2005年06月10日

中国で海外アニメの放映制限へアニメ

外国アニメ放映禁止へ 中国、国産品の振興狙う (共同通信) - goo ニュース


 【香港10日共同】日本や米国製のテレビアニメが人気の中国で、国内製アニメの振興を狙う当局が、ゴールデンタイム(午後5−9時)の外国製アニメ放映を禁止する見通しとなった。9日付の香港紙、東方日報が伝えた。


記事ヘッドでは「放映禁止」というタイトルなので目を剥いたが、記事を読んでみるとあくまで「17〜21時ゴールデンタイムの放映制限」ということだ。
今の日本に置き換えてみれば、「韓流ドラマのせいで国内ドラマの視聴率が振るわないので、放映制限します」って感じだろうか。
まあビデオもあるので、時間が早朝や深夜に移動したところで、見れることは見れるわけだが。
先日、個人Webサイト・blogの登録義務付け(登録しない場合はアカウント剥奪もありらしい)の話が出たばかりで、「言論・認識統制」という言葉がイヤでも頭をよぎるが、どちらかと言えば、現在アニメ産業を必死こいて発展させようとしている中国の「文化的セーフガード」としての性格がより強いようだ。
こうした文化的オブジェクトの流れを規制し、摂取する機会を限定することを、普通は「統制」と表現するような気もするが。
とはいえ現状が

中国では既に2000年から、各局が放映するアニメ番組の6割を国内製とすることを義務付けているが、中国中央テレビを除く地方の大半のテレビ局でこの規定が守られていない。このため当局はより強硬な措置に踏み切ったという。


ということで。
テレビ局が規定を守らないということは、「国産アニメでは数字を取れない、他局に勝てない」、つまりは「まだ競争力が足りていない」という厳然たる事実があるわけなのだが。

いつから禁止されるかは未定だが、アニメキャラクターの関連商品の販売も規制される可能性があるという。世界貿易機関(WTO)協定違反の疑いもあり、内外で議論を呼びそうだ。同紙は、9月開園予定の香港ディズニーランドの客足減少にもつながりかねないと指摘している。


海外アニメのグッズ販売を規制する前に、国内の海賊版や版権無法っぷりをどうにかしたほうがいいんじゃないかと思うのだが。
それはさておき、版権とゼニには世界一厳しいディズニー相手では、ヘタをすると開園自体があやぶまれるんじゃないかと…中国が国家アニメ産業基地を設立
(東京国際アニメフェア2005-アニメ関連ニュースより)

中国のアニメ業界はどうなっているのか、どんな作品があるかということをちょっと検索すると、この手の記事にけっこう突き当たる。中国としてはかなりテコ入れをしたいようだ。またゼニ的にも、「外国資本からガンガン金を入れてもらいたい」という方向で動いている。(とはいえ、「だが、外国企業の中国における100%出資企業の設立及びアニメーションの制作が近いうちに承認されることはないと予想される」など、えらく制限的)

参考記事:「中国:アニメ・放送分野を対外開放、外資導入に期待=アジアインフォネット

ここで言われているのはあくまで「外資を入れてもらって国産アニメを作る」話なのだが、こうした閉鎖的な市場に意欲を見せる投資元があるのかどうか、よくわからん。

また一方では、「日本のアニメ・マンガを模倣するのはイクナイ」という「いつの時代っすか」という批判が平然と起こったりする。
今年2月には、「紅楼夢」の漫画に関して、
「出席したメディア関係者から「登場人物の描き方が、日本のアニメや漫画のような、大きな目、長いまつげで、流行にこびている」「肌の露出が多過ぎる」などの批判」
が出たらしい。
(ちなみにこのニュースの中で、紅楼夢学会の方が「どんどんやれw」と鷹揚な態度なのがすばらしい。さすが紅楼夢を研究題材に選ぶ人って感じだ)
(ニュースソースのページがなくなっていたので、「アニチャイ!(中国アニメ事情)」の関連エントリーをリンクさせていただきます。)
お次は金瓶梅(作品的ヤバさの度合いがかなり上…日本ではわたなべまさこ御大が描いたな、そう言えば。)…には行かないのかな。
(と言って、今の低年齢層向けエロ本と化した「少女コミック」みたいな状況が必ずしもいいとは思わないけれども)

この記事で思うのは、「模倣」が「発展・成熟(漫画やアニメに限らず文化というものは「常に過渡期」だから面白いと思うので、あえて「完成」という言葉は用いない)」や「独自性獲得」に果たす役割を理解せずに、ただ(勧請や政治的な思惑や性急さによって)排斥する浅はかさだ。
日本のアニメや漫画が、どれほど多くのものを海外アニメや洋画・映画などの外的なものを取り入れ、一方で伝統絵画文化のエッセンス(「戯画」の軽妙さ・デフォルメなどに関わらず、筆のタッチとか日本画的なテイストとか)と融合しながら表現の豊かさを獲得したかは、今更言うまでもない。
手塚治虫や石ノ森章太郎らがディズニーや海外アニメの影響を受け、どれほど模写を行ったかと言う話は有名(一方で、洋画デッサンや模写も大量に行いながら画力を身につけてもいる)。
中国のアニメ・漫画市場は、日本やアメリカと比較してみれば遥かに過渡期・成長期にあり、模倣だ何だと四の五の言わず、様々なものを貪欲に取り入れるべき時期なのではないだろうか。
満遍なく栄養をとらなければならない成長期の子供に、親の思想を強制して偏った内容の食事しか与えなければ、身体の成長に支障をきたしたり、またひどい偏食で食文化に興味をもてないつまらん人間になりかねないのと同じことだと思う。

中国発のアニメというと、昔製作された「ナーザ」とか、最近ではBSで放映されていた「ゼントリックス」くらいしかちゃんと見たことがない。
ゼントリックス」はホンコン発のフルCGアニメーションだが、デザインや動きはなかなか見るべきものがあった。
さくらたん似のヒロインの子が可愛くて健気でいいのだが、ストーリー自体はまあ単純な勧善懲悪冒険物で、キャラクターの性格設定もわかりやすいと言えばわかりやすい、紋切り型と言えば紋切り型。
日本ではそうでもなくなってきたが、中国では依然として「漫画・アニメは子供向けのもの」という考え方が強固らしい。それゆえストーリーやキャラクターがどうしても紋切り型・優等生的になりがちで、深みに欠けるという指摘が多いそうだ。
スタッフ育成も、作画・技術関係も勿論だが、それ以上に「新鮮味のあるストーリーやキャラクターを作れる人材の育成」が急務とされている、という記事も読んだ。

かつては日本アニメ・漫画も「お子様向け」とされた状況の中で、作り手が現状に挑戦しながら、時にはPTAやら何やらと戦いつつ「その枠を超えてエポックメイキングとなる」作品を作り上げ、いくつものブレークポイントが生まれてこそ、今のように多くの年代が多彩な作品を楽しめる状況がある。
そうして考えてみると、中国では今がチャンスの時期のはず。だった。
「クレヨンしんちゃん」が向こうの子供に大人気(もっともこれは、双葉社の先手を取って中国側の企業が中国語名で先に商標登録したため、本家の双葉社側が「著作権的に違法」として締め出されるということがあって、版権的に「ナンジャソラ」なことになっているので微妙なのだが…中国が国内に入れるとはちっとも予想できなかったので意外だった)というのも、「いい子キャラばかり」からの脱却(というニーズ)のポイントができつつあるのかな、と思っていただけに、今回の規制によってどれほど停滞することになるのだろう…と思う。
勿論、日本のアニメの今日的状況が「絶対的成功」「理想的な発展」とは言い切れないわけだけども。栄養を制限しておいて「ドメスティックな進歩」を為そうというのは相当難しい話ではないのかな。
posted by 大道寺零(管理人) at 12:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | アニメ
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