2007年08月02日

ヒゲがあるんじゃお嫁に行けぬ日記

<業務連絡>
薮内笹子さま

本エントリーのタイトルでご気分を害することがありましたら申し訳ありません。




書くのが遅くなってしまったが、先週放映分の「電脳コイル」12話『ダイチ発毛ス』が異様に面白かった。
話自体は、ストーリー全体の流れとか謎にはあまり絡まない単発的なエピソードなのだが、見ていて「今、歴史に残るエピソードに立ち会っている!」という実感がガンガン沸いてきた。

「電脳コイル」の主要登場人物は小学6年生という設定。第二次性徴の始まる水色時代真っ盛りということで、特に女子キャラの「あの年代特有の微妙な凹凸や体型(実際はもっと成熟しちゃってる子も多いけど)」を見事に描いているなあと日々思っていた。
で、タイトルからして
「生えてきちゃったダイチ君の戸惑いやら甘酸っぱい気持ちとフミエを絡めつつの「水色」テイストを匂わせつつのドタバタかな?」
と予想していたら、相当裏切られた。いい意味で。



ここ数回の展開の中で、「大黒黒客」リーダーの座をイサコに分捕られて追われ、前回ではコイル探偵局に大いに借りを作った挙句にフミエに土下座までさせられて踏んだり蹴ったりのダイチ。
イサコやフミエを見返すために、イリーガルを探してキラバグゲットを目指す毎日だった。
行動をともにしてくれるのはデンパ(この子ってホントに人間できてるよなあ)一人。そしてなぜか彼につきまとってくるヤサコの妹・キョウコ。
お目当てのメタバグやイリーガルは見つからず、結果的にはキョウコの子守と家までの送り届けまでやる羽目に。

家では父親が風呂上りに全裸で闊歩してビールをひっかけご満悦。思春期のダイチは八つ当たり的に苦言を盛らすものの、
「全裸でいられなくて何が家庭だ!全裸こそ家庭、家庭こそ全裸!」
と豪快に笑い飛ばすダイチ父(CV:郷里大輔)。

#…あれっ?何だろうこの既死感は??
#同じような古稀が、我が家にもいるような……???

さらに話題の矛先はダイチにブーメラン。
「大体まだ毛も生えてねえやつが生意気なこと言いやがって。俺がお前の頃にはなぁ、ボッサボサだったぞ、ボッサボサ!ぐぁっはっはっは」
その父の股間は当然ボッサボサなので、全裸で通り過ぎる瞬間画面にはモザイクがかかっている。色々な意味でNHK教育の「心に冒険を」という精神を感じた一瞬。

最初、「こういうブツは、電脳メガネの未成年保護機能で自動的にモザイクがかかるのかな?」と思っていたのだが、今見直すとこの場面ではダイチは電脳メガネをかけていない。のでこの仮説は正しくなく、「単に地上波放映の際の配慮(という名のスタッフの冗談)」なのだろう。
最近放映されているアニメでは、「地上波放映時にはパンツやら乳首やらが見えていないが、DVDやCS放映では見せる」のを売りにした商売が(一部のマンガでも)頻繁に行われているが、この話もDVDになった時に「あのシーンをDVDエディションに書き直し!」になったりしたら笑える。誰かが喜ぶ気がしないけど。

で、「お前の頃にはボッサボサ」を真に受けたダイチは、やはりお年頃。気になってしまい、風呂に入るたびに脱衣所でアソコをしみじみと眺めて発毛チェックしてはガッカリする毎日だったのだが…

ダイチから「ボッサボサ…」という謎の電話があって以来、誰も彼の姿を外で見なくなること数日。

中間登校日、デンパは異様にやつれたダイチの姿に驚く。
しかし電脳メガネを装着してもういちどダイチを見た時の驚きようは最初の比ではなかった。
メガネを通して見えるダイチの顔は、下半分が無精ヒゲでボッサボサだったのだ。

早速ダイチをメガばあに見せ、特製の拡大モニターを使ってチェックしたところ、ヒゲに見えているのは1本1本が独立したイリーガルであり、しかもそれぞれ意思もあれば言葉も話す知的な生命体だという。
ダイチ一人の身のことかと思いきや、その場に現れたキョウコまでもヒゲぼうぼうだった。
実は数日前に眠ったままダイチに送られた際、寝ぼけて彼にディープキスをかましてしまったことがあり、その際に接触感染したのだろうと判断。
…したときには、すでにヤサコの指先・さらにデンスケにまでもヒゲが生え、空気中を介しても感染することが分かった。

次のカットでは、既にりっぱな無精ヒゲが生えまくったヤサコの姿。泣き叫ぶ彼女。
「もうお嫁に行けない〜!」
すごい説得力だ…!

というか「ヒゲのOL」を除き、「主人公の可愛い女の子(しかも小学生)がヒゲ面(しかもわりとリアル)になる」という場面はアニメの歴史を紐解いても前代未聞だろう。
同じ部屋にいたフミエ・ハラケン・デンパもボサボサ、メガばあにいたってはフッサフサ(そして違和感が全然ない)という状況に。
電脳メガネを外せば見えないヒゲとはいえ、ショックが隠せない面々。

早速メガばあがワクチンを完成…と思いきや、なぜか作ったのはお灸型の翻訳機。ひげの生えている部分に置くと、その部分のモニタリングだけでなく、彼らの話す内容までも文字として読めるというものだった。これで見る限り、ヒゲたちは集落を作り、リアルタイムで文明が(顔面で)発達していることがわかった。
そうこうしているうちにも感染は大黒市全体に広がり、メガネをかけて見れば老若男女がみなヒゲ面。しかもヒゲはイリーガルなので、サッチーに見つかれば顔面データごと強制削除されてしまうという「恐怖の街」状態になってしまった。

メガばあがワクチンを完成させるまでの間やることもなく、ヒゲの様子をモニタリングするヤサコ。だがインターフェース画面を見ているうちに彼らの様子が面白くなってくるのだった。

翻訳機のおかげで、チャットウィンドウ内で彼らの会話を読むことが出来るだけでなく、こちらからの入力ウィンドウも用意されている。
交差点でヒゲたちの馬車と馬車がぶつかりそうになるところに思わず声をかけて助けるヤサコ。
ヒゲたちにヤサコの姿は見えないのだが、こちらの入力は通じるらしい。
その後も、火山の噴火を知らせて彼らの危機を救うヤサコ。彼女の声は「天の声」として感謝される。彼女はこのコミュニケーションに感動し、愛着を持って見守るようになる。
ほどなくヤサコは神として崇められ、その「お告げ」に従い、ヒゲ文明は高度に発展していく。
コレを見ていたフミエやダイチも面白がり、同じツールを使って自分の顔のヒゲ文明を発達させることにハマっていく。ゲームで言えばまさに「ポピュラス」のノリなのだろう。

しかし文明の行き着く先はお定まりのコース。ヤサコの顔面のヒゲ文明では、国同士で戦争が始まってしまう。
「ヤサコは神様なのに、やめさせられないの?」
と言うハラケンに対し、
「それが…さっきから呼びかけているんだけど、どこかの哲学者が『ヤサコは死んだ!』って言い出してからは、全然私の言うことを聞いてくれないのよ!」
と狼狽するヤサコのセリフにマジ噴きした。
ヒゲ文明にもニーチェがいたのか!いよいよ対象年齢層のわからんアニメだなぁもう(喜)。
あれよあれよという間に戦争は核戦争へと発展。宇宙開発レベルにまで発展した文明は完全に方向性を誤りつつあった。
ヤサコのヒゲ面の表面に上がる小さなキノコ雲。
なんだこのアニメ。

さらに戦争はエスカレートし、同じ星(顔面)では飽き足らず、そのミサイルの向く先はついに異星(他人の顔面)へ。ヤサコんちの部屋の中で繰り広げられる星間(顔面)戦争。顔から顔へ飛び、炸裂する核ミサイル。

急激に発展するヒゲたちの闘争本能のもとに、顔面(データ)崩壊かと思いきや、ヒゲたちは戦いで失ったものの大きさを悟り、争いをやめ、ヤサコに示された新天地を目指して旅立つ。
ヤサコたちは彼らの残したメッセージを読み、「文明とは?」「進歩とは?」「生き物はなぜ戦うのか?虚しい戦争の行き着く先は?」についてなんだか分かったような分からんような感慨を抱くのだった…
って、本当になんなんだこのアニメ(褒め言葉)。
いやー久々に腹の底から笑った回でした。

ヤボだけど気になったのは

・ヒゲたちはなぜ顔の上半分には侵食しなかったんだろうか
・いかにミニとはいえ、核兵器炸裂しちゃって大丈夫なのか…って、データ上のことだから人体には影響ないのか。どちらかというと変な連中からの抗議のほうが怖いかもねえ。そういう意味ではよくこのシナリオを通したもんだと感心する。
・イサコ様のヒゲ面とリアクションが見たかった


posted by 大道寺零(管理人) at 15:45 | Comment(2) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
いやー。混沌とした凄まじい回でしたね。
「心に冒険を」に爆笑しました。

ダイチチのモザイクは、メガネの影響じゃなかったんですね!
「全裸こそ家庭! 家庭こそ全裸!」は名言です。
DVDエディションでの書き直し、希望する方向で。ええ。

この内容にPTAが怒り出したら、「反戦アニメです!」と言えますし、よく出来てますね。
通るのか? その主張…。

Posted by カゼ at 2007年08月02日 20:23
>>カゼさん

>DVDエディションでの書き直し、希望する方向で。ええ。

それでも磯監督なら何とかしちゃいそうで怖いですね(ないない;)。

>この内容にPTAが怒り出したら、「反戦アニメです!」と言えますし、よく出来てますね。

ハラケンのセリフに秀逸なものが多かったですね。
「戦争って本当に空しいんだね…残るのはプライドだけだ…」とか。
「8月的なテーマ」をコイルでやると「ヒゲ」になるってことですね。こう書くといよいよ訳がわかんないんですけども。
Posted by 大道寺零 at 2007年08月03日 01:41
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