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2008年03月30日
フハッ!生命線ができている! (漫画)
「荒俣宏の少年マガジン大博覧会」には、創刊当時〜1973年までの連載作品やグラビア記事などの総覧が掲載されている。
その中にいくつか、当時の読者ページも収録されていて、中には「マガジンの漫画家先生の仕事場訪問インタビュー」という趣向のものもある。
「木乃美光(このみ・ひかる)」という学習漫画などを手掛けていた漫画家が聞き手になっている。この企画の水木しげるインタビューが、今読むとどうにも面白かった。
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その中にいくつか、当時の読者ページも収録されていて、中には「マガジンの漫画家先生の仕事場訪問インタビュー」という趣向のものもある。
「木乃美光(このみ・ひかる)」という学習漫画などを手掛けていた漫画家が聞き手になっている。この企画の水木しげるインタビューが、今読むとどうにも面白かった。
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2008年03月08日
「ミュータントサブ」の改変について (漫画)
「ミュータントサブ」は、石森章太郎が1960年代に描いたエスパーものの作品で、かならず「代表作」として挙がるにもかかわらずあまり復刊の機会に恵まれなかった。
で、長年読みたいと願っていたのだがかなわず、1999年に双葉文庫からようやく2巻本で発売されてようやく見ることができたのだった。
この間まで、コダマプレスから出版された「ダイヤモンドコミクス」のリスト作成&調査をしていて、その中で、現在読める「ミュータントサブ」は、根幹設定とセリフが改変されたものだということを初めて知り、それで初めて物語の世界を咀嚼してすんなりと喉に落ちたように思えたのだった。
(以下ネタバレありますのでこれから読む方はご注意ください)続きを読む
で、長年読みたいと願っていたのだがかなわず、1999年に双葉文庫からようやく2巻本で発売されてようやく見ることができたのだった。
この間まで、コダマプレスから出版された「ダイヤモンドコミクス」のリスト作成&調査をしていて、その中で、現在読める「ミュータントサブ」は、根幹設定とセリフが改変されたものだということを初めて知り、それで初めて物語の世界を咀嚼してすんなりと喉に落ちたように思えたのだった。
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2008年03月05日
千年万年百万年 (漫画)
“絵柄も大きく変化” 手塚治虫の名作「リボンの騎士」、41年ぶりにリメイク
(痛いニュース(ノ∀`))
今の「なかよし」の絵柄がどんな感じか大体わかってるし、今風の絵になるのはいいんだけど、絵"柄"以前に"絵"そのものがあまりにヘタすぎてゲンナリだなあ。
サファイアが黒髪ショートじゃない、何よりも「見た目全然男の子っぽい要素なし(見るからに女の子すぎる)」なのが「リボンの騎士」として問題な気がするんだなあ。
まあいまさらなかよし買う要素もない人間が何を言っても詮無いことではあるんだけど。
レイピアが細すぎ&真っ直ぐじゃないのにも萎えた。
少女マンガのアクションシーンがたいがいヘボいのは今に始まったことじゃないのだが、刺突剣一つマトモに描けない漫画家が西洋チャンバラシーンとか描いた日にはそうとうしょっぱい絵になりそうだ。
そしてそんな高塩分なシーンなのに、周りの人間が
「なんという剣さばき…!」
とか言ってホレボレする様子が目に浮かんで、想像しただけで心がクネれる。
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(痛いニュース(ノ∀`))
今の「なかよし」の絵柄がどんな感じか大体わかってるし、今風の絵になるのはいいんだけど、絵"柄"以前に"絵"そのものがあまりにヘタすぎてゲンナリだなあ。
サファイアが黒髪ショートじゃない、何よりも「見た目全然男の子っぽい要素なし(見るからに女の子すぎる)」なのが「リボンの騎士」として問題な気がするんだなあ。
まあいまさらなかよし買う要素もない人間が何を言っても詮無いことではあるんだけど。
レイピアが細すぎ&真っ直ぐじゃないのにも萎えた。
少女マンガのアクションシーンがたいがいヘボいのは今に始まったことじゃないのだが、刺突剣一つマトモに描けない漫画家が西洋チャンバラシーンとか描いた日にはそうとうしょっぱい絵になりそうだ。
そしてそんな高塩分なシーンなのに、周りの人間が
「なんという剣さばき…!」
とか言ってホレボレする様子が目に浮かんで、想像しただけで心がクネれる。
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2008年03月02日
自重を知らない子供のように (漫画)
昭和40年代前半の「漫画コミックス黎明期」について調査するのがいろいろ面白くなって、現在曙出版の「曙コミックス」について調査整理中。
このレーベルは、「おそ松くん」「ダメおやじ」等の赤塚不二夫率いる「フジオ・プロ」の作品や好美のぼるのトンデモなホラー作品などで知られているが、とにかく調べれば調べるほど不二夫プロ率が高い。最初は、さいとうプロにおけるリイド社のように、フジオプロの出版部門なんじゃないかと思ったほど。
勿論曙出版社は貸本系の会社なので、そんなことはないのだけども。
そのアナーキーな過去の仕事とキャラクターメイキングのセンスは評価しているけども、私はあまり赤塚不二夫作品は好きではないので、初出を調べながら正直あまりテンションが上がらないといえば上がらないのは事実だったりもする。
国会図書館データベースにはわりと曙出版の単行本はよく載っていて、リストのベースを作るのは思ったより難航しなかった。
なぜかついでにその一段階前の貸本シリーズのリストまで編集してしまう始末。いよいよ思い入れどころか名前も知らない作家の方が多い世界に突入してしまったのだが、貸本世界で戦場ものや母恋少女もの・時代ものを書いていた時代の板井れんたろうや長谷邦夫の仕事が垣間見れるのはちょっと楽しい。
赤塚不二夫が不謹慎ネタ・アナーキーネタを好むのは十分知っていたつもりだったのだが、一応メジャーな少年誌(メイン対象は小学生)にこんな作品も連載していたとは今回初めて知った。
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このレーベルは、「おそ松くん」「ダメおやじ」等の赤塚不二夫率いる「フジオ・プロ」の作品や好美のぼるのトンデモなホラー作品などで知られているが、とにかく調べれば調べるほど不二夫プロ率が高い。最初は、さいとうプロにおけるリイド社のように、フジオプロの出版部門なんじゃないかと思ったほど。
勿論曙出版社は貸本系の会社なので、そんなことはないのだけども。
そのアナーキーな過去の仕事とキャラクターメイキングのセンスは評価しているけども、私はあまり赤塚不二夫作品は好きではないので、初出を調べながら正直あまりテンションが上がらないといえば上がらないのは事実だったりもする。
国会図書館データベースにはわりと曙出版の単行本はよく載っていて、リストのベースを作るのは思ったより難航しなかった。
なぜかついでにその一段階前の貸本シリーズのリストまで編集してしまう始末。いよいよ思い入れどころか名前も知らない作家の方が多い世界に突入してしまったのだが、貸本世界で戦場ものや母恋少女もの・時代ものを書いていた時代の板井れんたろうや長谷邦夫の仕事が垣間見れるのはちょっと楽しい。
赤塚不二夫が不謹慎ネタ・アナーキーネタを好むのは十分知っていたつもりだったのだが、一応メジャーな少年誌(メイン対象は小学生)にこんな作品も連載していたとは今回初めて知った。
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2008年02月26日
シュリンクについて便乗して考えてみた(雑誌編)その2 (漫画)
前稿からかなり間が空いてしまったのだけどもその後考えたことなど続き。前のエントリではシュリンクというよりも「マンガにおける雑誌-単行本論」の枝葉のほうが大きくなってしまった反省もあって、今回はシュリンクの話だけに極力収束させようと思う。
(一般的な「シュリンク」は、フィルムで本を包んで熱圧着させるものですが、ここでは単にビニール袋をかぶせてテープで止めるものも「広義のシュリンク」として一緒くたに扱うことにします)
基本的に私のシュリンクへの姿勢は
「できればないほうがいい、本屋は自由に試し読みや内容確認ができる・または未知の作品と出会える場であって欲しい」
「ジャケ買い・作家買いや口コミ(ネットでの評判)からの興味だけではコミック市場が硬直化していくのではないか」
「とはいえ、昨今の万引きや客のモラル低下を思えば、それはすでにユートピア幻想なのかもしれない。現実問題として地元書店に潰れられるのは困るし」
「一方、"立ち読みで傷んだり汚れた本は買いたくない"客も増えているし、歓迎はしたくないけれども仕方がないのだろう」
という「本当はイヤなんだけど消極的容認」である。
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(一般的な「シュリンク」は、フィルムで本を包んで熱圧着させるものですが、ここでは単にビニール袋をかぶせてテープで止めるものも「広義のシュリンク」として一緒くたに扱うことにします)
基本的に私のシュリンクへの姿勢は
「できればないほうがいい、本屋は自由に試し読みや内容確認ができる・または未知の作品と出会える場であって欲しい」
「ジャケ買い・作家買いや口コミ(ネットでの評判)からの興味だけではコミック市場が硬直化していくのではないか」
「とはいえ、昨今の万引きや客のモラル低下を思えば、それはすでにユートピア幻想なのかもしれない。現実問題として地元書店に潰れられるのは困るし」
「一方、"立ち読みで傷んだり汚れた本は買いたくない"客も増えているし、歓迎はしたくないけれども仕方がないのだろう」
という「本当はイヤなんだけど消極的容認」である。
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2008年02月20日
偕成社「ヒチコック・ミステリー」シリーズ (漫画)
1976年に発行されたジュニア向けのヒッチコックミステリーシリーズ。(記事カテゴリを「漫画」したけれども、このシリーズは当然児童文学なので念のため…)
表紙絵・挿絵が石川賢(1〜3まではダイナミックプロ名義)ということはコアなファンの間では常識らしいのだが、今回秋田書店書籍を捜索中に偶然知った。
少年探偵たちが活躍するという筋立てなのだが、表紙を見る限り
・かなり早見青児入った竜馬
・ムサシならぬ、金髪でヘタレっぽい顔の達人兄さん(でも5巻の表紙ではつい勢いで太ってる)
・そしてどう見てもブリーチした隼人です
の3人をメインにお送りします
という感じだ。
昭和のジュニア書籍古書店なんかだともう眼の玉が飛び出て隣の部屋まで行っちゃうような値段が付けられている模様。
まんだらけトピックスのページで、全巻の表紙+背表紙のそれなりのサイズの写真を見ることができる。
6巻の背表紙では誰かがさりげなく魔界転生してないか。
表紙絵・挿絵が石川賢(1〜3まではダイナミックプロ名義)ということはコアなファンの間では常識らしいのだが、今回秋田書店書籍を捜索中に偶然知った。
少年探偵たちが活躍するという筋立てなのだが、表紙を見る限り
・かなり早見青児入った竜馬
・ムサシならぬ、金髪でヘタレっぽい顔の達人兄さん(でも5巻の表紙ではつい勢いで太ってる)
・そしてどう見てもブリーチした隼人です
の3人をメインにお送りします
という感じだ。
昭和のジュニア書籍古書店なんかだともう眼の玉が飛び出て隣の部屋まで行っちゃうような値段が付けられている模様。
まんだらけトピックスのページで、全巻の表紙+背表紙のそれなりのサイズの写真を見ることができる。
6巻の背表紙では誰かがさりげなく魔界転生してないか。
2008年02月06日
かむろば村へ(1)/いがらしみきお (漫画)
いがらしみきおがビッグコミックでこんなマンガを連載していたとは、昨年末に「ゴルゴ13 酒田さ行ぐさげまめでろちゃ編」を読むためにビッグコミックを買うまで気が付かなかった。義弟くんに感謝。
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物語1コマ目は、本編の主人公・高見武晴が村長の運転するマイクロバスに乗せられて、舞台の「かむろば村」にやってくるシーンから始まる。
彼は東京で4年間銀行に勤務していた青年なのだが、零細企業への融資業務等に関わっていいるうちに金への強迫観念が強まり「金アレルギー」になってしまう。貨幣に触れない・日常生活を送ることさえままならなくなり入院した先に待っていたのは当然リストラだった。
高見は、「何もない深い田舎で、田畑で自給自足して暮らせば、金と係わり合いのない暮らし・一円も使わない生活が可能なのでは」と考え、古い民家を土地込み100万で買い取り、田んぼも借りる話を付けて「かむろば村」に移住してきた。しかし「銭のいらない田舎」などあるはずもなく、その1日目から高見の幻想は打ち砕かれる。
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シュリンクについて便乗して考えてみた(雑誌編) (漫画)
以前当方でも意見をコソッと書いたりした「コミック単行本シュリンク(書店でコミック本などにかけられるビニールカバー)論(シュリンクすることによって売り上げは増えるのか、消費者にとって・店にとって益となる存在なのかetc)」のエントリや論考はさまざまな場所でなされ、特に書店業務に携わる方の、実勢を絡めた意見・論考はとても興味深いものがあった。
で、現在その議論は、シュリンクの主な対象であった単行本から、雑誌へのシュリンクに関するものにも波及しているという。
鳥酋長さん(鹿児島「ひょうたん書店」勤務)の「濃霧-gNnorm-」における文章が非常に興味深いので引用させていただく。
鳥酋長さんは、コミック雑誌にシュリンクするメリットとして
・傷みやすいコミック誌をキレイな状態に保つとともに、月刊誌などで最近増えた付録類をバラけさせない効果がある
・シュリンクすることによって、近年なかなか売れないコミック雑誌の売り上げが好転した
と書かれ、その理由を次のように考察している。
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で、現在その議論は、シュリンクの主な対象であった単行本から、雑誌へのシュリンクに関するものにも波及しているという。
鳥酋長さん(鹿児島「ひょうたん書店」勤務)の「濃霧-gNnorm-」における文章が非常に興味深いので引用させていただく。
鳥酋長さんは、コミック雑誌にシュリンクするメリットとして
・傷みやすいコミック誌をキレイな状態に保つとともに、月刊誌などで最近増えた付録類をバラけさせない効果がある
・シュリンクすることによって、近年なかなか売れないコミック雑誌の売り上げが好転した
と書かれ、その理由を次のように考察している。
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2008年01月15日
2008年01月13日
あんたこの踏み絵どう思う (漫画)
「人間それぞれなんだし、他人様の家の話をアレコレ考えたところで仕方がないよ」と相方が言うのは多分正しいのだけど、どうしても何か一言…というか自分の考えをまとめておきたくて書く。そうせずにはいられないな、と思わせられた話を昨日読んだ。
引用が長くなってしまうがご容赦いただきたい。
(また、Blog主の奥さんについて言いたいことを言いまくるけれども、あくまで「文章内から自分が読み取った範囲」でのことなので、奥さんの実像とはかなり隔たりがある可能性も最初にお断りしておく)
●大切な物を妻に捨てろと言われた (- Aerodynamik - 航空力学)
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引用が長くなってしまうがご容赦いただきたい。
(また、Blog主の奥さんについて言いたいことを言いまくるけれども、あくまで「文章内から自分が読み取った範囲」でのことなので、奥さんの実像とはかなり隔たりがある可能性も最初にお断りしておく)
●大切な物を妻に捨てろと言われた (- Aerodynamik - 航空力学)
昨晩、妻にものすごい剣幕で怒鳴られた。
何事かと思えば、俺の青春時代のバイブル、松本零士「男おいどん」を手にしている。
その後しばらく続いた妻の説教をまとめておく。
---
初めて読んだけどこんな酷い本はない。
主人公は不器用で要領が悪く、社会とうまく付き合うことができない、だけど馬鹿正直で、世間の中で自分だけが真っ直ぐに生きていると思い込んでいる。
これはあなた自身だ。
こんなものをバイブルとしているメンタリティに大いに問題がある。
現代社会で生きるうえで、確実に「負け犬」に繋がる思想だ。
こんな本は家に置いておくことすら許されない。
即刻捨てなさい。
捨てない場合は私が家を出て行く。
どうしても読みたいと言うのなら、社会的に成功した後に買いなおせばいい。
---
まあこれはこれで正論なのだけれど。
思い出の詰まった大切な本を捨てろと言われて、とてもショックを受けた。
買いなおせばいいとか、そういう問題ではないのだ。
とはいえ、そんな感情は「物」についての執着でしかない。
妻の言う、「捨てるべきは何か」ということは、分かっているつもりだ。
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2008年01月09日
おらが町にゴルゴが来たりてアーマライト (漫画)
年末に買った「ビッグコミック 1/10日号」で、酒田を舞台にした「ゴルゴ13」『死を呼ぶ汽笛』後編を読む。書くのが遅くなってしまった。
場所は酒田だがターゲットはロシア人。なじみ深い北港が公証人との接触&スナイピングの舞台なのでなんだか変な感じだが、酒田の波力発電やリサイクルポート事業、ロシアとの関係など、なかなかよく取材してシナリオに取り込んであることに感心する。
庄内空港の出るシーンが数コマあって、まあそれは写真数枚あれば描けてしまうものだとはいえ、かなり正確に書いてある。
というか、「庄内空港が漫画に登場する」こと自体が初めてなのではあるまいか?
一つだけ突っ込むならば、「庄内空港は発着時でもそんなに人はいねぇ」という寂しさ極まりない事実なんだけど、それはきっと作画スタッフの温情というか、多分「写真通りに描いたんじゃ、"モブ描くの手抜きしたな"と思われてしまう」というような事情だったんじゃないかと考えてみる。
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場所は酒田だがターゲットはロシア人。なじみ深い北港が公証人との接触&スナイピングの舞台なのでなんだか変な感じだが、酒田の波力発電やリサイクルポート事業、ロシアとの関係など、なかなかよく取材してシナリオに取り込んであることに感心する。
庄内空港の出るシーンが数コマあって、まあそれは写真数枚あれば描けてしまうものだとはいえ、かなり正確に書いてある。
というか、「庄内空港が漫画に登場する」こと自体が初めてなのではあるまいか?
一つだけ突っ込むならば、「庄内空港は発着時でもそんなに人はいねぇ」という寂しさ極まりない事実なんだけど、それはきっと作画スタッフの温情というか、多分「写真通りに描いたんじゃ、"モブ描くの手抜きしたな"と思われてしまう」というような事情だったんじゃないかと考えてみる。
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2007年12月29日
2007年12月22日
そのタイトルはやめて欲しい… (漫画)
何回となく「私はあなたのもの」というサブジェクトの出会い系SPAMメールが来るんだけど、そのタイトルを見るたびに「魔獣戦線」のラストを思い出して切なくなるので勘弁して欲しいのだ。
何度も語っているのを繰り返すが、私の中で「漫画ってすげぇ!」とガツンとショックを与えてくれた作品、しかも多感な10代前半に出会ったのが「キカイダー」と「デビルマン」のラストだったのだけど、リアルタイムで「魔獣戦線」を読んでいたら、多分「デビルマン」以上のショックだったろうな…と思うと、もし出来ることなら当時の自分(幼稚園児)に「ジャンプもいいけどまずこっち読め!」と「少年アクション」を無理矢理与えてやりたい衝動に駆られるのだ。
まぁなあ…親戚のお兄ちゃんズは誰一人として「少年アクション」読んでなかったから仕方なかったんだけどもさ…
何度も語っているのを繰り返すが、私の中で「漫画ってすげぇ!」とガツンとショックを与えてくれた作品、しかも多感な10代前半に出会ったのが「キカイダー」と「デビルマン」のラストだったのだけど、リアルタイムで「魔獣戦線」を読んでいたら、多分「デビルマン」以上のショックだったろうな…と思うと、もし出来ることなら当時の自分(幼稚園児)に「ジャンプもいいけどまずこっち読め!」と「少年アクション」を無理矢理与えてやりたい衝動に駆られるのだ。
まぁなあ…親戚のお兄ちゃんズは誰一人として「少年アクション」読んでなかったから仕方なかったんだけどもさ…
シュリンクについて便乗して考えてみた (漫画)
*シュリンク=書店にて、商品保護のために本にかけられているフィルム・ビニールのこと
シュリンク(新刊本にかけられてるビニールカバー)の話 (「酔拳の王 だんげの方」)
で、色々なサイトの意見とリンクがまとめられていて分かりやすい。
私としては、有体な意見でナニだけども、
読み手としては
「ないにこしたことはない」
「普段どうしても作家買いになってしまっている中、ふとした気まぐれで未知の作家や作品に触れ、購入するのは市場としても意味があること」
と思うし、一方
「最近の客(特に低年齢層)のモラルの低下や、"万引き→新古書店転売"という流れが確実に存在することを考えればやむなしか」
と感じるのもまた事実なのだ。
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シュリンク(新刊本にかけられてるビニールカバー)の話 (「酔拳の王 だんげの方」)
で、色々なサイトの意見とリンクがまとめられていて分かりやすい。
私としては、有体な意見でナニだけども、
読み手としては
「ないにこしたことはない」
「普段どうしても作家買いになってしまっている中、ふとした気まぐれで未知の作家や作品に触れ、購入するのは市場としても意味があること」
と思うし、一方
「最近の客(特に低年齢層)のモラルの低下や、"万引き→新古書店転売"という流れが確実に存在することを考えればやむなしか」
と感じるのもまた事実なのだ。
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2007年12月18日
「碁娘伝」諸星大二郎 (漫画)
舞台は中国(特に設定はないが唐代くらいか)。
城外の廃屋に妖怪が出るという噂が町に立っていた。
その妖怪は絶世の美女の姿で、訪れた男に碁の勝負を申し込み、「勝てれば自分を自由にしてよい、しかし負けたら耳を片方もらう」と持ちかけ、これまで碁の腕に覚えのある男が何人も訪れたが、その娘に勝った者は誰一人としていなかった。
その正体は、父の仇を討つために碁と剣の腕を磨いた高玉英という美女だった。
…というのが最初のエピソード「碁娘伝」の内容で、続く「碁娘後伝」「碁娘翅鳥剣」では、"碁娘"という通り名で呼ばれるようになった彼女が、自分と同じように碁がらみで苦しめられた人の恨みを晴らすため、その優れた碁の腕と剣技をふるう痛快な活躍が描かれる。
私は碁が全然分からないのだが、それでも支障なく、作中の説明だけで十分物語を楽しむことが出来る。
エピソードが4つ収録されており、中でも「碁娘翅鳥剣」は、碁の打ち筋と戦いの駆け引きが絶妙にリンクしていて、非常に優れた構成で楽しめる。クライマックスで上下に分割された画面のアクション性も楽しいし、短編なのにキャラクターがどれもよく立っている。
ラストの「棋盤山」では、剣士として碁娘と決着を付けたい呉壮令との決闘が描かれる。
「剣碁一体」の碁娘の技の冴えが素晴らしく、ラストページでも、「碁を極めただけでも、剣を極めただけでも碁娘を理解し、越えることは出来ない」というエピソードのテーマが示されて終わる。
あとがきでも筆者が書いている通り、「薀蓄や深読みは不要の痛快娯楽活劇」に仕上がっているだけでなく、舞台である中国の雰囲気や碁の世界の奥行きを感じさせる、なかなかの佳作だと思う。
「華がない」と思われがちな諸星大二郎の絵だが、碁娘の妖艶さと凛とした雰囲気を併せ持つ美しさはなかなかだ。
城外の廃屋に妖怪が出るという噂が町に立っていた。
その妖怪は絶世の美女の姿で、訪れた男に碁の勝負を申し込み、「勝てれば自分を自由にしてよい、しかし負けたら耳を片方もらう」と持ちかけ、これまで碁の腕に覚えのある男が何人も訪れたが、その娘に勝った者は誰一人としていなかった。
その正体は、父の仇を討つために碁と剣の腕を磨いた高玉英という美女だった。
…というのが最初のエピソード「碁娘伝」の内容で、続く「碁娘後伝」「碁娘翅鳥剣」では、"碁娘"という通り名で呼ばれるようになった彼女が、自分と同じように碁がらみで苦しめられた人の恨みを晴らすため、その優れた碁の腕と剣技をふるう痛快な活躍が描かれる。
私は碁が全然分からないのだが、それでも支障なく、作中の説明だけで十分物語を楽しむことが出来る。
エピソードが4つ収録されており、中でも「碁娘翅鳥剣」は、碁の打ち筋と戦いの駆け引きが絶妙にリンクしていて、非常に優れた構成で楽しめる。クライマックスで上下に分割された画面のアクション性も楽しいし、短編なのにキャラクターがどれもよく立っている。
ラストの「棋盤山」では、剣士として碁娘と決着を付けたい呉壮令との決闘が描かれる。
「剣碁一体」の碁娘の技の冴えが素晴らしく、ラストページでも、「碁を極めただけでも、剣を極めただけでも碁娘を理解し、越えることは出来ない」というエピソードのテーマが示されて終わる。
あとがきでも筆者が書いている通り、「薀蓄や深読みは不要の痛快娯楽活劇」に仕上がっているだけでなく、舞台である中国の雰囲気や碁の世界の奥行きを感じさせる、なかなかの佳作だと思う。
「華がない」と思われがちな諸星大二郎の絵だが、碁娘の妖艶さと凛とした雰囲気を併せ持つ美しさはなかなかだ。
2007年12月12日
用件を聞こうか (漫画)
一昨日の昼下がりに電話があって、誰かと思えば東京の義弟くんだった。
用件は以下の通り。
「今週のビッグコミックのゴルゴ13、酒田が舞台で、北港にたたずむゴルゴの姿とかちょっと笑えるから良かったら見てみてください。それじゃ!」
いつも仕事で忙しくて帰る時間も遅くて、常々「なかなか電話が繋がらない」と義両親らがボヤいている義弟くんが、私にふとこういう電話をかけてくれる。
かわいいのぅ。かわいいのぅ。
「結婚してよかった」ことの一つが、兄しかいない私に弟ができたことじゃよ。イヤ本当に。
そんなわけで早速ビッグコミックを買ってみる。
酒田北港・北港展望台・酒田駅前・飲み屋・中町あたりの光景が登場していた。
特に義弟くんオススメの「北港の掘り込みにたたずむゴルゴ」の姿はなるほど確かに妙に笑えた。
北港には去年まで義父のプレジャーボートを係留している関係でしょっちゅう行っていたので、「なじみの場所にゴルゴ」というだけで妙におかしくてたまらない。
あの仏頂面で強風の中、仕事の話をしながら
「何にもねえところだな〜」とか
「風車でけぇなあ」とか
「この時間ラーメン食える店あるかな…」とか考えていたらいいなぁ。
作品にはロシア人が登場するが、実際港がある関係でロシア船員さんはよく街中で見かける。銀行のドアにもロシア語で「ようこそ」とか書いてあるし。やまやでウオツカを買い込んでいる姿も時折見る。
用件は以下の通り。
「今週のビッグコミックのゴルゴ13、酒田が舞台で、北港にたたずむゴルゴの姿とかちょっと笑えるから良かったら見てみてください。それじゃ!」
いつも仕事で忙しくて帰る時間も遅くて、常々「なかなか電話が繋がらない」と義両親らがボヤいている義弟くんが、私にふとこういう電話をかけてくれる。
かわいいのぅ。かわいいのぅ。
「結婚してよかった」ことの一つが、兄しかいない私に弟ができたことじゃよ。イヤ本当に。
そんなわけで早速ビッグコミックを買ってみる。
酒田北港・北港展望台・酒田駅前・飲み屋・中町あたりの光景が登場していた。
特に義弟くんオススメの「北港の掘り込みにたたずむゴルゴ」の姿はなるほど確かに妙に笑えた。
北港には去年まで義父のプレジャーボートを係留している関係でしょっちゅう行っていたので、「なじみの場所にゴルゴ」というだけで妙におかしくてたまらない。
あの仏頂面で強風の中、仕事の話をしながら
「何にもねえところだな〜」とか
「風車でけぇなあ」とか
「この時間ラーメン食える店あるかな…」とか考えていたらいいなぁ。
作品にはロシア人が登場するが、実際港がある関係でロシア船員さんはよく街中で見かける。銀行のドアにもロシア語で「ようこそ」とか書いてあるし。やまやでウオツカを買い込んでいる姿も時折見る。
2007年12月10日
「ガッツ乱平」百里あきら (漫画)
今の子供は、漫画雑誌の立ち読みや購入はコンビニで自由にできてしまうだろうけども、昔は小遣いの絶対額が少なかったこと、本を買える店が限られていたこともあって、「親やジジババに頼んで買ってきてもらう」ことが多かった。
そして、事前によく説明したにも関わらず、オカンオトンやじいちゃんばあちゃんは、狙いすましたように「コレジャナイ」ブツばかり買ってくるのだった。
例えば
・週刊ジャンプを頼んだのに月刊を買ってくる
・週刊サンデーを頼んだのに増刊サンデーを買ってくる
・月刊ジャンプを頼んだのにフレッシュジャンプを買ってくる
・それどころかベアーズクラブを買ってくる
・マガジンを頼んだのにチャンピオンを買ってくる
・コロコロを頼んだのにボンボンを買ってくる
・ガンプラと間違えてガンガルを買ってくる
特に「増刊」はかなり鬼門のようだった。
そんな話を昔々、大学生時代にしていたら、ある先輩がポツリと言った。
「オレ、ばあちゃんに『ダッシュ勝平』頼んだら『ガッツ乱平』買ってこられて、何かものすごく凹んだことあったなぁ…」
「ガッツ乱平」…これかぁ…そう言えばあったなあ…
確かにこれは言い知れない脱力感に教われるだろうなと誰もが納得したのだった。
で、前置きが長くなったがなんとなく「ガッツ乱平」のことを思い出したので、薄れた記憶をたどってみる。
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そして、事前によく説明したにも関わらず、オカンオトンやじいちゃんばあちゃんは、狙いすましたように「コレジャナイ」ブツばかり買ってくるのだった。
例えば
・週刊ジャンプを頼んだのに月刊を買ってくる
・週刊サンデーを頼んだのに増刊サンデーを買ってくる
・月刊ジャンプを頼んだのにフレッシュジャンプを買ってくる
・それどころかベアーズクラブを買ってくる
・マガジンを頼んだのにチャンピオンを買ってくる
・コロコロを頼んだのにボンボンを買ってくる
・ガンプラと間違えてガンガルを買ってくる
特に「増刊」はかなり鬼門のようだった。
そんな話を昔々、大学生時代にしていたら、ある先輩がポツリと言った。
「オレ、ばあちゃんに『ダッシュ勝平』頼んだら『ガッツ乱平』買ってこられて、何かものすごく凹んだことあったなぁ…」
「ガッツ乱平」…これかぁ…そう言えばあったなあ…
確かにこれは言い知れない脱力感に教われるだろうなと誰もが納得したのだった。
で、前置きが長くなったがなんとなく「ガッツ乱平」のことを思い出したので、薄れた記憶をたどってみる。
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2007年12月09日
「ゲッターロボ」(隼人の校舎)未収録シーン (漫画)
2007年12月06日
石川賢の異色野球漫画「怪物伝」 (漫画)
石川賢が描いた野球マンガ(それも高校野球)というだけで十分に貴重なこの作品は、「雀鬼-2025」(大都社)に収録されている。ファンの間では傑作短編集と呼び声の高いこの単行本は現在絶版中のためなかなか目に触れる機会の少ないのが寂しいところだが、読んでみるとなるほど個穴人気があるのも納得の作品である。
わずか38ページの短編なのだが、着想・キャラクター・勢い・作画どれをとっても傑作の名にふさわしい。そしてこの異色の素材を扱いながらきっちりと「石川賢している」。それが「怪物伝」だ。
この物語の主人公は、ピッチャーのタケシ・キャッチャーのヒロミツというバッテリー。
バッテリーものは野球フィクションの一つの定番であり、その出会いや人間関係をどう描くかで作品の味が大きく変わってくる。
マンガでよくあるのが、片方が片方の才能・技術にほれ込む「恋女房」パターンで、「ドカベン」の明訓バッテリーがまさにその典型。
「ドカベン」では、東郷中学で才能が認められず腐っていた里中が試合で山田を見て、その中学生らしからぬクレバーなリードやプレイ、ガッツに一目惚れし、「変化球投手の自分を生かしてくれるのはこの男しかいない」と見込んで、中学3年生終わり頃に「俺と一緒に明訓に行こう」と"どう見てもストーカー"な勢いで、当初進学の意思のなかった山田を口説き落とした。
もう一つは、「ピッチャーの球があまりに剛速球だったりクセがありすぎるので、キャッチャーが誰でもいいというわけにはいかず、こいつじゃないとダメ」というパターン。
「男どアホウ甲子園」の豆タンや、「緑山高校」の犬島なんかがその位置だろう。
「怪物伝」における主人公二人の関係は、この二つを内包しているにもかかわらず、ものすごく殺伐としているのが最大の特徴であり、面白さだ。
(追記以降ストーリーの説明となりますが、結末までネタバレしますのでこれから読む予定の方はご注意ください)
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わずか38ページの短編なのだが、着想・キャラクター・勢い・作画どれをとっても傑作の名にふさわしい。そしてこの異色の素材を扱いながらきっちりと「石川賢している」。それが「怪物伝」だ。
この物語の主人公は、ピッチャーのタケシ・キャッチャーのヒロミツというバッテリー。
バッテリーものは野球フィクションの一つの定番であり、その出会いや人間関係をどう描くかで作品の味が大きく変わってくる。
マンガでよくあるのが、片方が片方の才能・技術にほれ込む「恋女房」パターンで、「ドカベン」の明訓バッテリーがまさにその典型。
「ドカベン」では、東郷中学で才能が認められず腐っていた里中が試合で山田を見て、その中学生らしからぬクレバーなリードやプレイ、ガッツに一目惚れし、「変化球投手の自分を生かしてくれるのはこの男しかいない」と見込んで、中学3年生終わり頃に「俺と一緒に明訓に行こう」と"どう見てもストーカー"な勢いで、当初進学の意思のなかった山田を口説き落とした。
もう一つは、「ピッチャーの球があまりに剛速球だったりクセがありすぎるので、キャッチャーが誰でもいいというわけにはいかず、こいつじゃないとダメ」というパターン。
「男どアホウ甲子園」の豆タンや、「緑山高校」の犬島なんかがその位置だろう。
「怪物伝」における主人公二人の関係は、この二つを内包しているにもかかわらず、ものすごく殺伐としているのが最大の特徴であり、面白さだ。
(追記以降ストーリーの説明となりますが、結末までネタバレしますのでこれから読む予定の方はご注意ください)
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