聖書の誤植も豪快すぎて吹いたが、「定着した誤植」が意外に色々とあって驚いてしまった。
たとえば
『生物学語彙』
ゴキブリは、かつては「御器囓り(ゴキカブリ)」等と呼ばれていた。しかし、1884年(明治17年)に岩川友太郎が書いた日本初の生物学用語集『生物學語彙』では、最初の記述には「ゴキカブリ」とルビが振られていたものの、2ヵ所目には「ゴキブリ」と書かれ、一文字抜けていた。この本は初版しか発行されず、間違いを訂正することができなかった。その後1889年(明治22年)に作られた『中等教育動物学教科書』にも「ゴキブリ」と記述されてしまい、この間違いは以降の教科書や図鑑にも引き継がれてほとんど全ての文献に「ゴキブリ」と書かれ、和名として定着してしまった
辞書・用語集類の誤植は後を引くなあ…
「ルパン三世」の銭形警部の本名「平一」が、「幸一」と誤植されてしまって定着した。
ずっと、銭さん(あえて「とっつぁん」とは呼ばない原作ファンです)の下の名前にはどうして「平」の字が入らないのか不思議だった。そんな事情だったんだね…
そもそもこの項目には、「つげ義春」→「ねじ式」→「メメクラゲ」→「誤植」のつながりでたどり着いたんだった。
フィクションの人名はまだしも、実名・もしくは筆名を間違えられてしまってそっちに合わせた、もしくは半分意地だったりおふざけで合わせてみたというのも多いようだ。
# 小説家吉川英治は、本名の「英次」(ひでつぐ)で作品を書いていたが、出版社が誤って「英治」としたのを本人が気に入り、筆名とした。
# コラムニストの押切伸一はある雑誌で「伸切伸一」とされたことで「のびきりのびいち」を一時期名乗っていた。
# 四方田犬彦も本来の筆名の「丈彦」を「犬彦」とされたものをそのままペンネームとして使うようになった。
# 大相撲力士(元関脇)の海乃山は、「海力山」と改名届を出した途端に番付表の誤植に遭い、そのまま意味の通らない四股名で現役を通した。
# 漫画家の矢野健太郎は、数学者の矢野健太郎をもじって「矢野建太郎」というペンネームを名乗ったが、デビュー作の掲載時に「矢野健太郎」と誤植されてしまい、そのまま現在のペンネームを使い続けている。
# もじら組はイベント「関西オープンソース+フリーウェア2003」のパンフレットで「もぐら組」とされたことで一時期自ら「もぐら組」を名乗っていたことがある。
などなど。
長年「紛らわしいなぁ」と思っていた矢野健太郎の名前の件もこれで納得…
こちらは誤植ではないけれども、忘れられないのが直木三十五の筆名。
直木三十五 -名前について(Wikipedia)
本名は植村宗一である。「直木」は「植」の字を分解したもので、「三十五」は年齢を元にしたものである。31歳のときに直木三十一の筆名で『時事新報』に月評を書いたのが文筆活動の始まりで、以降誕生日を迎えるごとに「三十二」、「三十三」と名前を変えていた。
34歳の誕生日を迎えた時、本人は「直木三十四」と書いたのに、編集者が勘違いから「直木三十五」と書き直してしまった。しかし、当の「直木三十四」はそれを訂正することはせず、それ以降、直木三十五から名を改めることはなかった。理由は「三十六計逃げるに如かず」と茶化されるのが嫌だったからだという。亡くなった時の年齢は43歳であった(四は縁起が悪いから飛ばしたという説もある。36歳の時に「直木三十六」と書いたのを「直木三十五」に直されたという説もあるが、三十四は実際には使われていないので、この説は誤りである)。
「××クラゲ」の読み間違いだったんでしたっけ、たしか。
有馬記念を勝った「ダイユウサク」も、馬主さんは本当は孫の名前にちなんで「ダイコウサク」とつけたかったらしいのですが、調教師が「コ」と「ユ」を読み間違えて登録したうえ、競争馬の改名手続きは非常に煩雑なのでそのままにしたとか。
間違いの方が一般に定着するってのもおもしろいですねー。
そういや、うちのバーサンは、ゴキブリのことを「ボッカブリ」と言ってました。
「禅」の研究家が「褌」の研究家にされたり…
私が子供の時分山手線を「やまてせん」と呼んでいたのは進駐軍が入ってきた時「YAMANOTE LINE」を「YAMATE LINE」としてしまったからと聞きました。
最近は誤変換や誤入力による誤植が蔓延っていますね。
去年秋田で起きた両陛下訪問の案内状で「悪天候」を「悪天皇」とミスした一件とか。手で書いたら絶対やらかさないタチのミスが留まるところを知らず。
入力した人と別人の目で冷静にチェックしないと駄目ですね。
>「××クラゲ」の読み間違いだったんでしたっけ、たしか。
そーですそーです(編集者が勘違いして写植を打った)。有名な話ですよね。でも本人も納得しているとおり、この作品の不条理な雰囲気には、「メメクラゲ」がこの上なく似合っていると思います。
>ダイユウサク-ダイコウサク
カタカナっていうのは実に微妙ですよね〜。個人の微妙な書きグセが大きく影響しますし…
>>末期ぃさん
>私が子供の時分山手線を「やまてせん」と呼んでいたのは進駐軍が入ってきた時「YAMANOTE LINE」を「YAMATE LINE」としてしまったからと聞きました。
私はずっと「やまのてせん」だと思っていたんですが、カバーされた「恋の山手線」で「やまてせん」と歌っていたので、「どっちが正しいんだろ?一般的にはやまのてせんだけど…」と一瞬悩んだことがあります。
>最近は誤変換や誤入力による誤植が蔓延っていますね。
そうですねー。
手書きの誤字というのは、見た感じパッと「誤字だ」と分かるオーラのようなものがありますけども、活字やコンピュータ上のフォントになってしまうと、どれもなんだか「もっともらしく」見えてしまってスルーしてしまうところがあると思うのです。かく言う私も日々誤字脱字誤変換しまくりなのですが、「フォントの持つもっともらしさ」って怖いなぁと思わずにはいられません。「雪国はつらいよ条例」とか…
んで姓名判断の文字数的には「。」があるほうがいいからってことでそのままなんだとか
藤岡弘、の「、」は・・・
・・・忘れた(笑)
>藤岡弘、の「、」
これは本人が、「いまだ人生修行の途中である」という意味で、完成・終了を表す「。」ではなく「、」を加えたものですね。
ちなみにこれを加えた改名は、「モーニング娘。」よりも前なのです。