2007年03月14日

対米輸出絶対不可能アニメ・動画

最近のエントリで薄々お察しの方もおられると思うが、「野球アニメをYouTubeで回顧する」のが最近のマイトレンドだ。

そんなわけで今日のネタはついに「アパッチ野球軍」。
EDの「みんな集まれ 集まらねえと ハッパかけるぜ」の「ハッパかける」が、「やる気を出させる」という慣用表現でなくて文字通りダイナマイトドンドンなことで知られるこの作品。
いやーこれはキツい。
古いアニメ、濃いアニメに慣れたはずの私でも、このモッサリ感とやりすぎ感にはかなり舌が疲れる。
食品で例えれば、練りゴマをストレートで食わされているような気分。
おそらく最近の萌え絵アニメしか見ていない若い衆は、OP見るだけで胃もたれするに違いない、そんな作品だ。

OP&ED

何ていうのかな、全体的に「あおすじ五郎」を連想した人もいるかもしれないね…
OPでメンバーを見ると、どいつもこいつもいい具合に酒ヤケした、どっかの飯場の日雇い労働者で、「ドヤ対抗の草野球の話か」と誤解しても何の不思議もないのだが、一応みんな年齢的には中〜高生だということを最初に認識してほしい。話はそれからだ。

OPの歌詞が激しいことは有名で、

・俺たちゃ裸がユニフォーム
・俺たちゃ裸足がスパイクさ
・たまにゃサードに逆走するが


など、色々な意味で「そ、そのレベルなの??」と心配になってくるが、事実そのレベルである。そのレベルにも達していないかもしれない。

YouTubeに1&2話のダイジェストが上がっていたのだが、かいつまんだだけで十分凄まじい。

所は四国、松山。山奥にある私塾に、元高校野球のエースで鳴らした堂島剛は、指導者として招聘された。
彼が目指すその村「猪猿村」は、バスも通らない超過疎地で、里の町では通称「アパッチ村」と呼ばれていた。
そこで生徒達と出会う堂島。

だいたいスポーツものの序盤の掴みとして、「メンバーと指導者の出会い」は外せない重要ポイントだ。

A:チームメンバーがとんでもない
B:指導者がとんでもない(例:明訓の徳川監督)
C:両方普通
D:両方とんでもない

の4類型のうち、「アパッチ野球軍」は間違いなくAなのだが、何しろこの連中のファーストコンタクトシーンは

ヒロインをレイプ未遂&見咎められて傷害未遂

なのだから一味違う。
その分教場の教師を務めるヒロイン(塾長の孫娘)のセリフがもう。

「これでも、だいぶ良くなった方ですのよ。
 最初来た時には類人猿みたいだったのが
 どうにかアパッチ並み
になったんですもの。
 おじいちゃんは、それを今度は
 人間並みに改造しよう
としてますの。」


ちょっ………
⊂ミ⊃;^ω^)アウアウ!

人間>>>>(越えられない壁)>>>アパッチ>類人猿

かよ!

これはヤバすぎるだろ、アパッチ族の人に対してはもちろん四国の人に対しても…

また、2話のサブタイトル「他国者は刺せ!」ってのもなぁ…
「よそ者を排除する」シチュエーションは色々な物語でありがちだが、「刺せ」という具体性が怖い…実際ナイフ使いの生徒が出てくるし…

アパッチ野球軍の主要メンバーとポジションは以下の通り。

*網走:ピッチャー
 ダム飯場主任の息子、ナイフ投げの名人。

*材木:キャッチャー
 木こりの息子。

*モンキー:センター
 木こりの息子。身が軽い。いつも猿を連れていて本人の要望もほとんど猿。

*ハッパ:サード
 ダム飯場ダイナマイト管理者の息子、爆発物のエキスパート。
 グラウンド爆破事件の実行犯。
 どうも野球選手のプロフィールを書いてる気がしない。

*オケラ:初代ファースト
 村の子供。
 コウモリの父の圧力により、アパッチを一時離脱する。

*モグラ:
 村の子供。

*ダニ:セカンド
 村の子供。

*コウモリ
 村を牛耳るよろず屋の息子。村の経済規模がよくわかる…
 父同様、アパッチを敵対視する。 

*大学:2代目ファースト
 寺の息子で、絵に書いたようなガリ勉優等生。後にコーチ兼任。

*花子:レフト
 村長の娘。非萌え女生徒その1。

*ダイコン:ライト
 非萌え女生徒その2。 

*コケラ:ショート
 オケラの弟。

堂島先生のミラクル野球(動画・OPの後に始まります)
伊吹くんの「神技・一人卓球」は、遥か昔に堂島剛が通った道だった……

試合前夜・メンバーの夢

このモッサリ具合は本当にカンベンしてほしいくらいのモッサリだ。8分もかけてやることなんだろうか…
夢の中の試合のスコアボード、「アパッチ」VS「大学生」という大雑把さも素敵だ。

アパッチ野球軍には、女子生徒が二人いる。
普通この手の野球ものでは、ヒロインはマネージャーが定番で、プレイヤーとして参加するとしても一人が上限(例:「男どアホウ甲子園」の美少女)なのだが、二人いるのは珍しい。
しかしOPや↑動画を見て分かるように、二人とも、どう薄目にしても「萌え」からは10万宇宙キロ以上の彼岸にある。
この作品で辛うじて「萌え」の対象にできるのは最初にレイプされかけていた先生くらいのもの(とはいえ絵柄的にかなり厳しい)。
萌えはないけど、暴力と貧困といさかいとダイナマイトと猿には事欠かない。これがアパッチ野球軍の世界である。

最終話、アパッチ野球軍は強豪のQL学園(なんちゅー校名だ)と試合をして結果的に勝つ。
「さあ甲子園に行くぞ!」と意気上がるものの、「君たちは学校じゃなくて私塾の生徒だから公式戦に出れません」と、至極ごもっともな通達を高野連から言い渡される。
アフリカ流しになったアストロ球団への仕打ちは理不尽だが、こちらは、まったくもって常識的な判断である。

「高校野球の大会に出れるのは高校生だけ」。

ごく当たり前の真理であるが、アパッチにはそれが理解できないのだ。

というか、最初から「目指したことが間違いでした」という話なのだが。

「高野連ブッ潰してやる!」と明後日の方向に闘志を燃やす。
彼らのいう「殴りこみ」は、「強硬手段で直談判」や「組織としての体裁や体面を潰す」という意味ではなく、即物的な意味でのテロ宣言(何しろダイナマイトの使い手がメンバーにいる)だから剣呑である。
結局堂島に説得されて甲子園の道を諦め、任期を終えて本土に帰る堂島を見送る生徒達だった→完

という話だったらしいですよ。

堂島先生の風貌が、野田圭一の声とあいまって剣鉄也っぽく見える…と感じた方もいるだろうがそれも道理で、どちらもキャラクターデザインを森下圭介が担当しているのだ。




この「アパッチ野球軍」には前史というべき作品「エースの条件」がある。
花登筐原作・水島新司作画の漫画であるこの作品では、「アパッチ野球軍」でいらん苦労をしまくった堂島剛の現役プレイヤー時代が語られている(というか「アパッチ」が「エース」の続編というべきだろう)。
そもそも堂島がアパッチさん達を教える羽目になったのは、ケガその他の事情によりスター投手の道を断念するに至ったためなので、その「成功と挫折」の過程を描いたのが「エースの条件」である。

検索して、あらすじをまとめたサイトを見つけ、大いに参考にさせていただいた。
『エースの条件』(アパッチ野球軍・エピソード0)(天野譲二氏の記事)

世の中に、「ひどい目に遭う主人公」は数々あれど、ここまでテッテ的にいじめ抜かれた主人公は数少ないだろう。さすが浪花ど根性もので有名な花登筺。桜多吾作(主人公をとにかく痛めつけるので有名。コミカライズをまかされた作品の主人公は、原作でどうあれたいてい死ぬ。グレートマジンガーでも鉄也死亡、ゲッターロボでは全員死亡した。)も裸足で逃げ出すバルカン砲射撃な受難は以下の通り。

・類まれな才能によって野球部で活躍する貧しい高校生・剛だが、理事長の息子に妬まれ疎まれ、恒常的なイジメを受け続ける。
・父親、作業現場で落盤事故に巻き込まれる。一命を取り留めるものの、同僚の財布を盗んだという濡れ衣を着せられて服役(実際は預かっただけなのだが、その同僚が死んでしまって証を立てられなかった)。
剛へのイジメ、「泥棒の息子」と呼ばれさらにエスカレート。
・試合を応援に来た剛の母、理事長に罵倒され、耐え切れず外に走り出したところ、車に轢かれて入院。
剛の父、妻の事故を知り脱獄するも、病院で再逮捕。
剛の母死亡
・剛にプロ球団のスカウトが目を付ける。理事長親子は剛をプロにやって学校から追い出すため、母の借金の返済を迫り、一時は契約金のためにプロ契約するも、色々あって白紙に戻し、また学校に戻る。
・転校した理事長の息子のいる高校と試合。息子のほうは改心するも、理事長の計略により利き腕を傷つけられながらもイイ試合をする。しかし試合には結局負ける


ここまでが「エースの条件」の剛。
正直もうお腹いっぱいなのだが、「アパッチ」冒頭で語られる剛のその後はさらに悲惨だった。
上記サイトより引用させていただく。

3年の夏の大会で甲子園出場を果たし、決勝戦で完全試合を記録した剛の元にプロ野球のスカウトが殺到。その契約金目当てで真人間に戻る約束を忘れ、再び酒に溺れ始めた剛造(注:剛の父)を立ち直らせるために、剛は己の左手に割れた酒瓶を差し、自らの投手生命を絶つ。しかしそれによって剛造は真人間に戻るが、結局3年前に亡くなってしまった。


……いやほんと、もう勘弁してください……orz……
オヤジを真人間に戻す方法ってもっと他になかったのか剛……

「アパッチ」「エース」、双方共に、どこを取っても尋常の野球マンガでないことだけは確かである。

今となっては、「何でまた花登大先生が野球ものを?」という経緯を知りたく思う。




posted by 大道寺零(管理人) at 16:44 | Comment(0) | TrackBack(0) | アニメ・動画
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