2005年06月13日

入試問題その2事件・ニュース

数日前に報じられた、青学高等部英語入試問題文内で、ひめゆり学徒の体験談について「退屈でつまらないと思った」というフレーズが問題になった件について。

<ひめゆり入試問題>青学高等部長らが元学徒訪れ謝罪へ

問題の概要はこの記事内にあるとおり、

 問題となったのは今年2月にあった入試の英文読解。戦争体験を伝えることの難しさを考えさせるのが狙いで、英語教諭が以前に沖縄を訪れた体験をもとに作った。

 入試問題には、沖縄のガマ(壕(ごう))に入った生徒が、元学徒の体験談を聞いたとき「退屈で飽きた。彼女が話せば話すほど、私は防空壕で受けた強い印象を失った」と感じたことが書かれていた。設問では、なぜ生徒が体験談を気に入らなかったかを問い「彼女の話し方が好きではなかったから」の選択肢を正解にしていた。


確かに問題点は、

「どのような感想を持っても自由だが、それを入試として出題することがおかしい」

という一点に尽きる。
入試を受ける生徒にしても、祖母や祖父が元学徒、という生徒もいるだろうし、講話を聞いて感涙した子もいるかもしれない。
入試問題は、他の試験と違って長年保存され、人の目に触れる機会も多い。まして青学のような有名校となれば出版もされるしなおさらのことだ。
「ひめゆり」という固有名詞を使わず、「とある元学徒の女性」とぼかす方法、または「退屈」という言葉を避けるという方法もあったかもしれない。
英語や国語の問題文は、最初から最後までストレートなものはあまり使われない。ある程度のヒネリを加えないと、読解力を測ることが出来ないからだ。後で述べるが、この文もまた、文章にひねりを加えるためのパラグラフの一部であって、文章の主張の肝ではない。
とはいえ、「残るもの」「対外的にも読まれるもの」という性格上、できるだけ政治的・思想的な色は付けないのが無難であろうとは思う。そういう意味で入試に使うには無神経だったと言えるだろう。実力テストとかにしておけばよかったのに。
青学の修学旅行で長崎に行くということなので、これから行く人間に「語り部の話って退屈」という印象をあらかじめ植え付けるのはどーなのよ、とも思ったのだが。
実際長崎でも語り部さんを予約するんだろうに、要請する側がこういう文を作ってたら、もし「青学お断り」という対応をされても仕方ないだろうなあ。

さて、一連の報道だけ見ると、よっぽど非道な内容の文だったように捉えてしまいがちだが、実は全文を読んでみると、文の趣旨自体は「戦争の記憶をいかに語り継ぎ、受け継ぐべきか」という内容になっており、報道がやや近視眼的になっているのではないかという印象も覚えた。

参考リンク:入試問題全文(pdfファイルです)内容をかいつまんでみると
・戦後60年経過した現在、戦争の体験を語り継ぎ、それを継承する事は大切。それをどのようにしていくべきか
・以前見た戦争に関する番組は非常にショッキングなものだったが、視聴者の老人から「私たちは年老いて、体験を語りたくてもできなくなる。よくぞ作ってくれた」という番組への賛辞があったことを知り、体験を継承する上で「言葉」と「映像」という手段について考えた。
・修学旅行で沖縄に行き、防空壕へ行った。「キャンプとかしたら楽しそうじゃね?」とはしゃぐ私たちに、案内してくれた元学徒のお爺さんは懐中電灯を消して、当時の本当の状況を再現し、極限状況にあって「生き延びる事だけを考えていた。あの時の事は辛くて思い出したくない」と言葉すくなに語り、私たちは強い感動を覚えた。
・その後、元ひめゆり学徒の話を聞いた。先ほどの洞窟の印象があったので、どのようなインパクトを受ける事になるのかと思っていたら、退屈でつまらなく肩透かしだった。これまで何度も体験を語ってきたせいなのか、あまりにも手馴れていて上手過ぎ、まるで母親のベッドでの読み聞かせを聞いているようだった。話を聞いて感涙している同級生もいたので、「意味ナイ」とするべきではないけれど。
・言葉は強大なパワーを持っている。しかし時に個人の主観も混ざり、正確な伝達を妨げる可能性もある。サッカーの国際試合における中国人の日本への凄まじいブーイングを見ていると、「彼らも彼らの親から戦争体験を語り継いでこういう感情を持つに至った」と考えるが、それは果たしてどのような言葉で、何を語り継がれたのだろうか。

というような感じで、「戦争について、言葉や映像をどのように用いてどのように語り継ぐべきなのか」がテーマということ、体験の継承について決して軽んじているわけではないということが分かるのだが。(個人的には、全体的な「体験」「映像」>「越えられない壁」>「言葉」という論旨に偏りを感じないではない。また反日感情は親子の伝達と言うよりは国家規模の半日教育の影響のほうが大きいとも思う)
いずれにしても入試問題とするのに難アリとは思うが、いちいちひめゆり語り部に「こんな入試がありましたよ、ひどいですねえ〜」とご注進するほうもどうなんだろうなあ。
posted by 大道寺零(管理人) at 17:48 | Comment(2) | TrackBack(0) | 事件・ニュース
この記事へのコメント
大道寺さん、零魂本家落ちてませんか? アクセスできないんですが……。
Posted by 1031 at 2005年06月13日 21:03
すみません、ドメインの更新期限が切れていましたorz。
業者からのメールが届いていなかったのが大きいですが、自分の不注意です…申し訳ございません。
ドメイン削除はされてないのですが、期限切れ削除待ち状態で、更新するのに7000円ちかい手数料(ひー)がかかると判明して落ち込んでます…別名で新ドメインを取り直したほうが安いですが、やはり維持したくもあり…
サーバー自体は死んでおりませんので、blogインデックスページに記載したURLでアクセスいただけます。(Blogからのリンク部分はIPアドレスのほうに替えて置きました)。
しばらくはこのblogにブックマークしていただけると確実だと思います。
ご報告ありがとうございました。
Posted by 大道寺零 at 2005年06月13日 23:31
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