2007年06月03日

遊佐町「パン工房BAKU麦」食べ物

「とてつもなく田舎、とてつもない販売システム、そしてとてつもなく美味」ということで、庄内にじわじわと口コミが広がった人気パン屋。
おばちゃん1人が、「全て自分の目の届く範囲で、手を広げすぎずにクオリティを保つ」ために、一時期は「あまり大量の纏め買いはしないでください」と客に言う前代未聞のパン屋として注目されていた。
相方はたまに職場でおすそ分けをいただくのだが、「確かに色々うるさくいうだけのクオリティはある」と絶賛しており、「一度店に行って買ってみよう!」と提案が来た。

・営業日は月・水・土
・最初の焼き上がり=開店は11:00

ということで、MAPで場所を調べて出発。
うん!遠いね!
途中で道や周囲の景色がかなり「里山モード」になり、「本当にこっちでいいのか?」と時折不安になるが無事到着。
閉店直前に着いたときには、庭の駐車場は満車に近く、4,5人の客が並んでいたがほどなく通された。

売り場は本当にこじんまりとしている。
焼きあがったところから5〜6種類のパンがかごの中に並んでいる。とてもいい匂い。

ここの販売システムはとても変っている。
普通のベーカリーでは

・客それぞれがトングとトレーを持ち、好きなパンを選ぶ
・レジ店員がパンの形状などから単価を見て、数量を入れて計算、袋などに詰めてくれて会計。

という流れになるが、BAKU麦ではこうだ。

・客それぞれのトレーはない
・客はまず用意された紙袋を手に取る
・パンの入ったかごに用意されたトングで、ほしいだけ紙袋に入れる
値段票やメモ用紙に、自分で値段を計算する
無造作に置いてある菓子空き缶に、買った分の料金を入れる。お釣りはその缶の中から取る。(計算した紙は特に提出しなくてよいようだった。)
・売り上げの出入を監視・管理している店員はいない。
・お金を入れたら紙袋ごとそのままお持ち帰り。


徹頭徹尾のセルフサービス。田舎の道沿いなどにある「無人野菜販売所」のノリ。完全に「客がズルをしないこと」を前提にした、現代日本のパン屋とは思えないシステムだ。

そして、事前にあちこちで聞いていたがとにかく店主のおばちゃんの言動が「店主と客」のソレではない。
接客のよしあしというレベルではなく、そもそも「接客が存在しない」システムなのだ。
高飛車とか横柄とかいうよりは、「とにかくパン作りが最優先で、お客にそうそう構っている余裕がない」という感じだ。悪意は感じられないし、腹が立つほど長居もしない(システム上さっさと買い物が終わるし、第一次から次へ狭い場所に客が来るので長居などしていられない)。

「元気 山形」第3ステージ〜食にこだわる〜

 店に来た客は、欲しいパンを自分で袋に詰め、値段表を見ながら計算して、箱の中にお金を入れる。パンを焼いている間は作業に集中するため、接客をする余裕はない。徹底したセルフサービスに、最初は戸惑う客も多く、「応対が悪い」と帰ってしまう人さえいた。だが「できることは自分でやればいい。過剰なサービスはいらない」という考えを貫いている。


事実私も、入るなり
「一番最後の人、ドア閉めてねー!虫入るからー」
と、まるで自分のオカンからたしなめられるようなノリで半分怒られたし
、パンを選ぶ間も
「●●パンはもっとこっちにもありますから、争わないでー、喧嘩しなくていいですよー」
「お金はそこの缶に入れてねー。計算は自分でしてくださーい。そのためにそこに電卓もあるんで〜」

うん、確かに「こんなの店じゃねえ」と言われればソレまで、キレてしまう・驚いてしまう人がいるのもわからんではないが、ここまで徹底して「配給所」されるとかえって腹が立たない。(そんなにピリピリガミガミという口調でもないし)
そしてパンはどれも美味しそうだ。
色々買ってさっさと次の人のために場所を開けるべく(駐車スペースだってそんなに豊富ではない)退散。

紙袋の中のパンはまだホカホカしていて(焼き立てなので口は完全に閉じないようにと言われた。)、香ばしい香りが立ち上ってくる。家までガマンが出来ず、何個かかじりながら帰途に着くが確かに美味しい。
紙袋の中に直接パンなんて、何十年ぶりだろう。ちょっと郷愁が湧き上がる。
トレイを兼ねた何の変哲もない茶色い紙袋だが、焼き立てをビニールに入れて汗をかかせてしまうよりははるかにパンによさそうだ。

牛乳とともにその焼きたてパンで昼食。
買ってきたのは以下の通り。

・粒あんぱん  120円
・こしあんぱん 120円
・クリームパン 120円
・メロンパン  120円
・いなかパン  100円(*2個)
・白ごまパン  5個220円
・バターロール 5個250円


いやこれは本当に聞きしにまさる美味しさだわ。
「無添加」とか「天然酵母」を歌うパン屋は最近増えたのだが、そのこだわりがパンとしての美味しさに直結しているかといえば必ずしもそうでもない所もある(特に天然酵母系のパンを美味しく焼くのはなかなか難しそうだ)。共通しているのは、「素材にこだわっただけ価格には直結してしまう」というところ。
しかし「BAKU麦」のパンの価格はどれも、大手スーパーのインストアベーカリーと同程度の安さ(ものによってはそれより安いかも?)でこのクオリティ。多少「配給所ノリ」でも私は全然無問題だ!

あんパン、クリームパンの中身なども全て手作りで美味しいのだが、パン本来の美味しさを味わうならやはり、プレーンなものの方が食べていて楽しかった。
特にバターロールのわざとらしくないモチモチ感は素晴らしい。
また、直焼きの「いなかパン」は、見た目よりずっと柔らかく、それでいて表面はパリパリ。大きさも手ごろなので、ミニオムレツやベーコン、またはコロッケ・ポテトサラダなどを挟んで食べるのも楽しそうだ。

買ってきた量からして、夜の小腹や明日の朝の分もフォローすると思っていたのだが、相方の
「折角だから焼きたてのうまいうちに食ってしまおう」
という声と、焼きたてのフカフカなライト感につられて、つい二人で全部平らげてしまった。恐ろしい…
(朝はその限りではないが、昼・夜の食事として相方がパンを食べる際には、かなりの量を平らげないと満足しない人なので、こういうときに食う量はハンパないのだった)

この店に行く途中、ちょっとした高台から遊佐・酒田を見下ろせる展望台みたいなところがあるので、あらかじめ飲み物を用意し、そのへんの景色のいいところで焼きたてパンを食べるのも風情かも。
店のシステムや店主の雰囲気は当然賛否両論あるだろうが、「配給所」「無人販売所」と割り切れば腹が立たない。よく店員の対応で腹が立つ私がそうなのだから多分大抵の人は大丈夫だろう。
パンの購入は本当にすぐ終わるので、不勉強or気の効かないバイト店員やウンチクや「ウチのはこう食え」を押し付ける傲慢店主と数十分空間を共有しなければならない外食での不愉快な体験とは比べ物にならない。

ノリとしては…そうだなあ。
讃岐うどんの「製麺所セルフ系」の美味しいお店で、

・おばちゃんは麺をゆでてくれる(あるいは出してくれる)だけ、特にお愛想はない
・トッピングやつゆ・薬味は自分で好きなだけ取る
・トッピング代を料金箱などに入れる
・接客といえるモノは特になし
・ヤスー(゚Д゚ )ウマー

ってところがよく紹介されているが、あれに近いと思う。
ま、当然好き好きはあるだろうけども。

むしろ、これだけひっきりなしに客が来るようになると、中には段々「お金を払わない」「ごまかす」「あまつさえつり銭取って行く」不届きな輩が出てくるんじゃないかと心配。
この店自体が、「ドリーマー都会人が描く田舎幻想」を具現化したような成功例(注:店主がドリーマーという意味ではなく、都会人が抱きがちな、田舎=素朴・温情という幻想です)なのだが、実際はDQNや厚かましい連中の割合は変らないし、むしろ質が悪いときもあるからなあ…
もっとも、「こんな遠くまではるばるパンを買いに来て今更万引きする酔狂な奴もいないんじゃないか」と信じたいのだがねえ…

場所はやはり、正直遠いですな。
酒田市街地からだと40分以上は見たほうがよいかも。
住所・MAPはこちら(goo地図)
道路表示はあまり多くないのだが、「白井自然の家」行きの表示がいくつかあるので、それを目印にして進むと少しは分かりやすいだろう。

営業日=月・水・土
営業時間=11:00〜18:00

土曜日が一番混雑していると思われるので、苦手な向きは月・水に行くと少しはゆっくりパンを選べると思われます。
商品によっては焼きあがり時間や販売曜日が異なる模様。

絶対お勧めしたいのは「いなかパン」と「バターロール」。
次に行くことがあったら食パンを買おうと思っている。
posted by 大道寺零(管理人) at 02:58 | Comment(4) | TrackBack(0) | 食べ物
この記事へのコメント
こういうお店、嫌いじゃないです。
私も接客にうるさい(最近酷い店員が多いので弱ってます。デイリーホットでトルティーヤを"素手トング"されて眩暈がしました。)と言うより気になる人なので、セルフ店のルールが事前にわかっていたらすぐに馴染んで気軽に利用できると思います。
親切なアドバイスおばさんも常駐してるみたいですしw

そういえば、数日前に無人販売所で料金を支払わずに商品を持ち去った男女16人を窃盗の疑いで一斉検挙したというニュースがありましたよね。
たしか高知の「良心市」だったと記憶してるのですが、激しく脱力しました。
このパン屋さんにも不届き者が現れなければいいのですが。
Posted by クマ at 2007年06月04日 03:12
>>クマさん

>デイリーホットでトルティーヤを"素手トング"されて眩暈がしました。

( ゚Д゚)ポカーン……
それは眩暈どころか卒倒しても不思議ではないですね。
そういうのって絶対にマニュアルにありそうなんですが、不思議です…

>セルフ店のルールが事前にわかっていたらすぐに馴染んで気軽に利用できると思います。

ですねー。「最初から分かっていれば別に抵抗なく従う」ってことですな。
このシステム、地元じゃ結構有名みたいなので…
ちなみに私が行った日は、適当に仕切ってくれる常連オバチャンみたいな人はいませんでしたので、その意味でも心無い客が万引きしないかという懸念がありますね…

というか純粋に、レシートも何もナシなので、申告とかどうやってんのか、他人事ながら心配になってくるような…
うっやばい、レス書きながらまた食べたくなってきてしまった…
Posted by 大道寺零 at 2007年06月04日 09:04
片道5時間ぐらいかけたらいけるかな・・・?
美味いパン・・・ううむ・・・クイタイ
でも遠い・・・でもクイタイ・・・
Posted by しろ at 2007年06月05日 10:55
>>しろさん

はははw
いや本当に美味しかったです♪
後から段々思い出し効果でむしょうに食べたくなってくることが判明しました。
あのオバちゃん…何か麻薬的な粉でも混ぜてパンを焼いているのでは……
しろさんちからは遠いな〜。
羽田から飛行機で庄内空港に着いて…
そこから1時間30分〜2時間くらい車飛ばして…

ま、まあそのお金で、ホテルベーカリーの焼きたてパンを何斤も買えるわけですが……
もしなにかの機会でこちらにいらっしゃることが…多分ないでしょうけど…ありましたら…お連れいたします。近くで美味しい湧き水を汲んで、田んぼを眺めながらロールパン食いましょう。
Posted by 大道寺零 at 2007年06月05日 14:20
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