2007年12月01日

商品価値を下げるコピー日記

TVをつけながら夕食の準備をしていて、晩酌がてらの相方にも手伝ってもらっていた折、映画「ベオウルフ」のCMが流れてきた。
問題はそのコピー。

「ロード・オブ・ザ・リング」と「300」がひとつになった---この壮大なファンタジーに、おびえろ。


私はその素っ頓狂なコピーに目が点になり、そして長年の「指輪」読者である相方は明らかに不興の色を隠さずに「ハァ〜〜?」という声を上げたのだった。

世界史のヨーロッパ文化史のタームとして高校教科書レベルでも必ず出てくる「ベオウルフ」は、8〜9世紀に成立した(諸説あり)とされるイギリス最古の叙事詩で、英文学・古英語学を語る上で裂けて通れない存在である。
と同時に、「アーサー王伝説」をはじめとするケルト伝説群・「ローランの歌」「ニーベルンゲンの歌」やエッダ・サガ等と並ぶ「ファンタジー・空想文学の大いなる源流」の一つとして外せない超古典英雄物語の一つでもある。

著名である割には、形式が「詩」であり、古英語文法や詩としての韻律法・定型句技法などを学術的に扱われるほどには、実際に「読んだ」という人の少ない(少なくとも日本では)作品でもある。
ポピュラーな訳本が岩波文庫くらいしかなかったことも関係しているかもしれない。

「指輪物語」作者のトールキンも、英文学者として「ベオウルフ」の研究に従事した経歴があり、実際「指輪物語」のエピソードや各種ファクターとの共通点も色々と指摘されている。
だから、「『ベオウルフ』がなければ『指輪』もなかった」というような言い方であればある程度妥当とは思うのだが、

「指輪」+「300」→「ベオウルフ」

という化学式はどうしたって成立しそうにない(「ベオウルフ」の歴史的位置づけにしてから)。

公式サイト(音出ます)のストーリー解説によれば、

『ロード・オブ・ザ・リング』にも匹敵する壮大なストーリー、『300』をも越える刺激に満ちたアクション。最高のファンタジーと最高のアクションが今完璧なる融合を果たす!


という意味合いらしいが、なんとも安直でセンスのないコピー。
大体、全世界にうるさ方でマニアックなファンが多いことでは「シャーロック・ホームズ」シリーズにも引けを取らない「指輪物語」ファン一同の不興を買いかねないような文言を安易に使う時点で頭が悪すぎると思うし、映画自体には多少興味はあったのだけど、こんな程度の扱い方しかできない連中が配給してるのかと思うとなんともゲンナリしてくるなあ。
第一こんなダメコピーは、「指輪」にも「ベオウルフ」にも失礼だと、なんで気づかないのか。
posted by 大道寺零(管理人) at 03:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:[基本的に空欄を推奨します。詳細はこちらをご覧ください。]

ホームページアドレス:

(コメント投稿後、表示に反映されるまで時間がかかる場合がございますのでご了承の上、重複投稿にご注意ください。)
コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。