2007年10月12日

新聞勧誘来なくて困る人は手を挙げて日記

先日、産経の「ネットニュースをタダ見するなら新聞買え」という記事について書いたエントリーの中で、「紙媒体としての新聞の製作・流通・販促コストと収入の概算を見たい」ということを書いたのだけど、まさに同問題について書いてくれていた記事を見つけたので引用&ご紹介。

山口揚平の時事日想:新聞崩壊――メディア企業が生き残るために必要な方法とは?(Business Media 誠)

 業界再編が行われるとき、通常、真っ先に着手するのがコスト削減である。新聞事業のコストの多くを占めているのが、販売店への支払いである。新聞社が宅配から上げている年間販売収入は約1兆7500億円で、ここから販売店に対し、配達料6500億円拡張補助金1500億円、合計8000億円が支払われる。つまり新聞の販売経費は、売上の40%〜50%に達するということだ。これは非常に大きなコストである。

 10月1日、朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞の3社は共同記者会見を行い、新聞販売の業務提携を発表した(10月1日の記事参照)。すでに3社は販売店統合へ向けて動いているという。これまで、拡販や集金を担っていた販売店の発言力はきわめて強かったが、いよいよその「聖域」にメスを入れざるをえなくなってきたのだ。


配達料はともかく、「拡張補助」の何に1500億(合計額8000億に対し18.75%の割合を占める)も払ってるんだ?というのがまず驚きなのだが…

私のこれまでの「ヒキ」が悪かっただけかもしれないが、これまでうちに来た新聞拡張員は、例外なく

・変に馴れ馴れしい口の利き方、強引で頭の悪いチンピラ系。年齢は若いのから初老までさまざま。

・3mと離れていないのに、どこの新聞かすら聞こえないほど小声でモゴモゴと話す、いかにも気が弱くて社会性に欠如していそうなダメ内気系。Mrオクレをさらに2段階ほど貧相にしたようなおっちゃん多し。

の2タイプのいずれかだった。

特に前者チンピラ系で絶対許せないのが、まだ新婚生活を始めて間もないアパート二人暮し時代(なお、新聞は既に1紙購読中)、とりあえずは20代だった私に向かって、開口一番
「あーお母さんさあ、これ、キティちゃんのタオル置いていくから、読売新聞とってよ」
と言いやがった奴!
「奥さん」ならまだしも(それだって独身者だったらえらい失礼なんだが)「お母さん」。商店街の調子いい八百屋や魚屋のおっさんならまだ許すが。
お前は本当に「人に物を買ってもらおう」という気があるのかと。
「お嬢さん」と言われてたらもっと「バカにすんな」と頭に来てたけども。つーか何がキティちゃんじゃボケ。
私はこれ以来
もう絶対一生読売だけはとらん!例え何かのっぴきならない事情で聖教新聞を購読する羽目になったとしても(想像もつかないが)、読売だけは!(昔実家ではとってたけどね…)」
と心に決めている。
(ちなみに当時の表札は、苗字のみをローマ字表記したものを使っていたので、事前情報がなければ既婚未婚の別や家族構成は所見の相手にはわからないはず。そして事前情報があったのならば二人暮し夫婦だと分かっていたはずなんだが…)
DQN勧誘や、押し売りまがいの拡張団の迷惑行為にあって、「○○新聞だけは絶対ヤダ!」「二度ととらない!」と決意を固めた話は身の回りでもけっこう聞くもので、どう考えても「勧誘・拡張活動はしないほうがマシ」なのでは?と思えるのだけど…

そもそも、拡張員は必要なんだろうか?
今の世の中、かなりの高齢の人であっても、「買いたい物や興味のわいたサービスがあれば、こちらから申し込んだり問い合わせる」という人がほとんどではないだろうか。
紙の新聞を「なんだかんだいってもやっぱり新聞でないとね」とありがたがる人は、とっくの昔に購読している。いまだ庶民の実質景気の上がらない世の中、月数千円を払ってもう1紙増やすという世帯は稀だろう。
「複数誌を読み比べたい」という人こそ、ネットニュースを利用しているからやっぱり「もう1紙」ニーズはきわめて低い。
そして若年層・学生や一人暮らし世帯はそれこそ「ネットとTVのニュースで事足りている」し、既存マスコミに批判的な人間の多い世代でもあるのでやっぱり拡張活動はほとんど意味を成さないだろう。
そもそも、「興味のある事件が起こったときだけコンビニや駅で新聞を買う」というアラカルトな購読方法だってある。
今や大して客が釣れそうもない洗剤やらタオルやら金券・チケットやらを持って各戸を回り、「しつこい」「二度と来るな」「変な景品つけるなら購読料安くすれば」というネガティブ感情しかもたらさない行動に、果たして意味はあるのだろうか?
そしてその活動に1800億って一体…

この記事末に紹介するサイトによれば、「拡材(洗剤など)の費用は販売店と新聞社が折半」するのが一般的らしい。
ということは、1800億の少なからぬ割合が、例の洗剤だのビール券の費用に回されていることになるのか。当然それは購読料に転嫁されている。
「拡材」は基本的に、「それまで購読していなかった人を釣るため」のもの。
強引に考えれば、「購読していない人のために購読している人が購読料の一部として金を払っている」ともいえる。
それこそ本末転倒というものでは?

基本的に、訪問販売やらキャッチセールスの電話やら、「向こうから売り込んでくるもの」は大抵「必要のないもの」ばかりだ。
昼間家にいるとやっぱり勧誘系の電話がよくかかってくる。
最近一番多いのは生命保険(あとは美容系・健康食品系、いまや古典になりつつある「お宅様で以前お買い上げいただいた羽毛布団のクリーニング…」もまだ来るねぇ)なのだけど、普段あれだけTVでバンバンCMを流して、新聞や雑誌でもでっかい1面広告出して、ダイレクトメールも沢山来てるんだから、資料請求の電話番号はすぐ分かるから。ネットで検索もできるから。資料欲しい時にはこちらから請求するし、各社各プランを比較検討して、決まったらこっちから電話なり何なりするから。電話帳くらいあるから。
しょっちゅう違う代理店から電話されてきても、正直その回数が増えれば増えるだけウンザリで、「イラネ」以外に言うこともないから。
なんというか、「つくづくムダばっかりだ」「このDMとか電話してくるスタッフへの報酬が保険料に上乗せされてるんだねえ〜」と思うのだ。

話を新聞に戻すと、「ネットだけではなかなかフォローしづらい面もある」ということもあって生き残る可能性がありそうなのは

・専門紙(日経やスポーツ各紙とか工業・農業新聞とか)
・ローカル紙


の2つかと思う。
専門紙は、速報性というよりはやはり掘り下げ、細かいところへの視点・業界内でのコンセンサスなどで有用性がまだまだあるだろう。
ローカル紙は、まず地元の事件やイベントなどの話題。これについては全国紙ローカル面だけではやはり圧倒的にページ数が足りないと思うことがしばしばある。学校や地域活動がクローズアップされる機会も多く、記録としてチェックする上で欠かせないこともある。
何はなくとも地元密着なので、全国紙と比較するとよく分かるけれども、とにかく折り込みチラシの量が多く、主婦に喜ばれる傾向にある。
また、自営業の業種によっては、「おくやみ欄」をチェックし、「○○産業の社長のお父さんが亡くなったから弔電打たないと!」というような対応をしなければならない時には重宝するという。
まあ地方紙は地方紙で、夕刊(しばしば朝刊さえも)の1面全部が「うちの孫自慢(写真)」だの「私のポエム&イラストで"見渡す限り中二病"コーナー」だのというページが付き物で、「これ削る代わりに安くしろよ」と思わされる痛さは健在なのだが…
加えて地方紙の場合、独自に主催しているWebニュースサイトのクオリティの差が大きい。中にはWeb展開が弱く、速報ニュースの反映が遅くてほとんど使い物にならないというサイトもある(…山形新聞だけかもしれないが…)ので、そういうネガティブな意味で紙媒体優位な状況が存在することも。

引用記事では、

 問題は、テレビにしても新聞・ラジオにしても、流通メディアとしての競争力がインターネットの台頭で低下していることにある。したがって、「流通」業務に価値を置くのではなく、情報の調達・編集・加工業務の価値を高めるべきである。


 テレビも新聞もラジオも、一次情報の収集や記事の作成・編集は一括して行う。そして、出来上がったコンテンツをメディア特性に合わせ、ラジオ、テレビ、新聞などの各メディアへと流す仕組みを、組織として作ってしまうのである。

 この場合、コンテンツのワンソース・マルチユースが基本となる。ワンソース・マルチユースとは、自社の保有するメディアだけにとらわれず、フリーペーパー、駅の液晶パネル、携帯電話、新幹線や飛行機などの雑誌など、あらゆる流通網にコンテンツを載せる(=販売する)ことである。この方法によって、自らはコンテンツ生成・加工業に特化し、経営資源を情報の収集と加工・編集というコア業務に振り向けることが可能となる。


という提言を行っており、新聞・ネットニュース両方を利用しているユーザーとして非常に納得できる内容だと思う。

リストラ(日本では人件費カットと解雇ばかりを意味する言葉になってしまったが…)ばかりが最善策ではないが、これまで新聞社は、悪名高い拡張団が直属の組織ではないことを理由に、消費者からの苦情を「別の組織だから」受け流し、迷惑行為をやめるように指導することもなくここまで知らぬ顔を通してきた。
故に
「新聞はエリートが書いてヤクザが売る」
という言い回しが世間一般に定着した。
(最近ではさらにその後に「バカが読む」と追加されたバージョンも一般的になりつつあるが)
その拡張団を野放しにするだけでなく「聖域」扱いし、多額のコストを購読料に上乗せしているのだからまったく呆れた話だ。
現代消費者の行動を考えれば、拡張活動を丸ごとカットアウトするのは構造改革としておかしくないと思うのだが。……新聞勧誘が来なくなって困る消費者って、誰かいますかねえ?(「うちのパパが勧誘員です、仕事なくなったら困ります」なんてのは勿論ナシですよ?)


<参考>
●wikipedia「新聞拡張団

混同して分かりにくい新聞社・販売所・拡張団の関係など、基本的な説明。

新聞拡張員ゲンさんの嘆き

 実際拡張業務に当たっている側からの現状吐露。なかなか面白く、読みふけってしまった。
 「拡材(洗剤とかチケットとかのアレ)は基本的に新聞社と販売所が折半で負担する」「最初に持ちかけられる契約期間は持ち家・アパート・学生など住まいや立場によって違っている」という話や課せられるノルマの実態など、現場の人からでないと聞けない話も。
特に「拡張の手口」に目を通しておくと、狙われやすい状況や時期(入学・引越しなど)、悪質勧誘への対処法などが分かり参考になる。

新聞勧誘の断り方(世捨て人の庵)

まあ文字通りの内容。基本的に新聞勧誘に限らず多くの訪問セールスに応用できるだろう。悪質勧誘員の中には、それと名乗らずに宅配業者や隣人を装う連中もいるので、「ドアを開ける前に」「素性を明かすまで誰何する」点が特有のポイントのようだ。

他にも
・押し問答が長引くようであれば、「帰ってください」という言葉を意識的に多用する。不退去罪適用の大きな要因になる。
・脅迫・恫喝を使ってくる相手の場合、ICレコーダーやオーディオデッキを用いて録音(携帯電話・デジカメ・ポータブルビデオなどで録画するのもいいかも)しておく。警察に通報・相談する際の証拠になる。

なども有効らしい。
posted by 大道寺零(管理人) at 16:40 | Comment(6) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
今の住所に住んで10年ほど経つけど、いまだに年に2度くらいは勧誘員来るわ。
来る度に「ネットでニュース見てるからイラネ」で簡単に引き下がってはくれますよ。
来るのは読売ばっかですね〜。
Posted by eng at 2007年10月12日 17:35
やけに高圧的な勧誘員多いですね。
玄関先の植木折ったりしてとりあえず玄関を開けさせようとする。
怒鳴り声を上げて騒ぐ、植木鉢を蹴飛ばしてとかは序の口。
どうも販売店の名簿もってやっているようなので来ないようにするには先々の契約を1年単位でしておくのがよいようです。
うちは悪名高き朝日新聞と産経を取っているのですが、ゴミ売り新聞の勧誘員と朝日の勧誘員が一番タチ悪いです。
何であそこまで非常識な奴が来るのか謎すぎ。
Posted by at 2007年10月12日 21:37
>>engさん

酒田に来て相方親と同居してからは、基本的には玄関対応は義母がしてくれてるんですけど、聞いてみるとやっぱり年に2〜3回、「もう来るな」って言っても読売が来ると言ってました。チンピラ風ではなくわりと普通の物腰(でもやっぱり口の利き方がなってない)で、engさんちと同様に引き際はいいみたいです。
拡張も、拡張団だけでなく販売店が独自にやることも多いようだし、最近は流石にあまりDQNなことはやらんように改善されているのかな〜と信じたいなあ。
ホント読売ばっかりですね。毎日とか見たことないです。

>>風さん

>玄関先の植木折ったりしてとりあえず玄関を開けさせようとする。
>怒鳴り声を上げて騒ぐ、植木鉢を蹴飛ばしてとかは序の口。

えぇぇ;
そちらはかなりバイオレンスな拡張員が幅を利かせてるんですね…どう見ても器物破損なんですけども…
最近では、宅配業者だけでなく、近所の引越し挨拶とか古紙回収業者を偽称してとにかくドアを開けさせようとするのがいるみたいです。
物を壊したり、騙されて対応したとしても、その時点で相当不愉快で怒ってるわけなんですから、営業活動なんて成立するものもしなくなると分かりそうなもんですけどねえ…
拡張員も、複数の会社の拡張団を渡り歩くことも珍しくないようですから、結果的にあちこちの新聞の評判を下げまくっている…なんてこともありそうですね。

周囲の人も、ネットでもとにかく「発行部数第一位」な読売の悪評がダントツですねえ。以前ナベツネが「1000万部を1部たりとも割ることは許されない」と豪語したそうですが、販売店や拡張団への締め付けも相当きついのかもしれないですね。
Posted by 大道寺零 at 2007年10月14日 01:23
知人が聖教新聞勧誘と公明党の選挙投票がセットで来たので困ったらしい。
「聖教新聞の購読費は払うから、新聞は届けなくていいので二度と来ないでくれ」
と懇願したらしいですが、顛末は聞いてません。
Posted by YO7 at 2007年10月17日 07:57
聖教新聞とか公明新聞は知り合いとかにいるとその関係を使って購読を迫りますね。
言うに事欠いて大新聞は嘘ばっかり書いてあるとか、みんな地獄に堕ちるとか恐い話ばっかし。

赤旗は組合内部でうざいです。
そもそも労組は社会党とか民主党支持で共産支持はしていないはずなのですが(労組は革命の前衛としている共産と、労働者の権利を守るとの目指すところの違い)中に結構隠れているのでうるさいです。
そんなもん読むかアホですましましたけれどね。
赤旗の日曜版にアニメ声優関係の記事が多いのはそう言う方面にオルグ掛けているのかと思う。

大きな本屋に行くと過激派の機関紙なども扱っていて、読むと面白いですよ(笑
月刊三里塚とか前進などね・・・・。
Posted by at 2007年10月17日 12:40
>>YO7さん

>聖教新聞勧誘と公明党の選挙投票がセットで来た

うーん、選挙投票は適当に言っておけば誤魔化せる(まさか投票所までついてきて覗き込むわけじゃないですよね?;)だろうけど、知人経由の勧誘はうっとうしいですね。
普通の新聞の拡張活動であれば、「訪問販売」にカテゴライズされているので、一定期間中ならクーリングオフが可能ですけど、個人勧誘は適用が難しそうだし…その分性質が悪いですね…

「購読料だけ払う」と言わざるを得ない状況に持ち込まれると言うのはよほどのことなんでしょうね…;

>>風さん

>赤旗

世代的に現役には少なくなってますけど、民青にかぶれた人たちでしょうね(労組内)。
実家の父は長く組合・連合関係の仕事をしてましたが、民青系ではないので赤旗には無縁でした。

>赤旗の日曜版にアニメ声優関係の記事が多い

そ、そうなんですか。知らなかった。

>月刊三里塚とか前進など

前進は知ってましたが、三里塚ってあるんだ…
以前本屋でバイトしてたんですけど、過激派に関わらずマイナー雑誌って面白いんですよねー。

一口に新聞といっても、聖教やら赤旗となると個人の主義主張に深く基づく性質のものなので、その人の信条を邪魔する気はないから押し付けるのだけはやめてほしいものですよね。

あーでも逆に考えれば、読売とか朝日とかの一般紙の勧誘は、
「うち創価なんで聖教以外読みません」「赤旗なんで」と言えば相手も引き下がりやすいのかな?
Posted by 大道寺零 at 2007年10月17日 16:07
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