎ 倫理規定に関する違反行為
@相手に向かって大声で威圧する行為
・「カモン」「こいやー」「こいや こらー」など喧嘩ごしの言葉をポイントごとに何度も繰り返し浴びせる行為
A試合相手への暴言
・「ほんとにアウト?」「どこにボールが落ちた?」などジャッジに関するクレーム
・「しばくぞ」「殺すぞ」などと独り言を言う
B用具への乱用
・「ラケットを高く投げ上げる」「地面にたたきつける」「ボール蹴飛ばす」「その他の備品や用具への乱暴な行為」
(以下略)
上記の倫理規定に反した場合、ポイントペナルティー制度による罰則(タイム・バイオレーション、コード・バイオレーション)を受ける。違反がひどい場合は本人およびそのチームが失格となる場合もある。
というわけで、罰則に当たるかどうかについては立派に当たりそうである。まあ試合前ならギリギリ厳重注意ですむかもしれないが、いずれにせよ顧問の躾けがなってなさすぎである。おそらく顧問会議とかでは深く静かにハブられているに違いない。
関係ないが、上記例の中で
・「試合相手を確認せず、間違った相手と試合をする」
だけは、多分マナーの問題ではなくて単にプレイヤーがアホの子だったのではないかと思うのだが。
参考:コードバイオレーション
(1)違反事項
a.理由のないゲームの遅延
・「Let's play」の指示から、20秒以内に試合を再開しない。
・負傷による中断後、「20 seconds to play」の指示から、20秒以内に試合を 再開しない。
・自然的体力消耗(けいれん等)に陥って、試合の続行ができない。
b.みだらな言葉
c.コーチング
d.ボールの乱用
e.ラケットまたは用具の乱用
f.言葉での侮辱
g.態度での侮辱
h.その他スポーツマンシップに反する行為。相手側コートのボールマークを調べようと してネットの線を越して相手方コートへ行く等の行為も含む。
(2)ペナルティー
前項各号の違反に対するペナルティーは、次のデフォールト・スレジュールによる。
1回目 警 告
2回目 1ポイント
3回目 失 格
(「東京都テニス協会実業団委員会」サイト内「ルールのページ」より)
指導者の努力もあって、この「来いやー」は随分少なくなったという。
同サイトより。
みんなで努力、マナーの問題
平成17年4月12日
私も5年前にこの全国大会を初めて見たわけですが、その華やかな応援とともに、選手や応援団のマナーの悪さが印象に残っています。サーバーに対してレシーバーは皆、「こいやー、こい!」と無礼なかけ声を発していましたし、それが以降田舎にまで普及して、全国至る所で「こいやー」の嵐でした。この問題は各所で心ある方々に指摘して頂き、その結果今ではほとんど耳にしなくなりました。あんなに大流行だったのに、「なんだ、やればできるじゃん」、って本当に思います。5年前、あるコートを取り囲む大応援団が、あがってしまいボールをネットにかけ続ける相手校選手に、「おうおう、今日は大漁だのう」とはやし立て、笑いものにしている状況を目にしました。笑いものにされた選手は、ますますうつむき、たぶん息子の晴れ姿を見に来た親御さん達だと思いますが、こちらも悲しそうにうつむいていました。えぐられるようなヤジがそこここで聞かれ、「これが高体連の全国大会?」と驚愕しました。しかしこちらも、急速に改善され、現在では相手校を誹謗する応援もまったく耳にする事がなくなりました。そのヤジを飛ばしていた高校は名門校ですので、全国大会で以降も良く目にします。
(略)
さてそうなると、マナーについて残された課題は何であるか、もう高校生の試合を見つづけておられる方にはおわかりかと思いますが、そうなんです、それは「ガッツポーズのつくり方」なのです。
(略)
第27回全国選抜高校テニス大会では、興奮した選手がエースを決めた後ネット際まで歩み寄り、相手にこぶしを突きつけ、「よし」とか「やー」とか声をはり上げている、そんなシーンをよく見かけました。「しまった、コースを間違えた」とか、「打ち損じた」と思っているまさにその時、目の前にこぶしを突きつけられた相手選手は、どう感じていたのでしょうか?
こういうアクションも、テニプリの皆さんはよくなさいますなあ。
まあ、もはや「テニスではなく、もっと馬鹿馬鹿しい何か」としての位置を確立した作品に対し、今更「悪影響が云々」などと野暮なことを言うつもりはさらさらない。
第一、サムライイリュージョンだの恐竜滅亡絵巻が繰り広げられる世界で何をかいわんやという話だが、ルールブック的にどうなのかちょっと気になったもので。
すっきり。
おまけ:「VIPのエンペラー」
ちなみに実写映画の方はさすがに少しは考慮されているみたいで、氷帝応援団は「負けるの青学」は言っていなかったような記憶がございます。
テニミュは佐橋俊彦さんが作曲なので、好きな音なので耳に残る残る。
しかも若手俳優に対しての耐性があるうえに、恥ずかしいのも平気なので、結構はまっております。
あれはテニスに対するテニヌと一緒でそういうジャンルだと思えば楽しめます。
とはいえマナーの悪さは遺憾です。
劇伴の印象が強い方ですが、ミュージカルの仕事も多いんですね。
「ビッグオー」のイメージからか、「●●風にして」と言われればなんでも器用にやっちゃうという印象があります。
>しかも若手俳優に対しての耐性があるうえに、恥ずかしいのも平気なので、結構はまっております。
あっやっぱりそうでしたか。
日記を拝見して、「もしかしてテニプリミュージカルのことかな?」と思っていたもので。
まあ、ずっと前からテニプリに関しては「キン肉マン」か「アストロ球団」をテニスでやっとるという認識なので今更驚くには当たらないのですが、あえてルールをひもといて検証を試みてみました。