「超豪華フィギュアセット(道具類充実)」である雛人形を母と一緒に飾るのは勿論楽しかったのだが、しまうのがちと面倒。
そして何より、山形の3月初旬はまだまだ寒く、いつも薄寒い部屋で段を組んだり人形を飾っていた印象があって、「楽しいながらもなんか寒い」という思い出がいつもついて回る。
実家には、兄のために買った五月人形飾りはあったが、屋外に立てる鯉のぼりはなかった。
しかも7つ違いの兄は、私が小学生に上がる頃には中学生。「家族の行事なんかやってられっか、ケッ」というお年頃の真っ盛りに突入していたため、その五月飾り自体もあまり出番がなかった。
GWころの山形は、時折初夏並みに気温が上がったりしてよい季節、月山や蔵王を背に、田舎の空に悠々と泳ぐ鯉のぼりがなんとも楽しそうで、「うちでも鯉のぼり立てようよ!」とゴネてはドジョウを困らせたものだ。
当時、子供の数も多かったので、鯉のぼりの姿はあちこちの家で見られた。「中流化」の波も影響したかもしれない。
ちょうど、化繊にプリントした安価で大きい鯉のぼりが普及した時期で、スタンダードな「吹流し+真鯉+緋鯉(+子鯉)」だけでなく、緑やオレンジの「子供鯉」を付けて飾る家が出てきたのもこのあたり。
そして当時流れまくった「黄金太郎鯉〜♪」のCMソングを思い出せる人は間違いなく同世代。
中には、「子供の数だけ」色とりどりの子鯉を3つも4つも付けたりして、鯉のぼりというよりはもはやメザシ状態になっている家も見受けられた。
その中にチラホラ混じっていた、私が最も好きなタイプの鯉のぼり。
それが、「黄色い鯉のぼり」だった。
←の写真はミニチュアのようだが、これが大空に泳いでいると思いねぇ。プリントの鯉のぼりとは全然違っていて、くっきりとした色彩、大きな目、ところどころに入るビビッドな黄色が遠目にもとても印象的な鯉のぼり。
人んちに立っているのを見るだけで、とても幸せな気分になった。
化繊のものとは違って木綿製なので、ざっくりとした風合いや、泳いでいる時の力強さなど、とても様子がいいのだ。
やがて、このタイプの鯉のぼりは、山形県寒河江市で作られている、当地特有のものだということを知った。
今でもよくローカルニュースに製作風景が風物詩として取り上げられるこの鯉は、「出世鯉」とも呼ばれる手染めの高級品。
検索すると工房が一箇所ヒットするだけなので、今ではこの工房だけが作っているのかもしれない…
参考リンク:伝統手染め鯉のぼり製造販売 渋谷鯉のぼり
製作過程の紹介ページ。ここが一番鯉のぼりの外見が分かるかも。
額装のものもあるけれど、やはり手染め一品モノの工芸品。けっこうしますなあ。
寒河江やその周辺で見ることが圧倒的に多いが、内陸でもちょこちょこと立っていた。今はどうかな…
↑に書いた「渋谷鯉のぼり」さんも、TOPページにアクセスできなくなってたりして、ちと心配。伝統工芸品の工房はどこも大変だと思うが、なんとか続けて欲しいなあ…
にぼしさんの日記へのレスで、大昔に岡本太郎デザイン鯉のぼり(ミニチュア)を買ったことを思い出し、寒河江鯉のぼりのことも無性に懐かしくなったので書いてみた。
私は、子供心に、鯉のぼりは「蛇の抜け殻」のようだと思っておりました。
私の記憶に我が家のこいのぼりが大空に舞い泳ぐ姿を見たことはありません。
貴方のお母さんは、泳ぐ姿を見たのだろうか
龍 山
そういえば、母実家の従兄弟は男子二人で、連休にもよく遊びに行ったと思うんですが、あそこの家で鯉のぼりがあがってた記憶ってあんまりない…(二人とも兄と同世代だったからかもしれないです)
ぶら下がりで吊るしていると、泳がないですよねえ…
>私は、子供心に、鯉のぼりは「蛇の抜け殻」のようだと思っておりました。
なるほど…
今のこのブログのテンプレートにある鯉のぼりもちょっと長くてヘビっぽいですよね…
きっと蛇が大嫌いなオカンがこれを見たら、
「蛇みたいで気持ち悪い〜」
と言うに違いありません。
今度電話した時にでも、鯉のぼりの話を聞いてみようと思います。
第一子ですし、一月生まれで2ヵ月後には桃の節句。
立派な段飾りじゃなくても小さな親王飾りぐらいは用意してそうなものなのですが、我が家は私の意志を尊重したようで「銀色のロボットとマシンガンにしろとだはんこぐから・・・・」と父親に言われました。
首もすわらないうちから私はわがままだったのかよ。
正直に買うお金が無かったって言ってくれればいいのに・・・・。
最近の鯉のぼりは、縦一列ではなく川などにロープを渡して横一列に泳いでいる姿(このテンプレートの鯉のぼりもそんな感じw)をよく見かける事が多くなった気がします。
>最近の鯉のぼりは、縦一列ではなく川などにロープを渡して横一列に泳いでいる姿
そうですね〜。
特に都市部や集合住宅、賃貸住宅などではその傾向が高いようです。メーカーのほうでも、ベランダ飾り用のアイテムなど豊富に用意しているようですね。
イベントで、何百本もの鯉のぼりを、川や湖・ダムなどに渡して壮大に泳がせているのは、適度に風があると本当によいものです。