「行け!ゴッドマン」バトルシーン
あまりの緩慢(その辺の高校や大学のサークルのほうがもっと小マシなアクションを撮れるだろう)な映像に、「本当にこれが放送された本物なのか?」と眼を疑ってしまったが、実際そうらしい。
「ウルトラファイト」を余裕で下回るこのヌルさ、そして安っぽさ。
住宅などのミニチュアが用いられているが、後シリーズのグリーンマン共々、「シリーズを通して使いまわさなければいけないので、絶対に主人公も怪獣も踏んで壊したりしない」ので有名。
傍目にも、「間違っても壊すまい」とメチャクチャ気を使って動いているスーツアクターさんの気配りが滲み出てきてなんか切ない。いやあの、滲ませないでお願いだから。
動画の1分頃に、巨大怪獣と戦うためにゴッドマンが巨大化する。といってもものすごく分かりやすく画面内のゴッドマンが紙芝居上にズームアップするだけなのだが。
その際のかけ声が
「ゴッド拡大!」
拡大…って…
それは編集さんがやる二次元的な作業であって、自分で「拡大」ってアンタ…
変身・変型や巨大化の際の掛け声やタームは様々あるが、「拡大」というあんまりな言葉を使ったのは多分ゴッドマンが最初で最後では…
こんなにトロくさい動きでトホホな画面なのに、ゴッドマンや怪獣が微妙に小芝居しているのがなんか余計にムカつく。
「行け!ゴッドマン」は、かつて平日朝に放映されていた「おはよう!こどもショー」内のプログラムで、毎日5分の放送、平日5日分で1話という特殊な体裁の番組である。(この枠のほかにも「男どアホウ甲子園」のように、同形式のアニメが当時は存在したのだ。)
月曜日:怪獣が子供と怪獣おじさんに襲い掛かり、二人はゴッドマンを呼ぶ。バトル開始。
火〜木曜日:延々と主題歌や挿入歌をバックに殴り合い。その間ゴッドマンは無言。
金曜日:バトルの末、怪獣を倒して去るゴッドマン。
というフォーマットで、ストーリーらしいストーリーやドラマもなく、延々とゆる〜い着ぐるみプロレスを見せられる微妙すぎる5分間。
特に火〜木曜日にたまたまチャンネルを合わせた日にはもはや白昼夢に近いシュールな時間を過ごせたと言われている。
OP映像はこちらだが、もう主題歌の歌詞からして既にやる気が感じられない。
「SOS SOS SOS SOS 地球〜が〜あぶ〜ない〜」の後でさらに
「SOS SOS SOS SOS」
としつこく危機を訴える割には、本編ではどう見ても人気のない造成地とか河川敷だけが危機の範囲でミクロだし、怪獣(他の番組の怪獣の流用・改変モノ)も大して暴れないし。なぜか電柱や民家は壊さないように立ち回ってくれるし。
最初に貼った動画のBGMもBGMで、安そうな少年合唱団が
「チャッチャッチャ、チャッチャッチャ、チャッチャッチャラッチャ ゴッドマーン」……
せめて何かフレーズ入れようよ……
全体的に「水木一郎のムダ使い」感が漂うが、淡々と仕事をこなす若いアニキの歌声が哀愁をそそる。