このゲーム、以前購入した「謎のゲーム魔境4 DECO&ビック東海編」で知って以来、一度は「ゴルゴの歌」を聞いてみたいと思い、そして長年忘れていたのだが、鳥酋長さんBlogの、「ドラクエ3フィールドの曲に歌詞乗っけた歌」の話を読んで唐突に思い出したのだった。
このゲーム、その微妙な構成と味付けにより、プレイした人には忘れられないインパクトを与えたらしく、検索するとけっこうな勢いで紹介記事がHITする。
書籍を参考にしてツボをまとめてみるとこんな感じだ。
・アドベンチャーフェイズとアクションフェイズでゲームが進行していく。途中スナイプモードに移行したりと盛りだくさんなのだが、悲しいことにどのモードもしょぼい。
・横スクロールの画面をゴルゴが歩いて移動するのだが、途中で敵や謎のバイクメンなどに襲われるので、それをジャンプ(飛び蹴りのようなアクション)でかわしたりハンドガンで攻撃しながら進んでいく。スナイパーというよりただのガンマン。
・さいとうプロ側から、ゴルゴのキャラクターを崩さないため
「ゴルゴは常に背広着用」
「ポケットに手を入れて渋く決めていること」
という条件が付いたため、ポケットに手を突っ込んだまま水平移動しつつジャンプしたりキックで敵をかわしたり、正面からハンドガンを撃ち込んで敵を倒すゴルゴという絵図がシュール。というか何のゲームやってるんだかわからなくなる。
ちなみにお達しを忠実に守っているため、極寒地であってもスーツ姿だったりする。

タイトル画面。右下の「第1回」の表示がコミックっぽい雰囲気を出しているが、この数字の意味はすぐに分かる。
敵にやられてゲームオーバー。
通常のゲームなら、「game over」「コンティニューしますか?」と聞いて来るところである。
しかしゴルゴは不死身にして絶対不敗、侵すべからざる
たかがザコに負けて死んだり、ミッションに失敗することなどあってはならないのだ。
よってこのゲームでは
黒画面に白文字で小さく「つづく」
と表示された後に「次回予告 ご期待ください」という画面が出て、

しかるのちに

「第1章 神々の黄昏 第2回」
そう、「第*回」の表示はコンティニュー(しかも強制)回数を表していたのだ。
ゴルゴ様を操るにあたって、「ミッション失敗」「進めないからやめた」などということは許されない。
コミックでのゴルゴ様の完璧さに到達できるまで操作錬度を高め、最後まで完璧ノーミスで作戦を完遂しなければならない。
「コンティニューをするかしないか」?
そんなことを聞かれるわけがない。
選択の自由など最初からないからだ。中断・放棄という選択肢は存在していない。
カセットを挿し、電源を入れた段階で、後戻りの許されない「ゴルゴ行」は既に始まっていたのだ。
そうは言うけど、ゴルゴだって少しは休みたいぜ!
そんな時に取れる手段が一つだけある。
ポーズボタンを押すことだ。
ボタンを押してポーズをかけると、タイトル画面に出てきたのと同じ静止画像になり、音楽が流れる。そして静止画面のゴルゴの下に文字スーパーが流れる。

「けもの 狙う 非じょうの さが」
えぇぇ、コレ歌だったのか!!
えぇぇ、コレ歌だったのか!!
これはアレか、「ゴルゴが歌っている」というシチュエーションなのか。歌詞も一人称だし。
ゴルゴのエロいかつい顔とずっとご対面し、飛ばされるガンから逃れられぬままに歌詞が流れていく様は、さながらゴルゴリサイタル。
このムーディーなメロディーに昭和40年代な歌詞。
これを歌いこなせるのは絶対に天知茂とゴルゴだけ!
その歌詞が時折ひらがな交じりで表示されていくシュールさ。
「アーマライトが…」
(サビのメロディが微妙に歌いづらいなあ)とか思いつつようやく歌が終わるのだが
「いきを ころす 非じょうの ワナ」
2番あるのかよ!!
(注:ムービーでは2番の入りでカットされてますが、本当は3番まであります)
情報を集めつつゲームが進んでいくと、今度はヘリコプターで空中戦とかがおっ始まる。

もう何のゲームしてるんだかほんとにわからん。
で、ゴルゴといえば外せないのが、誰でもご存知「女性連絡員との挨拶代わりのナニ」。
女性は例外なく一回寝ただけでゴルゴの虜になり、ゴルゴはゴルゴで楽しくもなんともなさそうな仏頂面だけどしっかり下半身でも情報収集、括約筋で国籍までも見抜いてしまうプロフェッショナルぶりを遺憾なく発揮するフェイズである。
ファミコンなどの家庭用ゲーム機は、そういうアダルト系の表現について、時に過剰といえるほどの規制をかけている(乳首を見せちゃダメとか)のだが、このゲームはきっちりと「ベッドのフェイズ」を入れている。その意味ではかなり正しくゴルゴゲームしていると言えるだろう。
ホテルの一室。
情報提供者の男性が敵に殺されたことを女性連絡員「チェリー」に告げるゴルゴ。
チェリーは死んだ連絡員のことなどどうでもよさげで、既に発情が始まってなんだかオギオギしている。
「いま うごくのは きけんよ
てきとの たたかいはまだ はじまったばかり」
「こんやは あなたと ふたりで
おもいでの よる を
すごして みたいわ。。。」
キタキター!!
「今動くのは危険」とか、どう見ても苦しい言い訳です
本当にありがとうございました。


「ふたりだけの セレモニー
おとなは そのまま よ
こどもは Bボタンを おしてね」
ここでおとなしくBを押すガキなどいるわけはない!
…で、数秒見ていると

ドバっと丸裸!

「ベルリンの よる に
てつの カーテン は
ふさわしく ないもの。。。」
すいません全然おっしゃる意味が分かりません!
でもまあ、原作もこんなと言えばこんなやり取りばっかりだが。
そして引きでホテルの窓。
ゴルゴに抱きつくチェリーのシルエット、そしてライトが徐々に暗く…(カーテンとか引けよアンタら)

これが噂のファミコン史上に残るベッドシーンか…
(左上にゴルゴのライフポイントと残弾数の表示があるのだが、これが微妙に減ったら神ゲームと思ったのは私だけではあるまい…)
そんなゲームのダイジェスト動画がこちら(YouTube)。お楽しみください。
ついでに「ゴルゴソング」の歌詞も置いときますね。
(表記はゲーム内のものそのまま)
けもの 狙う 非じょうの さが
奴らを やるのは
だれの だれの ためでも ない
牙を むいて いのち 光る
奴らに ささげる
くろく あかい 死の レクイエム
オレを しんじる 奴が いる
オレの 狙う マトが ある
オレの しんじる ジュウが ある
アーマライト が。。。
いきを ころす 非じょうの ワナ
しじまを かきけす
奴の 奴の みけん とらえ
かぜを まとい やみに 光る
奴らを とむらう
くろく あかい 死の レクイエム
オレを しんじる 奴が いる
オレの 狙う マトが ある
オレの しんじる ジュウが ある
アーマライト が。。。
神に いどむ 非じょうの さが
せいぎの ためでも
平和 ねがう ためでも ない
丘に きざむ 十字 光る
あくま も ふるえる
くろく あかい 死の レクイエム
オレを しんじる 奴が いる
オレの 狙う マトが ある
オレの しんじる ジュウが ある
アーマライト が。。。
「死のレクイエム」って、ちょっと考えてみればすごく当たり前だよね…
「ゴルゴソング」は「かいじん21面相」作詞かと思われる、気色のよい表記であります。あるいは、ある種の投書ですとか、妙なものを色々思い出してしまいましたワイ。
「2」は「1」の反省(?)か、小綺麗で没個性なものになっちゃったのが残念です・・・。
> 「ゴルゴソング」は「かいじん21面相」作詞かと思われる、気色のよい表記であります。
これも懐かしいですね〜。
このゲームに限らず、昔の家庭用ゲーム機はあまり漢字を使えないために、肝心の部分がひらがな交じりになってムードが削がれることが多かったですね。今となればそれも味なのですが。
ゴルゴのゲームなんだから「銃」くらい漢字で書いて欲しいものですが、ドットも粗いので「つぶれない」というのも大事だったのでしょうね。
>>きたかさん
>マニュアルに「カラオケを歌って気分を高めましょう」みたいなことが書いてあったですよー。
そうだったんですか!あれはなりきりのためのツールだったんですね。ゴルゴがリサイタルを始めちゃうかどうかは別として…
>「2」は「1」の反省(?)か、小綺麗で没個性なものになっちゃったのが残念です・・・。
このゲームをプレイされた方は皆さんそう仰いますね。
当時のスタッフの談話によれば、1と違って2は外注だったそうです。でも一応オープニングでしっかりこのゴルゴソングは流れているみたいですが…
みんなポーズボタンを押して、「ゴルゴが歌わない!」とショックだったんでしょうねえ。