テレビ版「男はつらいよ」の最終話、寅さんはハブで一山当てようと目論み奄美大島へ上陸。山中でハブを捕まえようとするが、逆に腕を咬まれ絶命してしまうのである。この放送の終了直後、視聴者から「何で寅さんを殺すんだ」という講義が殺到したという。
(本文52Pより)
「男はつらいよ」がそもそもTVドラマであったということもはじめて知ったが、まさかそんな死に方で話が終わるとは…
<TV版「男はつらいよ」について>
・放映:1968年10月3日〜1969年3月27日(フジテレビ)
・現存するフィルムは初回と最終回のみ(渥美清の逝去後ビデオ化、後にCSなどでも放映されたことがある)。
<主なキャスト(映画シリーズとの大きな相違はやはりさくらだろう。)>
* 車寅次郎:渥美清
* さくら(櫻):長山藍子
* 車竜造(おいちゃん):森川信
* 車つね(おばちゃん):杉山とく子
* 雄二郎(※自称・寅の実弟。タネ違いの弟。):佐藤蛾次郎
* 諏訪博士、(医師):井川比佐志
* 坪内散歩(英語の先生、寅の恩師):東野英治郎
* 坪内冬子(マドンナ・寅とさくらの幼馴染):佐藤オリヱ
* さくらの恋人、鎌倉ミチオ:横内正
* 冬子の恋人:加藤剛
* 川又登(寅の舎弟でとらやの従業員):津坂匡章
で、衝撃のラストはこんな感じだったらしい。
・時代の流れには勝てず、「とらや」は、だんご屋から喫茶店に商売を変える。
・寅さんは結局真人間を目指しつつもうまくいかなかった自分の人生について深く考え、皆に気付かれぬよう家を出てしまう。
・ハブで一山当てるべく奄美大島へ
・いつもと同じ、シャツにズボンに雪駄という軽装、しかも棒でハブを突っつきまくるというあまりにもチャレンジャーな行為の末、当然咬まれるべくしてハブに噛まれて死亡。
・奄美で知り合った人づてに、おいちゃんに訃報が届く。
・さくらは訃報を信じようとしないが、夢枕に立った寅さんから別れの言葉を聞き、ようやくその死を実感する。
お兄ちゃん…いくら俺がいたんじゃ妹がお嫁に行けぬからといって…そんな唐突な死に方しなくても…orz
で、当時の視聴者にも、それまで半年間人情コメディを見せられた挙句にこのオチをお見舞いされたのは相当ショックだったらしく、放送と同時に抗議の電話が局に殺到。その騒動が結果的に映画化企画の採用につながり、あの遠大なシリーズに発展したのだから結果オーライというかなんというか。
今見れば「ハブで死ぬってラストはどうなのよ」と思ってしまうが、それがなければ「佳作ドラマ」という評価だけで小奇麗に終わり、国民的大シリーズになることもなかった可能性も高い。
以降、wikipediaの「男はつらいよ」項目から拾ったアラカルトをいくつか。
・TVドラマ企画初期段階のタイトルは「愚兄賢妹」だったが、紆余曲折あって「男はつらいよ」に決定。
・渥美清没後10年の命日を記念して掲載された2006年8月4日の北日本新聞のコラム「天地人」によると、山田洋次監督は寅さんの最期を決めていたという。晩年は幼稚園の用務員になり、子供達と遊んでいるうちに死に、町の人が思い出のために地蔵を作るというもので、最後のマドンナには黒柳徹子を考えていたらしい。
・映画の公開が毎年の恒例であったことから、「寅さん」は冬の季語にもなっている。(2007年1月8日放送芸能人雑学王決定戦より)