2007年04月11日

オカンと私の台所回顧

昨日昼ごろ、実家の母から電話。
特に用事もなく電話が来るのはいつものことだ(特に流産以降は私の体と心をとても心配してくれているので)が、開口一番こう言った。

「朝のTVの星占いで、今日のふたご座(私の星座である)
 『昔話をすると運気がアップする』って言ってたから、
 おかーさんと昔の話でもしたら、あんたにいいことあるかと思って。


……
……可愛い。
……可愛すぎるぞオカン……
(*´д`*)

そんなわけで、近況とか思い出話などをしたのだった。
丁度手元には、先日購入した思い出話にはうってつけの一冊があった。

宇山あゆみ「少女スタイルBOOK 楽しきわが家」(河出書房新社)
宇山あゆみ氏サイト

これは、昭和30〜40年代のどこの家庭にもあった生活雑貨や家具・電化製品、玩具・文房具や子供の衣服・手芸品などの写真を豊富に掲載し、当時の風景などを語った本である。

この中には、私が実際に子供の頃に使ったものや、我が家にあったのと同じものの写真がいくつも載っている。

その一つが、「おままごとの買い物かご」である。

買い物かごまさにこの配色・この形だった。

「ままごと用」とはいえ、A4用紙程度の大きさがあるかごなので、ままごとというよりは、実際の買い物に持っていくことのほうが多かった(というか、この本を読むまで、「子供の買い物用」だと思っており、「ままごと用」という認識がなかった)。
お菓子とか豆腐、卵くらいは軽く入る大きさなのである。
母は赤い藤編みの大きな買い物かごを持ち、私はこの小さなかごを持って、手をつないで近所にお買い物に行くのが楽しみだった。

今ではどこも廃業or卸だけになってしまったのだが、近隣には

・精肉&惣菜店
・鮮魚&野菜・乾物・一般食材店
・菓子店
・パン屋

があったので、子供が歩いていける範囲で十分日々の買い物が可能だった。
いずれも小規模な店舗なので、スーパーのように「いつ行っても何でもある」というわけにはいかない。
魚屋にしたって、「いつもどの魚でも買える」わけではなく、加工品のほかは、その日おっちゃんが仕入れてきたものだけだ。
鮭を買おうかと思ったが
「今日は入れてないけど、鰈のいいのがあるよ!」と言われて
「じゃあそれお願いします。」
そんな会話と共に毎日の買い物があって、考えてみれば食生活なんざそれで困ることは別段ないのである。むしろ意識せずして「旬」に従う食生活のあり方は、ごく「自然」なものだと言えるだろう。
入ってなかったり品切れであれば、別のものでどうにかするというだけの話だ。

ごく小さいうちは、豆腐を買うのに容器を持っていって、水槽からそれに入れてもらったような記憶もある(その後はビニールに入れてくれるようになった)。
卵も、おがくずを敷いたダンボール箱の中に入っていて、一個単位で買うことが出来た。
魚や肉は、竹の皮みたいな防水の紙で包んだ上で、新聞紙で包み、おっちゃんがその上に値段をマジックで書いてくれた(肉屋は店の包装紙で包んでくれた)。ビニール袋が登場するのは小学生になったあたりだったか。
買い物かごの中でばらけてしまうような小さいもの(卵など)は、新聞紙で作った小袋に入れてくれた。
この袋は一箇所に穴を開けて、天井から紐で吊るしてある。使うたびに店のおばちゃんが一個ずつ「ビッ」と紐から引いて取るのだった。

先日まで見ていた「あしたのジョー」の端々にも、似たような風景がたびたび登場する。
少年院を出所後のジョーは、店主の温情で、マンモス西と同じ食品雑貨店「林屋」に雇われるのだが、如才なく人と接する西とは違い、ジョーの性格が客商売に向くはずはない。そんなわけで店番もろくに勤まらないジョーは、店の奥でおかみさんから「新聞紙の袋貼り」を命じられるのだった。
そのシーンを見ていて、
今この特番見ている若い人は、新聞紙で袋貼りといってもわからんだろうなあ〜
としみじみ思った。

まあ、「新聞紙の袋」も、私が小学生に上がった頃には姿を消し、わずかに焼き芋屋などでお目にかかる程度になってしまったのだが…

当時、買ったものを詰める袋は「紙袋」だった。
これを持つと両手が塞がってしまうため、買い物かごはなかなか有用だったのである(店をはしごするなら尚更)。
その後昭和50年頃からスーパーマーケットが買い物の中心となってくるが、それでもしばらくは紙袋がほとんどだった。現在のような「手付きのビニール袋」が台頭するのはもう少し後の話である。
大規模なスーパーマーケットでの買い物では、買い物かごはかえって万引き等に疑われる可能性もあったし、手付き袋が出る間もなく姿を消していった。

買い物かごを持って通った魚屋さんでは、「いつもお手伝いえらいね」とおまけをしてくれることもあった。
たまには、母が小さなお菓子や好きなものをを買ってくれた。
当時の私は異様にふりかけ好きな子供だった。
その店には吊るしのボール紙に袋が張ってある形式でふりかけが売られていたが、いつもあるのが丸美屋の「のりたま」・そして「おそ松くんふりかけ」であった。
ふりかけ

当時、初代「おそ松くん」の放送からは相当経っていたのだが、なぜか延々と「おそ松くんふりかけ」が売られていたのだった。
中身は一緒だが、パッケージが何種類かあった。「アッコちゃんのがいい!」と言って、「とと子」バージョンの袋を選ぶ私はまだ、「アッコちゃんと姿かたちは一緒だが、とと子の中身は似ても似つかない腹黒女」ということを知らなかったのだ。

買い物かごを思い出すとき、一緒によみがえる記憶はいつもこの魚屋さんと、「おそ松くんふりかけ」なのである。

もう一つ、同書の中で再会したのがこの保温ジャーである。
象印ジャー

タイガーのジャーで、写真はモノクロだが、ポピーの柄は鮮やかな赤色だった。
「花柄家電」や「花柄食器・鍋類」は、昭和30〜40年頃の大きなトレンドで、ポピーやバラ・デイジーの柄が好んで使われた。ポットも同じような柄だったと記憶している。今見るとこの手のデザインのものが愛しくて仕方がない。
このジャーはけっこう長いこと使っていた。
これも若い人には分からないだろうなあ、このジャーには炊飯機能はなく、「保温」の機能だけを持っている。
ご飯そのものは、ガスで炊いていた。
タイマーなどはなく、母はガス釜の炊飯スイッチを入れるために毎朝早〜〜くに起きていた(そしてたいてい二度寝した)。
ご飯が炊き上がると、アルミの上蓋の上には、炊飯時に出来たでんぷんノリの薄いパリパリとした膜ができていて、それを食べるのが好きだった(いやしくてすいません)。
ガス釜でたくさんご飯を炊くと微妙におこげができるのだがそれが美味しかった。
今では一部の家庭をのぞき、業務用でしかガス炊きご飯にお目にかかれないが、ガスで炊いたご飯というのは美味しいんである。今は電気炊飯器も進歩して随分といいご飯を炊けるようになったが、やはりまだまだガスの優位は大きい。
当時も電気炊飯器はないわけではなかったが、めちゃくちゃ高かったし、何より全然上手に炊けなかった(このあたりの苦労談は「プロジェクトX」でも取り上げられていた)ため、ガスで炊く家がまだまだ主流だった。
電気ジャーが出るまでは、その都度炊くか、炊いたご飯をお櫃に入れていたのだが、当然すぐ冷めてしまう。朝炊いたご飯を昼や夕方でも熱いままで食べられるジャーの存在は、共稼ぎの家に限らず画期的で便利なものだったのだ。
一度冷めてしまったご飯は、当時のジャーではあまり温かくならず美味しくなかったので、軽くふかしたり、チャーハンにしたり、みそ焼きおにぎりにして食べることもあった。買出しに行く前、夕方の微妙に空いた小腹を、残りご飯小さなおにぎりで誤魔化したりしたのは、台所に立つ母と私だけの思い出である。そしてあのおにぎりは実に美味かった。

冷蔵庫
これは、実家で随分長いこと使ったワンドアの冷蔵庫である。
製氷皿はあるが冷凍庫はなく、買ってきたアイスはその場で食べないと保存の手段がなかった。
現在は2回冷蔵庫を買い換えているが、この冷蔵庫はいまだに缶詰やレトルト・保存食品などの保存庫として台所に鎮座している。(当然通電はしていない)

高機能な家電をそこそこ安く買える現在から顧みると、当時の家電は、今となっては限定的な機能しかなかったけれども、値段は相対的に高いものだった。
何しろ、今では電子レンジは1万円もせずに、オーブン機能が付いていても3,4万程度で買えるけれども、出た当時は10何万(一か月分の給料と同じかそれ以上)もしたので、ローンで買うのが普通だったのだから…
実家の両親は、アパート暮らしから初めて土地と家を買い、何もかも一から家庭を築いてきた。家具一つ、家電一つを買うたびに、当時の相対的な価格を考えれば決して楽ではなかっただろうが、少しずつ生活が充実して便利になっていく喜びを噛み締めていたのではないだろうか。
昭和の家電は、何度も修理されて、本当にダメになるまで大切に使われていた。その背景には、単に「高い買い物だから」というだけではなく、アフターサービスをしてくれる「待ちの電気屋さん」から購入するのが一般的だったこと、マイコン制御などはまだ導入されていなかったので、いちいちメーカー修理に回さなくても、「機械に詳しい電気屋さん」の手で修理が完了したことも大きく影響しているだろう。


検索していて、面白いサイトを発見。
Nipponstyle」より

プロダクトでたどる自分史

(ご自分の誕生年を選択してどうぞ)

懐かしさに死ねます。
posted by 大道寺零(管理人) at 17:17 | Comment(0) | TrackBack(1) | 回顧
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Tracked: 2007-08-09 14:07
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