2007年05月30日

大出世を祝う漫画

チャンピオンRED連載の、「ジャイアントロボ 地球の燃え尽きる日(脚本:今川康宏/漫画:戸田勝成)」の1巻に、私が個人的に目ん玉飛び出しそうになった1ページがある。

第2話「誕生編2・重撃!九大天王」の6P目。
このコミック版やOVAをご覧になった方はご存知と思うが、「BF団」に対峙する「国際警察機構」は基本的に「水滸伝」の梁山泊であり、トップ幹部の「九大天王」こそ他の作品の主人公や重要キャラクターが引っ張られているものの、一般兵隊(一応「職員」なのか?)は水滸伝の108星好漢たちで構成されている。

で、下のコマは、国際警察機構の参謀である呉用が好漢たちに檄を飛ばすシーンなのだが…

grobo.jpg

このコマでは7人の名前が出ているけれど、水滸伝をちょっとかじった事のある人なら誰しも驚いたり吹いたりしてしまうのではないだろうか。
なぜならこの7人、こういう場でかっこよく登場するのにはまったくそぐわない、108人のうちでも影が薄い、超マイナーどころ揃いだからだ。逆に狙った可能性もあるが、「金毛犬・段景住!!」なんて乙にキメられた日には、
「ちょっwwwwアンタなに『!』とか2つもつけちゃってwwwwまあ滅多にない機会だしよかったねwwww」
と、なんだか生ぬるい気分になってしまう。

うーん、どのくらいマイナーかと何に例えよう。
例えばガンダム世界のメカニックなら…
とりあえずモビルスーツどころかモビルアーマーですらない、周辺メカ。かといって、ミデアやワッパなど、エピソードの中で印象的に使われたようなものでもない。
好意的に言っても「ジッコ突撃艇」「デッシュ連絡機」「重爆撃機デプ・ロック」「コミュ連絡機」というレベル。
この辺、よっぽど周辺メカ好き、あるいはファーストシリーズTV版を隅から隅まで把握している・設定資料を持っている人くらいしか「あー、ハイハイあれね」と反応することは難しいと思われる(そもそも連邦のメカかジオンのメカかという区別自体つかない方のほうが多いだろう)。つまりはそのくらいマイナー。


水滸伝に登場する108好漢は「天コウ星36人」「地サツ星72人」のメインカテゴリに分かれており、宋江や呉用・戴宗・楊志・李逵(鉄牛)・公孫勝(一清道人)などの有名どころは大抵天コウ星に所属し、梁山泊入りが遅かったキャラクターや影の薄めなキャラクターは地サツ星にカテゴライズされるのが基本だ。(とはいえ、地サツ星の上位の方にはけっこう有名キャラもいるので一概には言えないのだが…)

上のコマに登場する7人はいずれも地サツ星、それも相当末席のほう。
以下、現在定着している席次+星の名前と称号に簡単なプロフィールを添えて説明してみよう。

・63 地狂星 独火星 孔亮

 「水滸伝」には、兄弟ユニットが数多く存在するが、彼も兄の孔明とともに、いつも二人一緒の兄弟コンビ。
 兄が「孔明」、そして本人が諸葛亮孔明の名である「亮」をとった「孔亮」というご大層な名前だが、遠い血縁だとか孔明を尊敬しているとかいう設定は一切なし。兄ともども歩兵部隊に所属する、フツーの腕っ節担当で、別に頭がいい訳でもなんでもない。

 恐らくは、つましいメシを食っていた武松と同じ居酒屋に入り、郎党と一緒に楽しく豪華な食事をしていたばかりに逆ギレされてボコボコにされ、その後酔っ払った武松を人数にモノを言わせてとっ捕まえたあたりが一番の見せ場?
 実は兄ともども宋江に武術を教わっており、宋江のとりなしで武松と仲直り、そのまま梁山泊入りする。
 一応「腕っ節が強い」という設定ではあるが、宋江に師事しているという時点でオワタ感がプンプン漂う二人である。

・74 地異星 白面郎君 鄭天寿

 写植に「鄭天"寺"」とあるのは明らかに誤り
 元は銀細工職人で、「白面郎君」は、「色白のいい男」という意味を持つ。
 梁山泊に与する前の王英らと共に山賊をしていた。

・89 天全星 鬼瞼児 杜興

 李応の執事。楊雄の紹介で梁山泊入り。
 コワモテなので「鬼瞼児」という号がついたようだ。
 梁山泊の四方には酒店が設けられ、来賓を接待したり、外部の情報を収集する役割があったのだが、彼はそのうち「南山酒店」に常駐している。活躍の描写は…あったかなあ…?

・97 地察星 青眼虎 李雲

 元政府の役人。
 号の由来は、「顔は大きく掘りが深く、眉は濃く、鬢や髭は赤く、緑がかった瞳」という独特な風貌に由来するのだろう。水滸伝にはしばしば彼のように、異民族との混血を思わせる人物が登場する。
 一応武術に長けるという設定だが、梁山泊での仕事は建築・営繕担当だそうな。庶務課ってとこかな?

・100 地数星 小尉遅 孫新

 元は居酒屋の亭主。梁山泊でも東山酒店で接待と情報収集を担当する。
 正直、嫁さんの肝っ玉女傑・顧大嫂の知名度の方が何倍も高い。
 また、兄である病尉遅・孫立がそれなりに武芸の見せ場を持つのに対して特に活躍の場がない。
(「病尉遅」とは、「病」=「顔の黄色い」+唐の名武将「尉遅恭」の腕前になぞらえた名前。「現代版尉遅恭(ちょっとイエロー)」という感じのホメ言葉)
 正直、「顧大嫂のダンナ」「孫立の弟」という以外に特に語ることもない、影のうす〜い旦那である。「小尉遅」も、「病尉遅・孫立の弟」という以外には武名の意味を持たないとされている。

・107 地賊星 鼓上蚤 時遷

 元々がコソ泥。梁山泊では身の軽さを生かして密偵などの役についていた。
 腹が減って盗んだ鶏一羽が祝家荘との大抗争に発展するなど、トラブルメーカーであるが、この争いがきっかけで梁山泊に入った連中も多いので結果オーライなのか。
 盗みの腕を重宝されたり破壊工作を行ったり、ブービー席次の割には見せ場がある方だ。

・108 地狗星 金毛犬 段景住

 彼も前身が盗賊(馬泥棒)。
 金の王子の名馬を盗んで梁山泊に献上しようとしたところを曽家に横取りされ、それを晁蓋に泣きつき、義に感じた晁蓋が奪回のために出陣したために戦死。
 つまり晁蓋⇒宋江という梁山泊トップ交替劇の原因となったのが彼。一言で言えば「いらんことしい」。
 号の由来は、「赤くチリチリの頭に黄色のヒゲ」という、やはり異国の地を思わせる風貌から。
 個人的に「錦毛虎・燕順」と号のイメージがかぶりやすい…


まあこんなところなんだが、きっと本編でももう出番はあるまい(パラレルワールドの話だから、本作世界では意外にエラいのかもしれないが!)…
しかし、何故わざわざ末席連中の名前をこのコマで列挙したのか…今川氏・戸田氏いずれの指示か、そしてどういう意図なのかが激しく謎なのだが。何かの参考になれば(そんな機会が未来永劫あるかどうかすこぶる怪しいが)幸いである。


posted by 大道寺零(管理人) at 11:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画
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