石井いさみ作「750ライダー」は、1975〜1985年と10年の長きに渡って「週刊少年チャンピオン」に連載された青春バイク漫画である。
チャンピオン中堅連載の顔だったが、その後(物語の性質上)リバイバル的なブレイクが起こることもなかったので、作品名を知らない若い人も今となっては多いだろう。
全50巻だが、その少なくとも3/4は
日常がループするホンワカ物語である。
・早川光:主人公。高2。バイク好きの純情少年でいつもツナギ姿。愛車はCB750K。
・野崎順平:光の同級生で舎弟的存在。パーマ頭のチビ助。愛車はモンキー。
・委員長(久美子):光の同級生、2年A組の学級委員長を務める美少女。光とは両思いで公認の仲ながら、キスどまりの関係。
・マスター:光たちが年中たむろする「ピットイン」のマスター。リーゼントがトレードマーク。
この連中が日がな「ピットイン」にたむろしてダベる日常のなかに、時々「ちょっとハートウォーミングなイイ話」を混ぜつつ、
延々と高校2年のまま季節が流れ続ける。さすがに数年経ったあたりで、
お前ら「高2の夏」とか「光と委員長のデートとかファーストキス」を何回やりゃぁ気が済むのよ、と小学生のガキでもつっこまざるを得ない無限ループ。その様相はまさに「サザエさん」あるいは
「ミツルの子供が出てこないじゃりン子チエ」である。
また、「ピットイン」店内で交わされる
「ようやく太陽さんがポカポカですネ」
「夏といえば海…(委員長のビキニ姿を想像)…ムフ」
「そんなときはちべたーいソーダー水をどうぞ」
「いいですネ…海!」などの
独特の言語感覚(って便利な言葉ですネ)を駆使したヌル〜〜〜い会話も特徴で、後年よくパロディのネタになった。
(ちなみにあだち充は石井いさみの元アシスタントで、「タッチ」に登場する南の父が経営する喫茶店「南風」には、一部「ピットイン」と通じる雰囲気がある…気がする…)
タイトルは「750ライダー」だが、せっかくの光のCB750も、
ピットインに乗ってきたり(だいたい開始3コマ目くらいで降りる)、時々委員長とタンデムで海を見に行ったりする程度で、あまりライドしていない。私が「週刊少年チャンピオン」を立ち読みするようになった頃にはすでにそんな作品で、それが延々と続いて終わったわけなのだが…
後年、「750ライダー」が全巻揃っている喫茶店(もちろんマスターはバイク好き)で1〜3巻くらいまでを手に取る機会があった。
読んでみて腰が抜けるほど驚いた。
絵柄が全く違うし、
主人公の光は暗い獣のような目をしてギラギラした一匹狼で、ナイフみたいに尖ってて、1巻から「ちょっとイイ話」も混じっていたけれども
あくまで物語のメインは、純粋にバイクと走りを愛する光が暴走族や不心得な公道レーサー、番長グループとのレースバトルやケンカをする話だった。一体この光の何をどうすれば、あの陽だまりポカポカな世界になるというのか。衝撃だった。
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posted by 大道寺零(管理人) at 13:22
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