あまり再放送される機会に恵まれず、タツノコ作品の中でも知名度が低いこの作品は、わりと当時コアな人気があったのだが20話で打ち切られてしまった。その陰に、ある漫画家からデザイン盗用の訴訟を起こされたことが関わっていたという事実を最近知った。
●ドテラマン OP(YouTube)
タイトルからお察しだろうが、何しろカッコいいの悪いのという話ではない。
何しろ主人公のヒーローコスチュームが
ドテラ+ドンブリ+ゲタ
である。
主題歌に「(ドテラに)袖通し」という歌詞が入っている曲もそうそうないだろう。
絵柄はポップな低等身で見るからに子供向けなのだが、OPをご覧いただくと、20年前の作品にしてはけっこう動いているし、全体にスタッフのいい意味での悪乗り(変な表現だが)が溢れていて、当時高校生だった私が見ても十分に楽しめる内容だった。
この作品をめぐる訴訟とは、漫画家の勝川克志氏が起こしたもの。
この人も芸歴が長い割には知名度がさほどではないので知らない人も多いかと思う。
2〜3等身の可愛いキャラを用いたややレトロな作風が特徴(「まぼろしまぼちゃん」「まぼちゃん旅行記」が一番知られているか)である。
この勝川氏が、「『ドテラマン』のキャラクターデザイン(九里洋二氏によるもの)が自分のキャラ絵に酷似している」と訴えた。
勝川氏とタツノコプロは全く無関係だったわけではなく、「ドテラマン」以前に、勝川氏をキャラデザに迎えての作品が企画されていたが結局お蔵入り。
その幻の企画の版権が切れて間もなく「ドテラマン」の放送が始まり、「なんじゃこりゃ!」となったのがきっかけだという。
勝川氏の作品・絵柄については氏の公式サイトを見ていただければ大体分かる。
で、これが「ドテラマン」の静止画。


うーん、似てないとまでは言えないが、顔の中の目の割合・バランスなどから見ても「酷似」と呼ぶのはどうかと思うのだが…
黒目の形が「一部三角に欠けた丸型(パックマンみたいな形)」というのも、古くはアメコミ(原初のミッキーマウスとか)や昔の手塚作品などもよく使っているし。
そもそも勝川氏の絵柄もかなり杉浦茂を思い起こさせるところもあるし、これはこれで「杉浦系DNAの絵柄」ということで一般化して扱ってよいもののように思う。
(参考:杉浦茂ファンページ「杉浦茂の世界」)
勿論こちらに「ドテラマンが好きだった」という贔屓目はあるのだけど…
で、裁判自体はタツノコプロが勝ち、勝川氏の訴えは退けられる形となった。
しかし、番組は結局打ち切り(裁判でアヤがついたせいとも、スポンサーが訴訟という成り行きを嫌って降りたからとも言われている)となり、現在に至るまでDVD化はされていない。
(一部で「放送禁止」とも言われているがコレは誤りで、数年前もAT-Xで再放送が行われている。)
また、この裁判費用とアイジータツノコ(後のプロダクションI.G.)設立時の出資金が、当時スタッフ流出と独立にあえいでいたタツノコプロの経営に決定的な打撃を与えたとも言われているそうな。(注:アイジーへの出資金は後に全額返還されている)
タツノコでも1.2を争うこのノーテンキな番組の裏にこんな事情があったとは…知っている人にとっては今更というほど有名な話なのだろうが少なからずびっくり。
メインライターは小山高生なんだけど、井上敏樹もちょっとだけ書いてます。
ドテラマンを詳しく知りたい方は、ファンサイト「ドテラマックス」がおすすめ。