2007年06月05日

B-1グランプリの話題(2)〜そもそも"お客"は誰なのか?日記

想像してみてください。
もしもあなたが、日本全国のご当地B級グルメの集まる祭典「B−1グランプリ」運営事務局の一員で、公式サイト作成を任されたとしたら…どのようなコンテンツを作りますか?
オーソドックスなところで、多分中高生でも3人寄れば、次のような案が労せずして出てくることでしょう。

1:日時、開催時間などの基本的情報は当然として…

2:まず何はなくとも会場への案内地図や交通手段、各方面からの主な乗り継ぎルートとかおおよその所要時間の案内が必要だね。

3:大勢の動員が見込まれるから、駐車場の案内とか、必要であれば「できるだけ公共交通機関を使うようにお願い」「シャトルバスの利用案内」なんかもアピールしないと!

4:会場内のブース配置とかおおまかな順路、それに休憩所やトイレの場所なんかもきちんと案内しないとね。

5:体の不自由な人やお年寄りにとっては、車椅子の進入可否エリアとか優先駐車場の有無、トイレの車椅子対応も知りたいところだね。

6:小さいお子さんや赤ちゃんといっしょの家族連れには、授乳とかおむつ替えのできる場所の有無や、万一迷子になったときの問い合わせ本部が分かってると安心だよね。

7:できればそういう情報はFAQにしておけば分かりやすいですね。

8:地図はどの環境でも表示できるフォーマットで載せておけば事前に印刷して活用しやすいよね。地図サービスとリンクするのもいいね。

9:会場に向かう途中の車や電車の中、会場の入場前とかイベント中に地図を見たい場合もあるでしょ?だから携帯でも見れるような画像形式にしておけば便利じゃないかな。

10:出品される料理は、遠い県の、なじみのない料理が多いから、「この料理は大体こういう内容で、こういう伝統があって…」っていう手短な紹介を添えるとイメージが沸くし、待ってる間の暇つぶしにもなるよね。

11:どうしても出せる料理の数には限りがあるから、そこは最初に断っておいて、ご理解をいただかないといけないね。

12:投票は中間発表なんかもするから、盛り上げるためにサイトにすばやく反映させたいよね…ブログを携帯から更新して見てもらうようにしよう!

13:地図や案内情報は、トップページの、誰でも分かりやすい場所からリンクしておかないとダメだよね。

14:できれば必要な情報をコンパクトにまとめた携帯サイトもあったほうがいいかな?

15:食べ歩くイベントだから、ゴミの捨て方や持ち帰りについてもできるだけご協力をお願いしよう。

こんなところは誰でもすぐ思いつくと思う。

ところが、B−1グランプリの公式サイトを見てみると、これらの半分も満たされていないようだ。

まず、トップページの項目のリンク項目は以下の通り。

・結果発表
・出展料理・出展団体
・B級ご当地グルメとは(10をクリア
・開催のご案内
・第二回開催に至る経緯
・マスコミ・報道関係の皆様へ
・第一回B-1グランプリ(八戸市)の記録
・バナーについて
・お問合せ(メール)

これまで挙げたような項目は、赤太字で示した「開催のご案内」にあるだろう…と、これから会場に行く人や、向かう途中の人はクリックするだろう。
ところがクリックした先がこれ。

・イベント概要(省略)
・ 開催要項
●タイトル/第2回B級ご当地グルメの祭典「B-1グランプリ」in富士宮
 
呼称:ビーワン・グランプリ)

●開催日/平成19年6月2日(土)・3日(日)10:00〜
(1)
 
*各料理がなくなり次第、終了します
(11)
●会場/富士山本宮浅間大社周辺 静岡県富士宮市|地図>|(2?)

●出展者/22団体・グループ〈全国のB級ご当地グルメの推進団体・グループ〉
 
*愛Bリーグに加盟している団体・グループ

●来場者数/10万人(見込み)

●入場方法/入場無料 *各B級ご当地グルメは有料販売(価格は未定) 

●主催/愛Bリーグ・B-1グランプリin富士宮実行委員会

●主管/八戸せんべい汁研究所

●ホームページ
 
愛BリーグB-1グランプリ

・出展団体のエントリー資格(以下省略)
・投票の方法
・審査方法・表彰
・問合せ先

このうち、来場者にとって有用なのは囲みにした「要項」だけなのだが…
正直、非常に内容が薄い。濃い薄いの前に必要な情報がなさすぎる。
一応、前項で挙げた「こんなの思いつくよね」項目に合致するものに赤でナンバーを書いたが…
実に、一般来場者への情報はこれだけなのである。

しかもそこで示された「地図」とは…
コ レ で す よ。
ブラウザで直接見れる地図はコレだけですよ???

普通イベント会場の地図といえば、もっと詳細な周辺地図で、かつ各方面から来る場合に曲がる目印、駐車場場所などを分かりやすく示すもの。
この地図では、会場にたどり着くどころか、神社方面に向かうことすらおぼつかないのでは??

大体、地図が大まかならせめて神社の住所くらいは正確に記すべきだ。番地までの住所が分かれば、地図サイトにそれを入力して道のりを知ることが出来る。
しかし表記は
「静岡県富士宮市」
だけ。
町の名前すら書いていない…

(ちなみに神社の正確な住所は「静岡県富士宮市宮町1-1」である。)

では、もっと親切な地図や、会場内の地図は提供されていないのか?と探してみると…
あります。
あるんです。
トップページの、「マスコミ・報道関係の皆様へ」のリンクから入ればね!!!


普通、この手のイベント案内ページの「マスコミ・報道関係向けページ」は、取材時の注意や規定、申し込み様式や問い合わせなどが書かれており、あまり一般客には関わりのない内容が多いので、普通はほとんど見ることがないだろう。
このページからさらに、「資料のダウンロード」リンクをクリックすれば念願の案内内容や詳細な地図が入手できる。



ファイル形式に詳しくない方のために一応説明しますと、ZIPというのは、ファイルを圧縮し、元来より少ないサイズで扱えるようにしたファイル形式です。
食品の例で言えば「戻すと増える乾燥ワカメ」の乾き状態ようなもんです。
乾燥ワカメを戻すには水が必要なように、ZIPを解いて元のファイルに戻す(俗に「解凍」と申します)ためには、「解凍ソフト」と呼ばれる種類の専用ソフトが必要です。XP以降のWINDOWSには圧縮解凍機能が備わっているので特に特別な準備は要りませんが、一般的な携帯電話ではこの作業はできません(詳しくないので間違っていたらコメント欄でお叱りください…)。

ですから、会場に向かう車中、携帯電話のブラウザ機能で地図のあるページを見ようとしても、ZIPにぶつかった時点でもうどーすることもできないわけです。
乾燥ワカメは、最悪の場合、口にぶちこんでフガフガしてれば唾液でなんとか柔らかくなりますが、データはどうにもなりません。
密室に閉じ込められた状態で、頭上3mの棚の中に部屋のカギがあるのだけども手元には棒もなければハシゴも何にもなくてお手上げの状態といえばいいでしょうか。
手元にノートパソコンでもあってモバイル可能な状況でもない限り、事前にPCでダウンロードして解凍して印刷しておかなければまったく活用できない情報なのです。
また、実際に解凍してみないと、どのような内容のファイルが入っているかは全く分かりません。


イベント案内に必要な地図などのファイルがこんなに分かりづらいところにあり、しかもZIPという扱い。
ここまで来るとなにかのイヤガラセかとしか思えなくなる。


さて、運良く会場に出向く前に、プレス向けページのZIPファイルを探せたと仮定しよう。
この「info.zip」というファイルを展開すると、以下の内容のファイルの入ったフォルダとなる。

<WORDドキュメント>
1:B1GP開催要項0525.doc(サイトの開催要項とほぼ同じ)
2:当日取材案内.doc(取材に関する要項。なぜか駐車場の混雑予想やシャトルバスの利用案内は、一般客向けにはなくてこちらに明記されている)
3:第2回B-1料理紹介.doc(サイト内容とほぼ同じ)
<Excelブック>
4:B-1出展リスト0516.xls(サイト内容とほぼ同じ)
5:第1回B1投票結果.xls(やや詳細な前回投票結果)
<PDF>
6:B1会場図.pdf(詳細な会場内配置図)
<画像ファイル>
7:プレスP案内2.jpg(詳細な会場周辺地図)


…リンク先がZIPの時点で、「あー、どうせファイルもPDFなんだろーなー…」ってのはね、読めたよ。読めましたよ。
処理がクソ重いけど汎用性が高いしブラウザだけで処理できるし、それは想定の範囲内でしたよ…

でもねえ…
こんなにいちいちサイトにある内容を…
しかもWordやらExcelやらの形式で…
(流石にそこまで突っ込むのは可哀相だが、明らかに「全然使えてない人が作った」と丸分かりのお気の毒な内容…表作成やTab揃えはおろか、右揃えもできてないなんて…これをUPして配布するのってやっぱりなにかのイヤガラセなのか…????
大いに脱力したが、話を元に戻そう。

で、この中の
6:B1会場図.pdf

7:プレスP案内2.jpg

こそが、元来
「一般利用者に誰でも分かる場所で」「すぐに見られるフォーマット(できれば携帯でも)で」見やすい場所にUPされていなければならないファイルなのだ。
ここまでしないと会場に行きたい客が地図さえ入手できない。
この時点で相当おかしいのだ。


また、「会場図」もお粗末なものである。
ブースの配置や本部・休憩所・ステージの位置は示してあるものの、どこが出入り口なのかが示されていない。(実際行かれた方の話によると、左側の本部のあるあたりが入り口にして出口らしい。そりゃ動線もヘッタクレもないわ;)
この口から出るとどちら(何の施設・または道路など)側に出るのかが書かれていない。
トイレの位置(もしくは有無、ないのであればどこのトイレを利用すればよいか)の案内が全くない。
当日配布のパンフレットにはある程度情報があったのかもしれないが、「入場案内もお粗末で、パンフレットをもらえていない人も多くいた」という情報もあったようで…

まあ、このお粗末なファイルのお粗末さを実際に見たい方はダウンロードして解凍してみれば一目瞭然である。(ちなみに、妙なウィルスなどは仕込まれていない模様なのでそこは大丈夫)

こんなお粗末な地図や会場図でも、ないよりはマシ。
少なくともさっきのこの地図よりはずっとマシのはずだ。

これらが「プレス向け」のページにはあって、一般案内にはリンクすらない。
私のような意地の悪い人間は、ついこう考えてしまう。
「なーるほど、運営事務局にとっての『お客様』は、マスコミやプレス関係の取材陣であって、一般の来場者ではないんですね?」
と。

サイトだけでなく、実際の会場でも同様の違和感がところどころで漂っていたらしい。

「mark room」より「運営がC級、B1グランプリ」から引用

 そして、少し進むと、食べ物のサンプルが。
 これは、ブログの写真にちょうどいいと思って、写真を撮ろうとしたら、一枚の張り紙。
 そこには、「報道用。一般の方はご遠慮ください」とのこと。

 一般の人で、ブログやホームページをもつ人を無視したこの対応に、かなり怒りを覚えました。
 (これが、今回写真の無い、大きな理由の一つです!)


数十分、ヘタすると数時間並んでようやく軽食1つ食べられるかどうか、自分が並んでいる屋台すら見えないような状況。
姿が拝めなさそうな、または既に販売が終わった料理の写真ぐらい自由に撮影しても、運営や出場団体側に何のデメリットがあるというのだろう?
「ヘタな写真を載せられるとマズそうに見えてしまいイメージダウン」とでも考えているのだろうか?だとしたら、「B級」と銘打って気どらないイメージで人を集めているのに、何を気どってるの???と言いたくなる。

また、公式ブログの削除されたコメントの中には、
「狭い会場、ただでさえ少ないテーブル席を、カメラを持っているマスコミが占領していて座れなかった」

という不満の声もあった。



以下に紹介するのは、このB−1グランプリを取り仕切った本部、その発起人のブログである。
ここは八戸の団体である。
B−1グランプリはもともと、八戸せんべい汁を通じて八戸を町おこししようというコンセプトが元になり、「食を通じて地域おこしに取り組む日本各地の団体と横のつながりを持ち、競い合いそれぞれの知名度を高める中で、八戸の活力を得ていこう」ということで発足したらしい。

そのブログで、B−1グランプリ第2回に出発する前日に、第1回大会を振り返るという趣向のもと、一連の文章がアップされていた。

富士宮へ出発前日!第1回B−1グランプリを振り返る(5) (まちづくりシンクタンク)

B−1グランプリ成功がもたらしたもの

翌朝、八戸せんべい汁研究所のメーリングリストでは、まるで選挙速報のようにリアルタイムでメールが飛び交っていた。日経新聞からスポーツ新聞にいたる中央各紙に・・・、民放全局が朝の情報番組で・・・、ヤフーのトップページに写真付で・・・その反響の大きさに、まだ疲労感から抜け切れていないメンバーたちは唖然とした。

しかし、我々をさらに喜ばせたのは、新聞記事の文中には全て「八戸せんべい汁研究所が主催」の文字が記され、またテレビ番組の中では、みのもんたが「この八戸せんべい汁ってどんな料理だろう?食べてみたいな〜」と言ってくれたことだった。そう、我々にとってのB−1グランプリとは、八戸せんべい汁を全国ブランド化するための手段であったのだから。

そして忘れてならないことがもう一つある。B−1グランプリが続く限り、「B−1グランプリ発祥の地・青森県八戸市」の名は永遠に刻まれていくのだ。まさに、八戸せんべい汁という食が地域おこしになったのである。

B−1グランプリの未来

しかし、重要なのはその後であることは誰の目にも明らかであった。終了後の打ち上げでも、また後日開催された反省会でも、話題はこれからどうするのかということであった。第1回大会が終わって、第2回大会を明後日に控える今日においても、その問題に対する具体的な方向性は示されていない。

しかし、私は明日の愛Bリーグ役員会に一つの提案を持って臨む。ここでは申し上げられないが、「201X年東京ドーム開催」「201X年ローマでの世界大会開催」を実現させるため、そしてB−1グランプリが全国ブランド化を目指すB級ご当地グルメにとって真のインキュベータとしての役割を担える存在とするための具体的な方策を提示するつもりだ。


引用の太字部分について、批判する意図は特にない。
耳目を集める価値のあるイベントコンセプトだし、実際、「せんべい汁」の名はここ1年で急速によくメディアに登場するようになり、アピールも成功していると思う。
しかし、一連の文章を読むと、「知名度獲得」「マスコミ効果万々歳」が前面に押しだされすぎているような、「TVに来てもらって有名になったよ!」と喜んでいるだけ…という印象も強く受ける。
また、第4回の文章と今回の大会の評価を合わせてかんがみるに、とても「前回の反省が生かされた」とは言いがたいようだ。(むしろ屋内で気候や土煙に悩まされなかった分だけ八戸会場がマシだったのではないかとすら思える)

「東京ドーム大会」「ローマ大会」と夢を広げるのは結構だが、その前に一つ一つの大会運営や、広報活動の中身について地に足の付いた反省と改善が必要なのではないだろうか。

1回目の反省と2回目のシビアな評価を考え合わせると、まるで運営が準備期間中に励んだのは「マスコミアピール」のみだったかのようにすら感じられる。
彼らにとって目的は「マスコミへの大会や各地域・料理のアピール」であって、客は「賑わっている雰囲気を演出し、マスコミのカメラやWebの記事・写真に『成功』の記録を残すためのエキストラ」でしかなかったのではないか。
極端な見方かもしれないが、公式サイトの、文字通りの「不案内」ぶり、マスコミだけに基本情報を渡してそれでよしとする明らさま過ぎる傾斜姿勢からは、そんな匂いが漂ってきてしまう。

これだけは断言できる。B−1グランプリの公式サイトは、「イベントサイトとして、これだけはやっちゃいけない」ことの見本市のようなサイトである。
普通なかなかここまでのダメ要素が揃うことはあまりないので、何かを狙っているんじゃないかとすら思えてくるほどだ。
このサイトがいつまで存続するかは定かではないが、これからイベントや祭りなどの案内サイトを作る機会がある方は、是非「悪い見本」として参考にするべきだろう。
といって、難しいことは何もない。
CGIやフラッシュ、動画や美麗な写真もいらないし、テクニックも必要ない。
「自分が一般客だったら…」というベーシックな「客の身になる」視点さえあれば、こんなサイトにはなるはずがないからだ。

最近は何のイベントでも、「公式サイト作りました」「スタッフブログ始めました!」と形だけ整えて自己満足に終わってしまうケースがあるのだが、ナメた気持ちでいると、「何を大事にして誰をないがしろにしているか」がすぐに透けて見えてしまう。設置や更新は簡単だが、意外に怖いものだということを再認識すべきではないだろうか。


posted by 大道寺零(管理人) at 10:16 | Comment(2) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
報道用のサンプル、私は撮影しました。
ttp://blog5.fc2.com/r/relakuma/file/20070602_B08.jpg
画像を見てお分かりの通り、上の木から落ちてきた実などのゴミだらけ。
アップで1品ずつ撮影できる状態ではなかったので引きでおさめたので貼り紙に気づきませんでした。
想像ですが風でめくれてしまった手前中央の紙に書かれていたんでしょうね。
Posted by クマ at 2007年06月05日 17:14
>>クマさん

貴重なお写真ありがとうございます!
確かに「報道撮影用」と書いてありますね。これだけゴミが入っていたら「食べられません」と書くまでもないような…勿体つける割にはほんと、「置きっぱなし」なんですね…
写真を見ても、けっこう風があるのが分かります。これはたしかに砂埃がきつかったことでしょうね〜。
Posted by 大道寺零 at 2007年06月06日 10:08
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