「ギムナジウム」といえば、「ポーの一族」だったり「トーマの心臓」だったり、何はなくとも萩尾望都であり竹宮恵子であり、三原順だったらいきなり謎の殺人事件が起こっちゃったり、とにもかくにも60〜70年代の少女マンガに登場した教育機関。
実際はドイツやスイスの、主に大学進学を目指すエリートや良家の子息が入る中高一貫教育機関なのだが、マンガの中では美しく繊細なガラスの十代な少年たちが、それぞれに家庭の事情とかトラウマを抱えつつ、時にちょっと危ない友情を交わしたりしながら大人の階段を登るというお耽美な不思議空間であった。
リボンタイの少年たちはよく泣きよく怒り、時に唐突にポエムを口ずさみながら、伸びやねじりの入った独特のポーズとでかい芝居で青春の悩みと喜びを謳い上げるのであった。
「美しい女子校」と同様、「美しい男子校」などこの世に存在するはずもないのだが、とにもかくにも「ギムナジウム」はかくも美しいファンタジー空間とされるのがその頃のお約束だった。
で、このカフェも当然そういう「昔の少女マンガに登場する神話としての美しい空間」としてギムナジウムをプロデュースしている。
それにしても、「ギムナジウム」という単語で「おっ」と反応するとしたら、間違いなくその人間は35歳overだと思うのだが、若年腐女子への受けはいかほどなのだろうか。
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